2019年03月26日

気管支喘息/COPD安定期の対応1

気管支喘息と診断したら、どの程度の重症度かを評価し、それに基づいて安定期の治療を組み立てます。未治療で始めて診断されたときの重症度は、主に喘息症状の頻度、強度、夜間症状とPEFやFEV1を参考に評価します。

で、症状によって、治療ステップを決め、そのステップに基づいてコントローラーを適宜組み合わせて治療をします。

実臨床では、よほどの重症でなくてステップ3くらいまでなら、ICS/LABA合剤の標準量を開始してみる、という感じで治療を進めることが多いように思います。

で、治療中の症例においては、コントロールが出来ているかどうかを評価し、コントロール不良であれば治療ステップを上げる(=薬剤を増やす、追加する)、コントロール良好であれば治療ステップを下げる(=薬剤を減らす)、という感じになります。

現在のコントロール状況を把握する

現在のコントロール状況を把握する項目として、咳、呼吸苦、喘鳴、睡眠障害、活動制限や増悪の頻度などを確認します。

また、ピークフローをモニタリングし、日内/週内の変動をみるのも参考になります。



…ちょっと諸事情で、これ以降しばらく更新がストップいたします。3,000記事目も間近で、楽しみにお待ち頂いている方には申し訳ございませんが、気長にお待ち頂ければ幸いです。

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posted by 長尾大志 at 17:37 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年03月25日

気管支喘息/COPD急性期の対応4

急性期を乗り越えて安定したら、診断を確定して安定期治療に移行します。

ただし、気管支喘息か、COPDか、はたまた合併例(ACO:Asthma and COPD Overlap)かの鑑別はしばしば難しいものです。

初学者の方には、わかったようなわからないような『喘息予防・管理ガイドライン2018』の診断基準よりも『喘息とCOPDのオーバーラップ(Asthma and COPD Overlap:ACO)診断と治療の手引き2018』に挙げられている基準の方が明快でわかりやすいと思いますので、そちらを参照されることをお勧めします。



■ COPD と診断がついている症例の急性期診療(COPDの増悪)

COPDの増悪とは、「息切れの増加、咳や痰の増加、胸部不快感・違和感の出現あるいは増強を認め、安定期の治療の変更が必要となる状態をいう。ただし、他疾患(心不全、気胸、肺血栓塞栓症など)の先行の場合を除く。症状の発現は急激のみならず緩徐の場合もある。」と定義されます。(『COPD診断と治療のためのガイドライン第5版2018』より引用)原因としては感染などが契機になる事が多く経験されます。

治療の基本はABC+呼吸管理です。

A(antibiotics)抗菌薬
B(bronchodilators)気管支拡張薬
C(corticosteroids)ステロイド

喘息発作のときと似た薬剤を使いますが、COPDとわかっていると進め方がいささか異なります。そもそも喘息発作は治療に速やかに反応することが多いですが、COPD症例の回復には時間がかかります。ですから喘息症例は「治療への反応」をみて入院の判断をしますが、COPD症例では重症度、現在の状態などから判断することが多いと思います。


・COPD増悪を疑ったときに必要な検査

動脈血液ガス分析
胸部単純X線写真
血液検査
心電図
また、必要に応じて胸部CTや、感染を疑った際には喀痰検査も行います。心不全との鑑別が必要な際は血清BNP測定や、心臓超音波検査を行います。


・入院適応の判断
総合的な評価が必要ですが、目安として以下のような項目を参考にして判断します。

低酸素血症の悪化・呼吸不全
錯乱、傾眠などの症状
初期治療に反応がない
入院が必要なレベルの感染症が原因の場合(点滴抗菌薬が必要)
独居や高齢者など、在宅サポートが乏しい


外来での投薬
@β2刺激薬(SABA)吸入
 メプチン1A+生理食塩水10mLをネブライザーで吸入 繰り返し吸入も可能

Aステロイド
 経口プレドニンレジスタードマーク0.5mg/kg 5〜7日間処方

BCOPD増悪時には発熱、膿性痰などを認めることが多く、抗菌薬を投与することが多いでしょう。
COPDの気道感染原因菌はH.influenzae、肺炎球菌、M.catarrhalisなどの頻度が高いとされているので、アモキシシリン+クラブラン酸やレスピラトリーキノロンなどがよく使われます。


入院での投薬
@β2刺激薬(SABA)吸入
 メプチン1A+生理食塩水10mLをネブライザーで吸入 1日3〜4回

Aステロイド点滴静注
 ソルメドロールレジスタードマーク40〜125mg+生食50〜100mLを点滴投与 1日数回

B低酸素であれば、(血ガスで二酸化炭素貯留の有無を確認し)酸素投与
COPD症例では増悪時にCO2ナルコーシスをきたす危険性があり、二酸化炭素貯留の有無を必ず確認しておくべきです。二酸化炭素貯留がありアシデミアになっていればNPPVを導入します。

C抗菌薬
 スルバクタム・アンピシリン
 セフトリアキソンなどが使われます。

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posted by 長尾大志 at 17:54 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

送別会写真

先日、この春で新天地に旅立たれる先生方の送別会が執り行われました。

若い先生方は期待に満ちあふれ、新たな世界での飛躍を念願しております。毎年自分を顧みては、1年間で何も成長してないなーと実感するばかりです。

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安田良さんのお肉は変わらず素晴らしい。こちらは変わらないことの値打ちを実感いたします。

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posted by 長尾大志 at 12:22 | Comment(0) | 日記

2019年03月23日

謎の荷物たち

ドカドカと、大荷物が…

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やって参りました。これは一体…?

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posted by 長尾大志 at 23:49 | Comment(0) | 日記

2019年03月22日

気管支喘息/COPD急性期の対応3

既に喘息と診断がついている症例でも、ほぼ同じ治療になりますが、A点滴静注のタイミングで、ステロイドに加えてネオフィリンを投与することがあります。私世代の先生方までは馴染みがあるのではないでしょうか。

A’ アミノフィリン点滴静注
ネオフィリンレジスタードマーク125mg〜250mg+ソリタT3号200mL/5%ブドウ糖液250mLを点滴投与

メタ解析などでは有効性がなかった、と分が悪いのですが、効果の立ち上がりが遅いステロイドに併用することで、患者さんの症状改善が早い…と症例報告/経験的にいわれています。

ただし、ネオフィリンは体内でテオフィリンに変化するため、テオフィリン経口薬を常用している症例では血中濃度が上がりすぎて中毒症状(動悸や頻脈、悪心・嘔吐など)が生じる恐れがあるため、経口薬を常用しているかどうかで話がだいぶ違います。

具体的にはアミノフィリン250mgを1時間で点滴静注投与すると、血中濃度が約8μg/mL上昇するとされています。テオフィリン徐放製剤を1日400mg内服している場合、血中濃度は10μg/mL程度になっているといわれていますので、そこにアミノフィリン250mgをどどっと点滴すると、中毒域の15μg/mLを越してしまうので具合が悪い、ということになります。

そこでテオフィリン内服中の症例では、125mgをもう少しゆっくり投与する、など工夫されていましたが、そういうことを考えるのが面倒だ、とばかりに最近はすっかり廃れている印象ですね。なおテオフィリンを内服していない症例では、250mg程度のアミノフィリンを使用することは問題ないのではないかと考えられています。


D最重症例には0.1%アドレナリン(ボスミンレジスタードマーク)0.3mg皮下注


■アスピリン喘息、NSAIDs過敏喘息、AERD(aspirin-excerbated respiratory disease)とは?

シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害作用を持つNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の投与で、鼻閉・鼻汁・喘息発作などの気道症状が出る、非アレルギー性の過敏症(不耐症)です。

名前に「アスピリン」と入っていますが、決して「アスピリンだけに対してのアレルギー」ではありません。日常的に、アスピリンに限らず、NSAIDsの内服、座薬、貼付薬、塗布薬などすべての使用を避ける必要がありますので、最近ではアスピリン喘息という名前を使われなくなってきています。

特に気をつけたいのが発作時のステロイド投与で、コハク酸エステル型ステロイド製剤を急速静注すると発作が悪化しときに致死的な増悪を来すことがありますので注意が必要です。

その場合、内服ステロイドか、リン酸エステル型ステロイド製剤の点滴静注で対応します。

安全に施行できるとされる投与例:
リンデロンレジスタードマーク4mg+生食100mLを点滴静注

それでももし過敏症状が出てしまったら・・・!?
迷わず0.1%アドレナリン(ボスミンレジスタードマーク)0.3mg皮下注投与を行います。

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posted by 長尾大志 at 17:18 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年03月21日

『主要症状からマスターするすぐに動ける!急変対応のキホン』ご献本頂きました!

ただ今ノリにノっている、坂本壮先生によります主要症状からマスターするすぐに動ける!急変対応のキホンをご献本いただきました。

これはナース向けの本です。特に、院内での急変対応にテーマを絞った、極めて実践的、かつわかりやすい構成になっています。

急変時の主要症状といえば何でしょう…?

まずは心停止、それから意識障害、意識消失、そしてアナフィラキシーと発熱、この五つなんですね。この五つの状況で、何を考え、どう振る舞うべきか。大事なことを漏らさず、しっかりとわかりやすく記載されています。

一流の救急医である坂本先生が、おそらく周りの看護師さんに求めているであろうこと、つまり「一流の対応とは、その場面で何を考え、どう動くのか」ということについて簡潔に述べられていますので、これを読んだらすぐに動ける、すぐに現場で使える知識を学ぶことができるというのがポイントです。

薄くて読みやすい、写真やイラストも多く、分かりやすい本になっています。これまでの坂本先生の本は、分厚くて盛りだくさんで、確かに素晴らしいのですが、看護師の方にはいささか、気軽に手に取れる…という感じではなかったかもしれません。そんな救急領域の看護師さんに、お待たせしました、待ってました、って感じすね!

それにしても、坂本壮先生が毎年毎年新しい書籍を出していかれる勢いは、ものすごいですね−。

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posted by 長尾大志 at 21:27 | Comment(0) | 日記

2019年03月20日

気管支喘息/COPD急性期の対応2

喘息とCOPDは合併例も多く、しばしば除外鑑別が困難です。また、喘息の発作(急性期)とCOPDの増悪期は、治療法がよく似ています。初診の患者さんで喘息かCOPDか判然としない、という場合に、無理に診断を決めてしまう必要がない、というのもまた一つの見解であります。

これまでに喘息、あるいはCOPDという確定診断がなされていない「喘鳴と呼吸困難を訴えた症例」では、まず少なくとも身体所見や胸部X線写真から、上気道疾患、心不全や他の呼吸器疾患を除外します。それができたら喘息発作および/またはCOPD増悪と考えて、以下のような治療を開始します。

@β2刺激薬(SABA)吸入
 メプチン1A+生理食塩水10mLをネブライザーで吸入

Aステロイド点滴静注
 ソルメドロールレジスタードマーク40〜125mg+生食50〜100mLを点滴投与

B低酸素であれば、(血ガスで二酸化炭素貯留の有無を確認し)酸素投与
二酸化炭素貯留があればNPPV

C発熱、膿性痰など、感染を疑う要素があれば抗菌薬投与

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posted by 長尾大志 at 18:36 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年03月19日

気管支喘息/COPD急性期の対応1

救急の現場で、喘鳴や呼吸困難のある症例を診ることはしばしばあると思います。喘鳴や呼吸困難があって救急受診するような疾患、鑑別診断はまず喘息が頭に浮かぶかもしれませんが、緊急事態という意味では上気道の疾患を鑑別に入れておく必要があるでしょう。

有名なのは急性喉頭蓋炎、それからしばしばあるのがアナフィラキシーです。急性喉頭蓋炎は咽頭痛(喉の痛み)という特徴的な訴えがあるので、想起することは可能かと思われます。アナフィラキシーはやはりきっかけが大事ですし、加えて蕁麻疹などの皮膚症状それから ショックなどの徴候が見られるでしょう。

上気道を除外しても、特に高齢者の場合、COPDと心不全の可能性を常に考えておく必要があります。

またそれら以外にも喘鳴をきたす疾患はたくさんあり、除外が必要ですが多くのものは胸部 X 線写真を撮影することで除外診断が可能です。

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posted by 長尾大志 at 17:25 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年03月18日

第4回腫瘍センター講演会見聞録2

『がん治療の歴史を変えた免疫チェックポイント阻害剤』ご講演の振り返り、続けます。

偽増大と別に、Hyper Progressionという現象もあります。ICI を投与した後、急に腫瘍が大きくなるような現象であり、頻度的には十数パーセントと、決して無視できないことから、今後はHyper Progression を防ぐためにICIを抗がん剤と併用する方向になるだろうと考えておられました。

リチャレンジ、つまり再投与についても、症例が豊富なご施設だからこそ多くのご経験があり、ある程度効果があることも経験されているとのことです。特に1回目の投与で効いていなかった症例が再投与で効いた、という例を見せて頂くと、希望が出てきます。

それからステロイド内服症例でのICIの効果について触れられましたが、これはICIが免疫を賦活する薬剤であることを考えると、誰しも疑問に思われるかと思います。どうやらベースラインのステロイドの量によって効果は異なっていて、10mg/日以上服用している症例ではどうやら効果が薄そうだ、というエビデンスが出ています。

ただこの結果の解釈として、10mg/日以上ステロイドが必要、ということはそれなりのPSであるということを考慮すべきとも言われていて、そもそもICIがPS不良例に効果が低いことを考えると、ステロイドそのものがどの程度効果を低めるのかについてはまだ結論が出ていない、ということです。

また抗PD-1抗体と抗PD-L1抗体で効果などに差があるか、というお話もありましたが、これはこの度のスポンサー、COIなどを考えると、ここで触れない方が良いかなと思います。

副作用についてはこれまでにも多くの報告があり、まあとにかく多彩であるということが分かってはいます。一点、間質性肺炎に関して言っておられたのは、いわゆるTKIなどによる間質性肺炎(発症すると大変予後が不良)に比較すると、ICIによる間質性肺炎はステロイドの効果が期待でき、予後は良い方であるということです。逆にICIで間質性肺炎を起こす症例では奏効例が多いということも言われています。

もちろん間質性肺炎がある例にICIを積極的に使いましょう、ということではありません。ただGrade1であれば再投与しても再燃は少なく、Grade2や3の症例では再投与で2/3が再燃していますので、Grade1であれば再投与もOKかもしれません。

これらのエビデンスを基に、ご施設の方針として患者さんが希望されれば間質性肺炎様の陰影があっても、よくよく話し合い説明のうえ投与することはある、とのことでした。

TKIとの併用・連用では間質性肺炎のリスクがさらに上がるため危険である、特にICIが先でTKIが後ということになると、ICIは半減期が長いのでTKIと併用することになってしまう、これは具合が悪いと言われました。

それ以外の副作用としては、甲状腺炎を起こした症例は予後が良い、などなどいろいろなお話がありました。副作用に関してはたくさんの病名があるわけですが、患者さんにたくさんの病名をお話ししても混乱されることが多いため、どちらかというと症状を患者さんに説明しておくことで、早めの発見対処を可能にできるというお話もありました。


たくさんの症例経験から実際の現場で役立つお話をして頂きました。倉田宝保先生、本当にありがとうございました。

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posted by 長尾大志 at 17:55 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2019年03月16日

今年度のクリニカル・クラークシップ終了

昨日で今年度のクリニカル・クラークシップが終了し、春休み期間に入りました。

最近は臨床実習の期間が増えに増え、長期休暇がめちゃくちゃ短い、学生さんも大変ですが、こちらも大変です…。

振り返ってみると、今年は移行期、といいますか、循環器内科と合わせて2週間、学生さんがあっち行ってこっち行って、という中、学習効果を出来るだけ高めるためにどうすればいいか、試行錯誤の年でした。

ようやく来年度(4月)から呼吸器だけの期間を頂くことが出来、患者さんの担当をしっかりやってもらう実習をスタートさせることが出来ます。

学生さんの心に響く瞬間は、やはり、患者さんを診ている、そのときなのだ、ということはこの1年で痛感しました。机上の理論は5年生の実習現場では不要。病棟担当の先生方の力も借りて、学生さん、そして屋根瓦の上方、1年目、2年目研修医の皆さんにも、医学、呼吸器内科学の奥深さ、興味深さを是非知ってほしい、と画策しております。

これまでやってきた経験を活かし、学生さんはじめ、多くの先生方に教えて頂いたアイデアやヒントを取り入れ、「日本で最高の呼吸器実習」となるよう頑張っていきたいと思います。まあ、実習レベルは、学生さん次第のところも多々あったりしますけれども…。

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posted by 長尾大志 at 23:37 | Comment(0) | 日記

2019年03月15日

第4回腫瘍センター講演会見聞録1

続きましてご紹介すべきは、2月下旬に行われた某アレルギーフォーラムなのですが、これについてはもう思い出したくもありませんので、これ以上は書きません。今後某社さんの関わる研究会には参加することはないだろうと思います。

気を取り直して、3月6日に本学リップルテラスで開催された第4回腫瘍センター講演会(キャンサーボード共催)におきまして、関西医科大学附属病院呼吸器腫瘍内科教授倉田宝保先生によります『がん治療の歴史を変えた免疫チェックポイント阻害剤』というご講演について振り返りたいと思います。

免疫チェックポイント阻害剤(ICI)のお話はよく聞くことがありますが、いわゆるガイドラインをなぞった、決まりきった話ではなくて、実際載っていないことをどうしておられるか、そういった話が大変興味深かったです。

今では外科手術とICIはガイドライン上相容れないことになっておりますが、まずICI使用後に手術や生検をして、癌細胞が消失しているということも経験されるので、今後はICI先行で、それから手術をして、手術標本で局所の癌細胞が消失していればそれで終了、みたいな治療が標準化されるのではないか、という夢のあるお話もありました。

分子標的薬剤は、本当に癌の治療において革命的な効果、予後の延長をもたらしましたが、残念ながらずっと使っていると必ず耐性化が起こり、なかなかそれだけで治癒に至るのは困難であると分かってきました。消えているように見えても、治療をやめると再発することも知られるようになってきました。

ということで治癒とか、本当の意味での長期生存を可能にするのはICIではないかと期待されています。PD-1阻害剤投与後に化学療法をした研究では、PD-1阻害剤投与後の化学療法は効果が高いことが明らかになっています。

ICIのバイオマーカーとしてPD-L1の発現、遺伝子変異の数=TMB(Tumor mutation burden)、そして腫瘍周囲のリンパ球浸潤の状況が豊富なほど良い、というようなことがいわれています。

PD-L1は5年生存率と関係がないということが明らかになっています。それ以外の研究でもPD-L1だけで治療効果の予測が必ずしもできないとわかっています。原因の一つとして挙げられていたのは、生検サンプル内でのPD-L1の染色そのものが不均一である、時間の経過で発現が変化する、などなど、染色自体が大変不安定なものであることです。

ドライバー変異陽性例にはICIは効きにくいことが明らかになっています。ドライバー変異が陽性ということは、代表的な変異1つとかで癌化している=TMBが少ないということになりますから、それは納得ができます。

腫瘍周囲にリンパ球がたくさん浸潤してきているものをhot tumorといい、来ていないものをcold tumorといいます。一例として膵癌は、癌細胞周囲にリンパ球がほとんどおらず、免疫チェックポイント阻害剤も効かないという例を挙げられました。

抗癌剤や放射線は、リンパ球を活性化しcoldなものをhotにする効果がある、といわれていますので、ICIも単独ではなく抗癌剤や放射線との組み合わせが期待されているところです。

それからICIはいつまで続けるのか、という疑問があります。治験では2年間投与し、PDにならなかった症例や奏効した症例は2年で投与をやめた後も効き続けて長期生存が見られているということが明らかになっています。実際どの程度続けるか?ということは、まだ定まった方針までは出ていません。

それから偽増大の問題があります。これはICI投与後腫瘍が画像上大きくなっていても、実際には腫瘍周囲にリンパ球が集まっているのを見ているもので、実は効いていた、というものです。この概念がいわれ始めた当初は結構インパクトがあったものですからもっと多いのかなと思っておりましたが、言われていたほどはないと。頻度的には5%程度ということです。

効果判定という意味では結構厄介な偽増大、画像では全くわからず、腫瘍マーカーもあてにならないことがあると、そこでどうするか。倉田先生は、通常2ヵ月後に効果判定するところを3ヶ月後に画像検査で効果判定をするようにされているそうです。なぜなら、3ヶ月後に偽増大をきたしている可能性はおそらくほとんどないと考えておられているからです。

お話が盛りだくさんでしたので、もう少し続けます。

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posted by 長尾大志 at 17:29 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2019年03月14日

第9回滋賀IPF研究会見聞録

もう少し振り返りが続きます。こう見えて(勉強していないように見えて)実のところちょこまかと勉強しているのです…。

去る2月21日に行われた、第9回滋賀 IPF 研究会におきましては、公立陶生病院呼吸器アレルギー疾患内科副院長兼主任部長の近藤康博先生によります『IPF診療の最前線』というタイトルでお話をいただきました。公立陶生病院は超有名、近藤先生も超有名ですが、日本における間質性肺炎の中心的役割を果たされている、規模も大きいですし扱われている患者さんの数も圧倒的に多い施設であります。

呼吸器スタッフの数も多く、入院患者さんも多く、VATsを年間50例くらいされているということで、やはりいつも、画像もそうですが病理組織を使った、説得力のあるお話をしていただきます。

こちらも少し前の話になりますのと、メモを取るのがいっぱいいっぱいであったこともあり、印象に残った点+所感の箇条書きになることをご容赦いただければと思います。

(内容振り返りここから)
・検診発見で異常影間質影のみ見られる群をILA(Interstitial Lung Abnormalities)と言う。無症状で潜在性な間質性肺炎患者が、CT検診の普及で発見されることが増えていて、その一部はIPFに進展し、急性増悪で不幸な転帰となる可能性があると報告されている。

・2011年du Bois論文(AJRCCM Vol. 184, No. 12 pp. 1382–1389)で、6ヶ月間のFVCの低下率と、その次の1年での死亡率を見た論文が印象的である。低下率が5%未満であれば死亡率5%以下、5〜10%であれば死亡率は12%、そして10%より多い場合の死亡率は24%にもなる。

・死去されるIPF患者さんの4割は、3ヶ月前にはそうなることは夢にも思わないくらいの重症度であったりする。亡くなる原因の40%は急性増悪である。

・ピルフェニドンはNNTが31人くらい、つまり31人治療することで、1年間で1人亡くなる人を減らすことができるということ。これが医療費に対してどの程度リーズナブルであるかというような観点も今後は必要かと思われる。

・FVCが70%未満の人は、年間16%急性増悪を引き起こす。

・抗線維化薬を使うからにはIPFとの診断は絶対である。

・HRCTでのパターン、Indeterminate for UIPは、他の疾患に合致するものではないがUIPとも言えない、という所見で、早期の IPF はここに入る。IPFの可能性が50〜70%と見込まれるものである。

・それに対してAlternative DiagnosisはUIPとは違うという意味合いになって、それでもIPFの可能性は50%未満ながら残るとのこと。

・Indeterminate for UIPやAlternative DiagnosisであればIPF以外を一応想定するけれども、IPFの可能性も捨てないという態度が必要。これらの場合、ステロイド+免疫抑制薬の治療を試みて、抵抗性があればIPFと診断して抗線維化薬を使うことになる。

・生検しなくてもいい、という決断を下すにはMDDを経ていることが条件だと考えられている。少なくともUIP以外と考えられる時には生検をすべきである。

・公立陶生病院では、公立学校共済組合近畿中央病院放射線診断科部長の上甲 剛先生、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病理学/病理診断科教授の福岡順也先生と週1回MDDカンファレンスを行っている。
(ここまで)

やはりそのぐらいしないといけないんだなあ…と思いました…。

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posted by 長尾大志 at 17:57 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2019年03月13日

【在宅呼吸不全患者に関する講演会】見聞録

これもずいぶん昔の話になってしまいますが、去る2月18日(月)、国立病院機構南京都病院 呼吸器センター 内科医長 角 謙介 先生によります【在宅呼吸不全患者に関する講演会】を拝聴いたしました。

演題名は「NPPVのすべらない話」。角先生は以前にも書きましたが、昔私が京大にいた頃、(随分前ですけれども)一緒に働いていたことがあり、その頃からワードセンス、ギャグセンスにキラリと光るものをお持ちでした。

今回のお題は角先生ならではのタイトルで、随所に工夫とセンスが見える素晴らしいお話でした。自分の講義とかに取り入れたい喩えがたくさん。

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盛り沢山のお話でメモを取るのがなかなか追いつかず、要所要所でのメモ書きを見て印象に残ったことを振り返りたいと思います。

まずいちいち喩えが秀逸。例えば正常肺を、小さな腰のある風船がたくさんある様子に例え、気腫肺を大きいピロンピロンの風船一個に例えた図はつかみに効果的と思いました。

そうかと思えば他にも色々喩えがあり、一番印象的だったのがパンの喩えです。正常肺が普通の食パンだとしたら、COPD(気腫)の肺は、膨らませすぎた過発酵の食パンになると。

私はパンを作らないので、過発酵がいまいちピンとこなかったのですが、やはり空間が大きくなり、嚢胞性変化も多数出てくるような断面になるようです。

結核は治るときに周囲、胸膜や周辺部分が卵の殻みたいに硬くなる、ということで、外がカチカチ、中はもっちりほかほかのフランスパンに喩えられました。

脊椎後側弯症は、鞄に入れて変形したパン、つまりパンそのものは変質していないのに、外からの圧力によって形が変わった様子を喩えられました。

そして秀逸だったのが肺水腫をフレンチトーストに喩えられたくだりです。肺に水が染み込んでいる様子をハッキリと想起することができました。これは使える。

それから間質性肺炎は、一週間おいてカチカチになったパン。もう少し縮むという要素も表現するような喩えがあるといいですね。少し考えましょう。

後半はNPPVについて、たくさん教えていただきました。

NPPV の「モード」は自発呼吸との付き合い方によるものです。よくあるS/T、それからT、そしてSモードの喩えは、Sモードが出来杉くん、放っておいても自分で勝手にきっちりやってしまうので、無理強いする必要がない、つまり自発呼吸がしっかりあるので、無理やり外から換気をやらせる必要がないという説明で、思わず膝を打ちました。

Tモードはのび太です。つまりこちらが全て無理やりやらせないと、普段から昼寝ばかりしていて全く何もしない、ということを鮮やかにいい表されました。

S/Tモードは普通の人、スネ夫だと。別にスネ夫でなくてもいいんでしょうけれども、ある程度自分でやるけど、ある程度は強制的にやらせる、そんな感じでしょうか。

PEEPやEPAPの説明で、内因性PEEPを消すことの意義について、大変分かりやすく説明していただきました。これはここで一口には書けないので、今後COPD の説明をする時に取り入れていきたいと思います。他にもNPPVの話、細かい設定の話など、たくさん教えていただいたのですが、これは書いていいかどうかよく分かりませんので、また何かの説明の時に取り入れていきたいと思います。角先生、本当にありがとうございました。

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2019年03月12日

『京都医療センターの会』に参加しました!

先日参加させていただいた、『京都医療センターの会(正式名称は誰も知らない)』において、いろいろと学ぶところがありましたので、ここで書けることだけ、ほんの少しシェアさせていただきたいと思います。この会は毎回いろいろな症例を提示頂くので勉強になるのですが、半分?クローズドのような気もするので、詳細は書きませんです。

(ここから内容をチラ見)
石灰沈着の多い症例に関して、肺骨化症の診断は骨シンチで行う。カルシウムが沈着する疾患として、腎障害や副甲状腺機能異常、アミロイドーシスからの石灰沈着などが考えられる。

移植後BOは、移植後発症するまでに中央値335日、血縁者間のPBSCTや慢性のGvHDが先行していることが危険因子である。PBSCTは多量の血液を輸注していて、リンパ球がたくさん入ることがBOの発症につながっていると考えられている。

最近ではBOを「厳密に病理で」診断するというよりは、一秒量の低下のみで診断するBOS(BOシンドローム)という考え方で、早期治療を図っていくという方向にある。CT所見と閉塞性障害(FEV1が前値から20%以上の低下)があればBODと診断出来る。

重症例のCTでは、モザイクパターンが消失している。その場合、肺血管の狭小化や減少が診断のための最も重要な所見となる。逆にそういうところから考えると、モザイクという所見の本態はair trapだけではなく、血流の低下という側面もあると考えられる。

BOの治療はなかなか難しいが、UpToDateにあるものとして、アジスロマイシン、タクロリムス、ステロイド、ロイコトリエン拮抗薬(モンテルカスト)、ICS/LABAなどを併用する。

肺癌診療において、副腎転移の確認診断はしばしば治療方針を決定する上で重要だが、左の副腎へは胃内視鏡EUSを使うことで比較的容易にアプローチできる。

ニボルマブ使用中に免疫再構築現象が起こってきた時に、結核も真菌感染も発症しやすいとされている。
(ここまで)

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2019年03月11日

Scientific Exchange Meeting「アレルギーと体内時計」見聞録

もう少し復習シリーズが続きます。2月7日に参加させていただきました Scientific Exchange Meeting、ここでは私自身が「咳・息切れ診療における胸部X線写真の使い方-COPDを念頭に-」というタイトルでお話をさせていただきましたが、特別公演のもうお一方は、山梨大学医学部長・免疫学講座教授・山梨大学医学部附属病院アレルギーセンター副センター長の中尾篤人先生で、「アレルギーと体内時計」というお話を拝聴いたしました。

何となく知っていたものの、あまりきちんと認識していなかった「体内時計」「概日時計」の概念、各々の細胞にも時計遺伝子が埋め込まれている、というお話から、体内時計によって、例えばポジティブな感情は午前中に起こり、ネガティブな感情は深夜にピークになるなど、身近な「あ、そうか」という話題から始まりました。

やはり身近な話題から始まると、引き込まれますよね。時計遺伝子BMAL1の感じる1日が24.2時間であって、放っておくとズレるものであり、視床下部にある視交叉上核(中枢時計)が網膜と直結していて、(朝の)光を浴びることによってズレをリセットするというお話、これもなんとなく聞いたことはあったのですが、実際の理屈をお聞きして腹落ちがしました。

特にPCやスマホのブルーライト、LEDもそうですね。こういうものを浴びることによって時差ぼけになるというお話、これは最近話題になっていました。

シフトワークをしている人は日本で1200万人、これらの人々が時差ボケといいますか、体内時計の攪乱が起こっているわけです。勤務年数が長い(夜勤が多い)看護師さんに乳癌が多い、男性シフトワーカーに前立腺癌が多い、時計遺伝子変異マウスはメタボで短寿命になるなど、時差によって健康に影響をきたす事例を伺い、「規則正しい生活」はとっても大事なことなのだと思いました。

それから、朝食は直接末梢時計に働くことから、朝食をしっかり摂ることも時差ぼけの予防に重要なことだとされています。朝食はしっかり食べているので安心しました。

喘息発作はなぜ夜間に多いのか、ステロイドを朝投与するか夕方投与するか、というお話では、概日時計を用いた理論を紹介していただきました。ここのところはこれまで私が常識として持っていた、交感神経・副交感神経のバランスであったり、温度の変化であったりといったところとかなり異なる理屈があり、なかなか難しかったです。

全体的にこれまでの常識とは違う刺激的なお話が多く、自分でも実験してみたいと思わせられました。中尾先生本当にありがとうございました。

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posted by 長尾大志 at 17:58 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2019年03月10日

感染症プラチナマニュアル2019

感染症プラチナマニュアル2019を献本頂きました!

この手のひら大の、小さなポケットマニュアルに、今の日本で、感染症の臨床で必要なことが、しっかりと網羅されている、大変便利でありがたい書籍なのです。

手のひら大なので、白衣のポケットにスッと入ります。研修医の先生方は、いろいろと入れるものがあるでしょうから、大変でしょうが…。いささか字が小さめではあるので、字が大きい方がいい、という方には『Grande(グランデ)』がございます。とはいえ、私の老眼でも大丈夫ではありますが…。

感染症の世界もどんどん新しい知見が集積されているわけですから、この『感染症プラチナマニュアル』も毎年改訂されています。

こういう、毎年出る本について、正直、今年は買うべきか、買わざるべきかと悩まれる御仁のお気持ちにも共感するところではありますが、考えてみましょう。これだけの、日常臨床に必要な情報を集めるのに、どれほどの手間暇がかかるか。

忙しい日々、その手間暇をすっ飛ばして、さっと最新の必要な情報にたどり着くことができることの価値。時間単価1万円以上?のお仕事をされていると自負されている方であれば、このマニュアルに支払う額は、先生方の時間の価値に比して極めて小さいものであろうと思われるわけでございます。買いでございましょう。

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posted by 長尾大志 at 22:18 | Comment(0) | 日記

2019年03月09日

NPO法人西日本呼吸器内科医療推進機構 第14期総会 見聞録3

NPO 法人西日本呼吸器内科医療推進機構総会では、京都大学の新たな呼吸器専門医プログラムの紹介がありました。

相変わらず京大は、スタッフ、医員、大学院生、客員研究員、それから呼吸器内科の教室以外の所属でも、本当にたくさんのスタッフの先生方がおられ、数だけを拝見していても圧倒されました。

科研費、治験、それ以外にもたくさんの「先立つもの」が動いていて、ただただ凄いなあと感じました。

新たに教授になられた四人の先生方のお話を拝聴しましたが、皆様当然、色々な経歴を経て教授になられているのですが、共通点としては皆様熊谷賞を受賞されている、ということ、まだこれは結果としての賞ですのでわかるのですが、もう1点、皆様○○病院におられたことがあるということを伺いました。

○○病院スゴい。教授製造?病院。何というところだ、何が違うのだろう、とこれまた圧倒されたものでした。

教授になられるような卓越した能力をお持ちの方は、やはり皆様プレゼンが大変お得意で、大層面白く大いに参考になる話ばかりでした。

ここで書いていいかわからない話が多く、見直してみると何とも歯切れの悪い文章ですね…。失礼いたしました。

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posted by 長尾大志 at 21:49 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2019年03月08日

『レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室 改訂第3版』amazonで予約開始となりました。

お知らせです!

『レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室』を4年ぶりに改訂させて頂きました。改訂第3版になります。

表紙.jpg

このたびのテーマカラーは「オレンジ」です。

第2版は初版発行から2年での改訂となり、いろいろとご意見を頂きましたが、今回は大きなガイドラインの相次ぐ改訂、というタイミングでの、4年ぶりの改訂ですので、「待ちに待った」という表現が相応しいのではないでしょうか(自分で言うスタイル)。

発売は4月、まもなくです。それに先立ち、amazonで予約ページが公開されました。こちらのリンクをどうぞ。第2版ではサブタイトルが『ベストティーチャーに教わる全27章』だったんですが、第3版では『全29章』になりました。つまり2章増えました。増えたのは「胸部画像教室応用編」と「ARDSについて」です。

それ以外に既存の27章も、多くの箇所に加筆修正を行いました。昨今改訂されたガイドラインについてあれやこれややさしイイく解説し、なかでも「心不全」と「肺炎のエンピリック治療」の章は、ほぼ書き下ろしと言っていいほど書き直しました。結局手が入っていない章は27のうちの7つくらいだと思います。

なんやかんや加筆し、トータルで60ページくらい増えたようですが、お値段はわずか100円のアップにとどめて頂きました。しかもその代わりというわけではないですが、今回から読者特典として、電子版(HTML版)をwebでも読めるようになりました!詳細はこちらをご覧ください。

発売は少し先ですが、今回も何とか呼吸器学会に間に合うようです。是非多くの皆さまにご覧頂けるといいなあと思います。

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posted by 長尾大志 at 16:05 | Comment(0) | 活動報告

2019年03月07日

NPO法人西日本呼吸器内科医療推進機構 第14期総会 見聞録2

それから、応召義務についてもお話しいただきました。これは働き方改革との絡みでしばしば議論になっているように思いますが、個人的にいまいちよくわかっていませんでした。

応招義務そのものは、公法上の義務、すなわち国に対する義務だそうです。これそのものには罰則規定はないとのことですが、正当な理由なく応召義務を断った場合に、病院の義務を果たさなかったということになりますので、民事においては過失が推定されるとのことです。

例えば休日夜間の受診で、その施設で十分な対応ができないという場合、その地域に休日夜間診療所のよう当番施設がよそにあって、そこに行くようにということは問題ありません。

ただし!その場でできる応急処置はするということで、何もせずに送る、というのはよろしくないということです。

特に急を要するような状況であって、その場所でとりあえず何かすべきという時には、断ることはできないと考えた方が良いそうです。

で、働き方改革との兼ね合いなんですが、今の理解としては、働き方改革をタテに応召義務に応じない、という対応にはならないと理解しておくのがよさそうです。

それ以外にも多くのお話をいただきました。山崎先生、本当にありがとうございました。

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posted by 長尾大志 at 17:57 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2019年03月06日

NPO法人西日本呼吸器内科医療推進機構 第14期総会 見聞録

少し前から、色々な研究会勉強会に参加する機会が多く、色々な講演を拝聴するのですが、なかなか自分の中で消化しきれずスルーしてしまいそうになるので、ちょっと振り返っておきたいと思います。

2月2日のことですのでもう随分前のことになりますが、表記の会に参加して参りました。

主な目的は以前にも書きましたが、最近教授に就任なさった4人の先生方の祝賀であることは間違いないのですが、その前の総会における『医師のための法律に関するミニレクチャー』にも興味があったというのが間違いのないところです。

講師は、弁護士法人御堂筋法律事務所大阪事務所の山崎祥光先生で、『医療機関での労働実務の厳格化と働き方改革への対応』というタイトルでお話いただきました。正直この辺りの事にはかなり疎くて、勉強になることばかりでした。備忘のためといっても、もうすでにずいぶん忘れていますので記憶を想起するためにも復習をしておきたいと思います。


医療機関の労働法規への「厳格化」、基本的には今までは、医師というのは聖職であって、労働基準法などは関係なく激務をこなし、その代わりにそれなりの報酬とか敬意のようなものを得ていた、そういうことがあったわけですが、もうそれを平坦にしようと。

労働も人並み、報酬も人並みみたいな感じにするのでしょうか。まあ若いドクターは皆さんそんな志向ですので、時勢に合ってるって感じでしょうか。2016年6月に聖路加病院が労働基準監督署から是正勧告を受けて、診療体制を縮小するなどの対応をされたわけですが、それが一つの契機となって色々な議論が起こり、2019年の4月から働き方改革がいよいよ施行されるわけです。

これはしかし労働時間に限度を設けるというのが目玉的な考え方です。質とかでなく、時間で切ると。ちなみに高度プロフェッショナルは例外になるのですが、医師はただの「労働者」であり高度プロフェッショナルには当たらないというのが労働法規の考え方になります。

医療法人の理事あたりであれば、「使用者」であって「労働者」にはならない。あるいは大学院で、無給で働いているという場合は「労働者」には当たらないかもしれない、ということです。

それからもう一つ、労働時間を客観的に記録する必要が出てきます。これは労働時間に限度を設けることを監視するために、必要なことになります。具体的にはタイムカードであって、自己申告は好ましくないそうです。

残業や研修、早出、こういうものも労働時間に含まれます。しかしオンコールはグレーゾーンだそうです(一番決めとかないといけないもののような気がしますが…)。学会発表のための準備は、資格を取るもの以外は労働時間にあたるそうです。

とにかく知らないことばかりで大変勉強になりました。まだちょっと続きます。

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posted by 長尾大志 at 20:48 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録