2019年08月30日

新令和・胸部X線写真の読みかた基礎編16

毛髪線

毛髪線とは、右の上葉と中葉の間の境界である「水平裂」が線状に見えているものです。これは上葉の臓側胸膜と中葉の臓側胸膜2枚から成り、胸膜2枚が重なっていて厚みとしては0.3mm 程度のもので、(毛髪の幅も0.3mm 程度であり)この名前が付いています。

「水平」裂といいますが、場所的には肺野の真ん中あたり、肺門の上葉に行く血管と中葉に行く血管の分かれ目あたりのところから、水平に外に向かって走り肺の一番外まで到達する漢字で見えるのが標準的な見え方です。

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標準的にはそうなのですが、この位置、走り方は必ずしも「真ん中へんに、水平に」ではなく、斜めであったり、上の方であったり下の方であったりと個人差が結構あります。

肉眼で見えるか見えないかも微妙なところです。大事なことは見えるか見えにくいか、あるいは見えないかというところではありません。見えにくいものを目をこらしてみる必要はありません。はっきりくっきり見えるときが問題なのです。

つまり胸膜自体に病変があって、厚みが増して可視化してくるとか、胸膜と胸膜の間に胸水が入ってそれが可視化してくるとか、胸膜病変が存在するときに毛髪線の存在感が増してきて、はっきり見えるようになる、それが問題なのです。

あと、上葉や中葉の肺炎などの病変がある場合、その病変が葉間を超えず胸膜で堰き止められると、毛髪線がくっきりと境界線として認識できることがあります。この場合その病変が上葉に存在する、とか、中葉に存在する、とCTを使わずに自信を持って言い切ることができるので便利です。是非毛髪線を有効に使ってみましょう。


日曜日は、セコメディック病院さんの「第16回 救急・総合診療セミナー」です!肺炎からHRCTのお話をさせて頂く予定です。ご来場の皆さん、よろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 13:04 | Comment(0) | 胸部X線道場

2019年08月29日

第26回呼吸器疾患夏期セミナー(富山)

昨日は、富山県にて、第26回呼吸器疾患夏期セミナーでお話をさせて頂きました。

26回を重ねたこちらの会ですが、第1回はなんと、伊藤春海先生がご講演なさっています。伊藤先生はその後も何度か、他には村田先生、高橋先生…と、胸部読影の世界ではその名を知らない人はいない、という先生方が名を連ねておられる。

そんな由緒正しき会ですが、なんと今年で(諸般の事情にて…)最終回、とのことでした。そのような会の最後にお声がけ頂いたということで、大変な重責でございます(…ということは、直前に聞かされたのでありました…)。とはいえ、今回は「楽しく、わかりやすく」というリクエストを頂いておりましたので(汗)、いつも通り臨みました笑。

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若手の先生方もけっこうご参加頂いていたので、いろいろ答えて頂きながら、リクエスト通り「楽しく」できたかなあと思います。

富山県、訪れるチャンスが中々ありませんので、この機会に有休(働き方改革!!)を頂きまして…。

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立山まで足を伸ばしました。

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しかし荒天…。

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暴風に飛ばされそうになりながらも、なんとか黒部ダムまで到達し、先人たちの偉業に思いを馳せることが出来ました。日本の高度成長期を象徴するような、まさに偉業ですね。

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雨風が強すぎてスマホも持って行かれそうになり、ろくな写真がありませんが…。

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posted by 長尾大志 at 23:08 | Comment(0) | 活動報告

2019年08月28日

新令和・胸部X線写真の読みかた基礎編15

線の存在に注意

ここでいう線、というのは、シルエットサインの時に使う「(大動脈弓・下行大動脈・心陰影・横隔膜などの…)元々ある線」だけはありません。

病変、特に収縮を伴うような悪性腫瘍(肺癌)が発生すると、周囲の胸膜を引っ張り込んで胸膜陥入像が生じることはよくご存知かと思います。その胸膜陥入像が胸部X線写真でも見えて、新しい線が生じる現象があります。

本来の構造物による線とは違う場所、線があるはずのない場所に見える。これは肺炎後に収縮した、とか結核の治療した後の瘢痕像など陳旧性の陰影でも見られますが、例えば昨年の写真にはなかったのに今年の健診写真では見られる、というような場合には新たに結節が生じている可能性がありますので要注意です。

そのような収縮を伴う結節は得てして高分化腺癌で、本体の濃度は比較的淡くて見にくい、ということがしばしばあり、線を手がかりに発見されるということがありますから、線の終端付近を結節があるかどうかよくよく確認するとともに、積極的にCTで確認する必要があるかと考えます。


さてそれではこれから富山県へ出発致します。富山の先生方どうぞよろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 12:21 | Comment(0) | 胸部X線道場

2019年08月27日

新令和・胸部X線写真の読みかた基礎編14

物陰ウラに注意

縦隔、心臓、横隔膜、肺尖部は、肺野が物陰になりやすい場所ですので、見落とさないように注意が必要です。

縦隔(緑)を見るときには気管、気管分岐部、肺門部あたりの線の見え方が普段と違わないか、心陰影(橙)の裏を見るときには左3〜4弓や下行大動脈のシルエットサインに注意して、横隔膜(紫)を見るときには裏を走る肺紋理(血管影)や横隔膜自体のシルエットサインに注意して、そして肺尖部(赤)を見るときには左右差をしっかり確認しましょう。

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posted by 長尾大志 at 17:56 | Comment(0) | 胸部X線道場

2019年08月26日

新令和・胸部X線写真の読みかた基礎編13

左右の比較

肺野で左右を比較し、濃度差を見る、というところでも述べましたが、比較をしてその違いを見つけるというのは、比較無しで「異常」を検出するよりもやりやすいものです。1枚の写真を見るときにも左右の比較を必ず行います。


過去との比較

左右以外に、過去の画像があればそれと比較するというのは異常を見つけ出す上で大変重要な手順です。例えば先の誤嚥性肺炎の例で見てみると、以前の「陰影がない」時と比較することで陰影があるのが際立つのです。

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下が以前の陰影です。

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ですから、過去画像が入手できる時には必ず比較して頂くことが、異常陰影を発見する近道かと考えています。


ところで、すっかり告知が遅くなってしまいましたが、8月28日(水)、富山県で胸部X線写真読影に関する講演会があります〜。

日時 8月28日(水) 19時〜
場所 サンシップとやま 7階 703研修室

ちょうど今展開しているような、胸部X線写真読影の基礎+コツ、みたいな内容となっております。お近くの方はぜひお越し下さい〜。

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posted by 長尾大志 at 15:35 | Comment(0) | 胸部X線道場

2019年08月25日

滋賀医大内科サマーセミナーを終えて〜今週の活動

昨日の小咄は「やさしイイ肺炎の話」でしたが、実は次の週末にある「セコメディック病院主催の勉強会」でも肺炎のお話をいたします。

(以下引用)
千葉県船橋市 (株)セコムの系列病院:セコメディック病院 救急部 宇藤 薫と申します。
当院主催勉強会を9月1日(日)午後 都内 御茶ノ水で行います。

【対象・難易度】 救急領域/当直対応を学びたい初期〜後期 研修医の先生を対象とした内容です。
前半は、創傷対応、熱傷対応の適切な対応方法について、どのようなタイミングでどの様に処置、薬剤を使用していくのか、被覆材をどの様にして選択するのかを学んで頂きます。
後半は、肺炎(一般的な感染性の市中肺炎から誤嚥性肺炎・誤嚥性細気管支炎などを含む)へのアプローチをじっくりと学んで頂く機会となります。
初期〜後期研修医の他、医学生、指導医、看護師、救急隊も参加可能です。

【申込】 参加費無料ですが、申込必須です。 以下にて申込をお願いします。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/327d9791631753
人数枠の兼ね合いで、参加漏れになった場合は、個別にご連絡を致します。

FB上のイベントページ
https://www.facebook.com/events/415777165718254/

【場所】 御茶ノ水トライエッジカンファレンス
101-0062 東京都千代田区神田駿河台4−2−5 御茶ノ水NKビル 11階

【日時】 9月1日(日)
14:00〜15:50
Phaseで見極める!キズ・ケガ・ヤケドの診かた&治し方
永田 理希 先生

15:50〜16:10 休憩&病院説明
(嚥下評価に対するエコーの使用方法のデモ)

16:10〜18:00
肺炎四方山話
長尾 大志 先生

18:10〜19:20 
情報交換会(別会場)

【会場について】 冷暖房は随時調節致しますが、お体が冷えやすい方は羽織り物などをお持ち頂来ます様お願い申し上げます。
(引用ここまで)

昨日のお話、中々小咄としては出来が良かったので、日曜日の四方山話にもちょっと交えます…。

そうそう、昨日の懇親会の場で研修医の先生方とお話ししていて、ちょっと自分の思い込みというか、思い違いを改めることがありました。

自分で、自分の話は、もう既に滋賀医大卒の研修医諸君には食傷気味で、今更研修医諸君に私がしゃべってもしょうがないかな、と思い込んでいて、そういうこともあって若手の先生にショートレクチャーをやってもらうようになったのです。逆に、若手の先生には、教えることで成長してもらいたい、という気持ちもあり、始めた次第です。

でも研修医諸君には、長尾の話がないことで寂しい?思いをしているとのこと、これは意外でした。もっと教えてくれと。忙しいところ、長尾の聞き飽きた話で30分も取られるのはイヤなんじゃなかろうか、と変に気を回していたのですが、そういうことならナンボでもやりまっせ〜〜〜!!!と話がまとまりました。

ということで、来週からの研修医諸君は覚悟!?楽しみ!?にしておいてくださいませ。

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posted by 長尾大志 at 21:34 | Comment(0) | 活動報告

2019年08月24日

滋賀医大内科サマーセミナー

今日は半日、『滋賀医大内科サマーセミナー』に参加しておりました。

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内科を進路に選ぶ研修医の皆さんが減っている、ということに内科全体として、いや病院全体として危機感があり(最初に院長先生のご挨拶にもあったとおり)、内科の垣根を越えて、何かやらなくちゃ…ということで企画を消化器内科の稲富先生が発案されたのが4月か5月。それからあれよあれよと(私は何もしておりませんが 笑)形になりまして、多くの先生方のご協力もあり、本日無事に挙行されたのです。

内科系6つの診療科によるレクチャー+エコー(心、腹)のハンズオン、という形で、午後いっぱい、学びいっぱいでありましたね。

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循環器内科中川教授のお話は個人的にメッチャ好きでした。それ以外のお話も、勉強になるお話ばかり。

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ハンズオンも盛況でした〜。30人以上の研修医の先生方に参加頂き、初回にしては良かったのではないでしょうか。

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その後はもちろん美味しいものを食べました。今日が終わりそうですので、あとのレポは写真にて。

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posted by 長尾大志 at 23:53 | Comment(0) | 活動報告

2019年08月23日

新令和・胸部X線写真の読みかた基礎編12

胸部X線写真の読影をするにあたって、特にちょっとした異常陰影を見つけやすくするために知っておくと役に立つコツをいくつかご紹介します。


病歴からの情報

一つ目は、当たり前のことですが病歴や身体診察所見からの情報です。健診の写真では病歴はわからないものですが、何らかの症状をもって受診した患者さんであれば、その病歴からある程度疾患やX線写真上の所見が推測できるものです。

例えば、高齢の方で一週間前からなんとなく元気がない・微熱・食思低下がある、という場合、感染症の存在が疑われる病歴かと考えられます。そこで診察したときに、呼吸数が増加していたり、胸部聴診所見でcoarse cracklesが聴こえたりすると、肺炎の存在が疑われるわけです。

それで写真を見てみるとこんな感じ。coarse cracklesは右側で聴取される、そうなってくると右側、誤嚥があると考えるならば特に下の方に高吸収域を探すことになります。

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この写真であれば、右2弓付近、横隔膜のすぐ上あたりにべたっとした陰影が見られます。 CT だとこんな感じ。

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これは右下葉の誤嚥性肺炎でしたが、このように病歴や身体診察所見から、陰影を見つけるべき場所の目星をつけることで陰影が発見しやすくなりました。

それからこちらは突然発症した胸痛と呼吸困難です。

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元々肺に(他臓器からの転移による)多発結節影があって、所見が多いために見にくいところですが、突然発症した右の胸痛(吸気時に強くなる)と呼吸困難という病歴から胸膜痛〜気胸を疑い、よく見ると確かに右気胸が生じていました。

このように病歴から所見をある程度推測できるよう、疾患に特徴的な病歴を知っておくことが大切ですね。

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posted by 長尾大志 at 15:44 | Comment(0) | 胸部X線道場

2019年08月22日

新令和・胸部X線写真の読みかた基礎編11

E肺野を左右比較しながら見ていく。

正常の肺は、およそ左右対称にできています。左右対称というのは肺内を走行する血管や気管支の分岐の仕方もだいたい左右対称ということで、肺野の同じ高さにある左右対称の場所の濃度(黒さ・濃さ)は同じぐらいになります。

ですから、ある場所を見たら、視線を平行移動させて、左右対称の位置にある同じ高さの肺野を比較し、大体同じ濃度であればOK、どちらかの濃度が高ければ(濃度差があれば)、その部位に何か問題がある、というように考えます。

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健診などで小結節を早期に発見するための見かたとしては、この「ホンの少し濃度が違う」、というところに気がつくことが大切です。

それから以前にも書きましたが、シルエットサインを使うことによって、肺野に存在する(一見正常と区別がつきにくそうな)濃度の高い部位の存在に気づくことができます。特に心陰影の裏や、縦隔・横隔膜の影に当たる部分は陰影が分かりにくいので、シルエットサイン陽性の所見は貴重な情報になります。

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posted by 長尾大志 at 18:29 | Comment(0) | 胸部X線道場

2019年08月21日

ユニバ便り

今日は突如思い立ち、ユニバ(USJ)に行ってみました。ということで更新はございません。あしからずご容赦ください。

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子供たちをつれて初めて行きましたが、意外に日帰りは出来るということがわかりました。また繰り返し行くことになるかもしれません…。

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posted by 長尾大志 at 22:05 | Comment(0) | 子育て日記

2019年08月20日

新令和・胸部X線写真の読みかた基礎編10

C心陰影:心胸比、心臓の位置。

次に心陰影を見ます。そのときに心胸比をみておきますが、横隔膜が挙上していると心臓が横に寝てくるので、見かけの心胸比が上昇することがあります。

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心胸比をみるのは心拡大を見るためだと思いますが、その場合は心臓が薄く寝ているのではなく、全体的に大きくなっているかどうかで判断されるのが良いと思います。

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心胸比が低くなりすぎる状態はCOPDの滴状心の時に見られる初見ですが、これは主に左右対称かつ心臓が細く見られるという所見を表します。

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心胸比も大切ですが、むしろ心陰影で大切なことは、シルエットサインを使った陰影の存在確認でしょう。各々の線が接する肺の区域を理解し、シルエットサインをうまく使えるようになっておきたいもの。ここでは線が接する肺の区域を紹介します。

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右1弓は上大静脈で、右のS3に接します。右2弓は右房で右のS4と、左1弓は大動脈弓で左S1+2と、左2弓は左心耳で左S3、左3弓4弓は左室で主にS5と接しています。

横隔膜の見方は、最初に書いた高さ(高位・低位)以外に、心陰影と同様にシルエットサインを使って接するS8の陰影の存在を確認するところもあります。それ以外には肋骨横隔膜角の鈍化で胸水の存在を疑います。

それから、心陰影や横隔膜の裏にも存在する陰影にも注意を払う必要があります(後述)。

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posted by 長尾大志 at 18:28 | Comment(0) | 胸部X線道場

2019年08月19日

新令和・胸部X線写真の読みかた基礎編9

縦隔で他に見るべきは縦隔気腫です。これは気管や食道大血管など、縦隔内を通る大きな構造物周囲の隙間に空気が入り込むもので、これらの構造物に沿った、縦に細長い空気像(黒い縦線)が何本も見られるといった特徴があります。

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肺門は、もともと見えている肺動脈の変化はなかなか分かりにくかったりしますが、少なくともその幅が、それと交差する肋骨(通常は第7肋骨であることが多いです)の幅と大体同じぐらい(1cm程度)であるのが正常、ということを知っておけば参考になるでしょう。

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それと肺門部の肺動脈から分岐する区域肺動脈の短軸像が、径5mm程度のくりっとした結節に見えることがあり、しばしば結節との区別が紛らわしいので注意が必要です。例外はありますが、肺動脈に重なる陰影でくりっと見えるということは多くはなく、血管の短軸像や、せいぜい石灰化像であることが多いものです。

肺門が拡大しているときに鑑別すべきものとして多いのは、肺門リンパ節の腫脹です。これは通常外向きに凸になっていてモコモコ、いかにも腫瘤という印象があります。それに気管の横や気管分岐部下の縦隔リンパ節腫脹を伴うこともあり、参考になります。

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posted by 長尾大志 at 17:36 | Comment(0) | 胸部X線道場

2019年08月18日

学生さんとの会

一昨日のことですが、とある学生さんたちと、会合を持ちました。

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いくつかの研究!などなどを考えておられて、微力ながらご協力することになったのです。これは本当に楽しみな試み、といいますか、実は自分でもずっと温めていた構想…があったのですが、学生さんのリクルートや計画の立案など、いろいろなハードルがあり、取りかかれないままでいたものです。

それが学生さんの方から、ほぼ同じような計画を持ってこられたのが、本当にビックリで、とってもうれしかったのです。本学の現状に危機感、というか、不満があり、それをどげんかせんといかん、ということで、evidenceを作ろう、という動機は私の思いと同じで、方法論も似た感じのものであったのです。

是非このまま形にしていきたいですね!!

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その後もいろいろお話ししたのですが、例の調査の話題で、実際のDisrupting teacher behaviorの事例を、いろいろと教えてもらいました。当然ここには書けませんけど。

ちょうど、『日常臨床に潜むhidden curriculum −professionalismは学習可能か? (「ジェネラリスト教育コンソーシアム」シリーズ 12) 』を拝読したところで、和足孝之先生による「医学部教員の問題行動Disrupting teacher behavior」論文に感銘を受けていたところでした。まさに「教育という大義名分の元に教員の問題行動は正当化されやすく〜(中略)〜場合によっては【大変熱心な指導】であると受け止められてしまうことさえもある〜」「それを集団や組織のなかで客観的かつ公正に取り上げ、改善していこうとする取り組みは未だ一般的でない。(至極もっともなその理由が9つこの後挙げられていますが、興味のある方は是非元論文をお読みください。)」というところの実例、といった趣で、いろいろと思うところがあり、また越えるべきハードルのあまりの高さにまたまた絶望感しかありませんでした。

しかし若い人たちがこのように同じ気持ちで頑張ってくれそうなので、ともかく何らかの形に出来るよう、目の前のことを1つ1つ頑張っていきたいと思います。

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帰るときには以前ウチの特定看護師コースで学んでくださった皆さんと偶然に再会。教え子(といえるほどのことはしておりませんが…汗)との再会はやはりうれしいものですね。

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posted by 長尾大志 at 22:27 | Comment(0) | 胸部X線道場

2019年08月17日

『トップランナーの感染症外来診療術』を読んで

あの北先生が羽田野先生と組んでなにやら感染症の本を出されるらしい、と聞いてから気になっていたのですが、このたび献本頂きまして、拝読することが出来ました。

https://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=93164

これまで優れた「内科外来」の本や「感染症」の本は数多あったわけですが、この本は「外来の感染症」に絞っているところがいいですね。実際外来をやっていて多く遭遇するのは感染症になりますから、使える場面はけっこう多い。

感染症の患者さんはまず外来にやってくるわけですから、その時点での対応に関して「とりあえずこれだけは」をみるととりあえずのことがわかる親切設計。しかしもちろんそれだけではなく、そこからの詳細な、かゆいところに手が届く記載がにくいですね。

総合診療業界の、皆さんご存じの、外来のエキスパートの皆さんが、外来をやっていて遭遇する感染症にまつわる疑問に丁寧に答えてくださいます。たくさん外来をされて、たくさんの患者さんを診ているからこそ、いろいろな場面での様々な疑問に出会っておられ、それをしっかり調べて教えてくれる、という感じ。そして、ここぞというところでは、感染症業界の有名人が登場し、専門家ならではの的確なアドバイスをくださいます。

とにかく執筆者の顔ぶれ、これが素晴らしいのです。編者の先生方のつながりで集まった先生方、私でも存じ上げている先生方ばかりです。人選が成った時点で、編集者もガッツポーズされたのでは。

そして各所にちりばめられた、編者の先生によるツッコミ?これが的確で面白い。ああこれって北先生っぽい、とかわかるところもあり、何よりしっかり原稿を読み込んだ上で、適切なコメントを挟んでおられる。これって編者の鑑!!おそらくかなり手間をかけて、原稿に手を入れられたのではないでしょうか。各項目の統一感もしっかりありますし、とにかく著者、編者の先生方のお人柄が感じられる1冊、という感じです。

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posted by 長尾大志 at 19:36 | Comment(0) | 日記

2019年08月16日

新令和・胸部X線写真の読みかた基礎編8

B縦隔:気管、肺門、大動脈弓〜下行大動脈。

これは@のパット見、に通じるものですが、縦隔を見る時に大事なことはその動きです。

特に気管が右や左に偏位しているのは、片側の肺の大きさの変化によることが多く、肺が縮めば気管は引っ張り込まれますし、何か膨張するようなもの(胸水や腫瘤など)があると気管は圧されるわけです。ですから縦隔(気管)をパッと見て、その動きに気付くことが重要です。

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それ以外に縦隔で見るべきものとして、縦隔リンパ節の腫脹や縦隔気腫などがあります。特に腫瘍の早期発見のためには、前者に気づくことが重要です。気管の周囲や大動脈の周辺にモコモコと腫瘤ができてくるような所見、それから気管分岐部の下に腫瘤ができて、分岐角が開大するような所見に気をつけます。

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一方、術後や無気肺、線維化などで一側の肺が縮むと気管が引っ張り込まれますが、特に上葉が縮むとそちら側の肺門、主気管支が不自然に引っ張りあげられ、挙上する場合があります。

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そして縦隔で見ておくべきなのが、大動脈弓から下行大動脈のラインがきっちり見えているかどうか。これは後で出てくるシルエットサインを使う時に役立つ所見です。下行大動脈はしばしば蛇行しますが、多くのものは加齢による変化であり、不自然に飛び出していたり(大動脈瘤)する所見があるかどうかが見所になります。

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posted by 長尾大志 at 15:37 | Comment(0) | 胸部X線道場

2019年08月15日

新令和・胸部X線写真の読みかた基礎編7

左右のバランス、対称性が損なわれるものとしては、

・そもそも胸郭の形が異常
 側弯、漏斗胸など

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・片側の肺が縮んだり(無気肺・線維化)、胸郭が大きくなったり(緊張性気胸)したもの
 通常は気管や縦隔の移動を伴います

・胸水や腫瘍などで肺野の一部が白くなる
・気胸や嚢胞などで肺野の一部が黒くなる
 このような、パッと見でわかる異常は、胸部X線写真の得意とするところです。


A骨軟部陰影:骨折、溶骨や皮下気腫。

肺野以外の部位にはなかなか気づきにくいだけに、皮下なんかは最初のうちに見ておきましょう。とはいえ、通常は痛みなどの症状や身体所見から気づかれることが多いものですが…。

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posted by 長尾大志 at 16:28 | Comment(0) | 胸部X線道場

2019年08月14日

新令和・胸部X線写真の読みかた基礎編6

正常よりも横隔膜が1肋間分以上高いと、肺が縮んでいる、あるいは胸郭が縮小している、と考えます。また後で述べますが、気管や縦隔が引っ張り込まれていても、その部分が縮んでいると判断されます。


■ 肺が縮むもの

肺そのものが縮む病態として、無気肺と線維化の二つがあります。

無気肺は肺の中の空気がなくなる状態です。よくあるのは空気の通り道である気道が、腫瘍や異物などで閉塞されて、空気が入らなくなってしまうという機序です。他には、胸水などで肺が押されて空気が抜けてしまう、受動無気肺という病態もあります。

無気肺は肺の中の空気がなくなっているわけですから、肺は真っ白に見えるようになります。そして通常は片側に起こるものですから、片側で肺が真っ白になっていて、横隔膜が上昇したり縦隔が引っ張られたりして、縮んでいることが分かる場合に無気肺と考えられます。

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もうひとつの縮む病態は、肺の線維化です。肺線維症のように肺が硬くなって縮んできます。通常は両側で起こり、肺は真っ白になるのではなくて、網状影や蜂巣肺といった所見を呈します。

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posted by 長尾大志 at 19:03 | Comment(0) | 胸部X線道場

2019年08月13日

新令和・胸部X線写真の読みかた基礎編5

正常よりも横隔膜が1肋間分以上低いと、肺が大きくなっている、と考えます。


肺が大きくなるもの

肺が大きくなる疾患の代表はCOPDです。COPDは、長期間・大量の喫煙によって肺胞壁がエラスターゼなどによって分解され、徐々に破壊される疾患です。

肺胞壁が破壊されることによって肺の弾性収縮力が失われ、末梢の気道が閉塞しやすくなる〈閉塞性肺障害換気障害〉が生じます。特に呼気時に末梢気道が閉塞することによって、吸い込んだ空気が吐き出されにくくなるエアトラッピング(空気のとらえこみ現象)が生じます。

そのため、肺内に吐き出せない空気がだんだん溜まってきて、肺容積が大きくなっていきます(肺の過膨張)。肺が膨張することで横隔膜は圧されて位置が低下し、平らになります(平低化)。同時に胸郭の前後径が大きくなってきて左右径と同じくらいになり、樽のように見えます(樽状胸郭)。これを X 線写真で見ると、横隔膜が低く平らになり、肺が大きく見えるのです。

心臓は、横隔膜が下がることと肺に圧されることで、縦長になって左右対称に見えるようになります。その様子があたかも水滴のように見えることから、滴状心と呼ばれます。

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元々の体格や病態によっては、COPDでも必ずしも過膨張所見が見られないことがあります。横隔膜の位置が低下する過膨張以外にCOPDで見られる所見としては、以下のようなものがあります。

・肺野の濃度が低下し、黒っぽく見える
・肺紋理が見えにくくなる
⇒COPDでは肺胞や血管が破壊されるため
・(嚢胞壁からなる)線状の陰影が目立つようになる
⇒嚢胞がたくさんできるため

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posted by 長尾大志 at 18:01 | Comment(0) | 胸部X線道場

2019年08月12日

6回生全員アンケート考察

直接的な滋賀医大を選ばなかった理由として、立地の問題は少なからずあるようです。しかしながらこの問題も、先に挙げたいわゆる駐車場問題に起因する感情的なしこりが、少なからず影響していたようにも思われます。やはり滋賀医大に対するネガティブな感情が積み重なって、「出ていきたい」という結論に結びついた可能性があります。

また、給料に関しては私が何かを申し上げることのできる立場ではありませんので、ここでは特に取り上げることは致しません。喫緊の問題、かつ今後改善していくことができるポイントがあるとすれば、それは滋賀医大を選ばなかった理由として挙げられているネガティブな印象になるかと思います。

ここに書かれている結果を見ると、教職員の行動・言動・そして診療は学生にずっと見られていて、いわゆるHidden curriculum(隠れたカリキュラム)として、滋賀医大の印象を形成するのに大いに寄与していることがわかりました。

ちなみに教員以外にも、コメディカルスタッフや学生課、それに制度そのものに対する意見も多々ありました。

1年以上の長きにわたって、臨床実習(クリニカル・クラークシップ)という形で病院内を見て回り、その結果大学に対するネガティブな印象が形成されたとすれば、これほど残念なことはありません。教育のために頑張っている教職員もたくさんおられるにもかかわらず、ポジティブな感情は残らず拡がらず、ネガティブなものが残り拡散される傾向にあるのは、いずこも同じであります。

これらの結果から、自分たちが思っている以上に、学生(だけではありません、もちろん患者さんも、同僚も、です)は自分たちの行動・言動・診療を見られている、ということをフィードバックしていく必要があると考えました。

そのような教職員側への意見を、どんどん積極的に集めてフィードバックしていくシステム作りをする必要があるのかもしれません。現在「アンプロ学生」を取り上げるシステムはあるわけですから、アンプロ教職員も取り上げ、改善を促していくということになるでしょう。

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posted by 長尾大志 at 13:06 | Comment(0) | 教育理念・メッセージ

2019年08月11日

6回生全員アンケート結果

6回生全体アンケート、集計結果

約110名中80名の回答を頂きました。

【集計結果】
滋賀医大を第1志望とする人(N=16、複数回答あり)が、滋賀医大を選んだ理由
  • 医大に好印象があるから(母校、慣れている、優しい先生、勤務態勢、地元、知り合いなど):19

  • 将来滋賀に残る、マイナー志望、ラボの研究が終わらない、など条件による(やむを得ない)選択:7

  • 他に出たい理由が特にない、初期研修から他大学にいくメリットがわからない、など消去法で:4



滋賀医大を第2選択以下とする人(N=51、複数回答あり)が、滋賀医大を選ばなかった理由
  • 立地・駐車場・給料:30

  • 一度新しい環境、県外に行きたかった:21

  • 症例数が少ない・救急の症例が少ない・ない科がある:17

  • negativeな印象ゆえ:15

  • 関連病院が少ない:3

  • 研修レベルが低い:2

  • 志望科がなかった。入局先として第一候補ではないから:2

  • 一身上の都合 :1


滋賀医大を選択しない人(N=13、複数回答あり)が、滋賀医大を選ばなかった理由

  • 立地・駐車場・給料:10

  • 研修レベルが低い:9

  • negativeな印象ゆえ:5

  • 症例数が少ない・救急の症例が少ない:4

  • 関連病院が少ない:3


滋賀医大を第一志望としている方が滋賀医大を選んだ理由として、半数以上の方が滋賀医大にポジティブな印象があると回答されましたが、残りの回答には消極的な(消去法による)選択も見受けられました。

滋賀医大を第二志望以下としている方は、1/3が立地・駐車場・給料の問題を挙げられましたが、半数近くの方がそれ以外の、滋賀医大に対するネガティブな印象を理由として挙げられていました(複数回答あり)。

滋賀医大を全く志望されていない方は、やはり立地・駐車場・給料の問題が1/3ありましたが、それ以外の理由はほぼ滋賀医大に対するネガティブな印象ということでありました。

いずれにしても、駐車場問題はかなり根深いことがよくわかりました。本学は立地が山の上であり、自家用車による通学を希望する学生が多いにもかかわらず、駐車場のキャパシティが大変限られており常に不足している状態です。

で、現6回生は車通学突然認められなくなったという規約の改悪があったために、大学に対するネガティブな印象がかなり強くなっているという記載が数多く見られました。元々できていた、期待していたことが理不尽に反故にされてしまうのは、感情的にかなりネガティブに働くことでしょう。

実際、教職員でも、中途半端に?近隣に住んでいることから駐車場が使えなくなり、大学を辞めてしまった先生がいます。

これに加えて、ネガティブな理由の中には、目を背けたくなるような「生の声」が少なからずありました。ここにはとても掲載できませんが。

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posted by 長尾大志 at 16:46 | Comment(0) | 教育理念・メッセージ