2019年02月28日

第29回月輪呼吸器疾患研究会・アスベスト疾患をみるためのエッセンス見聞録

昨日は第29回月輪呼吸器疾患研究会でした。この会は29回目という由緒正しき会なのですが、スポンサーの某社さんの意向によりまして、今回で最後ということになりました…。

本当に長い間支えていただき、感謝しております。この会は、主に滋賀医大の放射線科・呼吸器外科の先生を中心に始まったもので、呼吸器疾患に関する、大変学びになることの多い会であったので、個人的には大変残念ですが、これも時代の流れということなのかもしれません。

で、昨日最後にふさわしい豪華スピーカーとしてご登壇いただいたのは、天理よろづ相談所病院 放射線部の西本優子先生、そして独立行政法人労働者健康安全機構アスベスト疾患研究研修センター センター長の岸本卓巳先生のお二人でした。

西本先生からは真菌症の画像ということで、豊富な症例を見せていただきました。

岸本先生には、アスベスト疾患をみるためのエッセンスということで、なかなか普段私たちが勉強する機会のない、石綿曝露で生じる肺がん、それから中皮腫の診療のために必要な、といいますか、労災や救済法の認定基準という大変実践的な内容を教えていただきました。

備忘のため少しメモを残しておこうと思います。箇条書きで申し訳ありませんが、講演の流れに沿って、自分の知らなかったことあやふやだったこと、新たな知見を中心にまとめております。


2008年に、クボタ神崎工場周辺の家庭における近隣暴露が、社会的問題になったことは記憶に新しいところであります。過去に石綿曝露があったと認められている作業として、石綿製品の製造や石綿吹付配管作業など、有名なものは当然なのですが、ガラスの製造や歯科技工士、それから映画の設備や舞台関係の仕事(これは緞帳に石綿が使われていたそうです)などもあるということに驚きました。

呉にはたくさんの石綿肺患者さんがおられたということですが、これは戦艦大和を始め、たくさんの軍艦を呉で作っていたことによるそうです。軍艦の多くには難燃性のアスベストが多量に使われていたということは、改めて伺うとなるほどと頷かされます。

WHOによると、普通?でも空気1 L あたり20本未満の石綿は浮遊している、ということで いわゆる特定できない真の環境曝露による石綿肺というものもあるのです。

石綿ばく露の医学的所見は、石綿小体と胸膜プラークです。胸膜プラークの存在は通常CTで行いますが、外科手術をした時に胸膜面に白色のプラークが見えることもあり、これを写真に撮っておくと認定の際に有利になると伺いました。

プラークの好発部位は第7から第10肋骨外側及び横隔膜上で、肺尖部や肋横角にはできないとのことですが、その理由は分からないそうです。

一方、石綿小体は病理組織や気管支肺胞洗浄液内に証明することが必要です。

特発性肺線維症(IPF/UIP)のような線維化、という意味での石綿肺があるのかないのか、今問題になっているということです。以前は確か、特発性肺線維症とCTでも鑑別が困難な典型的な蜂巣肺を持つ石綿肺もあると言われていましたが、2010年頃からそれは違うのではないかという議論が出てきているそうです。

典型的な石綿による線維化というのは、病理で見た時に、入ってきた石綿が(細気管支に引っかかって)細気管支周囲に線維化を作り、その線維化巣が手をつないでいるような所見が見られます。そんな病理像が、HRCTではcurved linear shadowを呈するとのことです。

…まだまだこれは序の口なのですが、ちょっと盛りだくさんでしたので明日に続きます。今日も「会」がありますし。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:40 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2019年02月27日

市中肺炎の初期診断と評価2

市中肺炎と診断したら、治療の場(外来・入院・ICUまたはそれに準じる病室)を決定します。

まず全身管理が必要な、敗血症の状態かどうかを始めに評価します。これには簡便に評価可能なqSOFAスコアを用いて2点以上であれば敗血症を疑い、さらにSOFAスコアでベースラインから2点以上増加していれば敗血症と診断します。


敗血症であればICU、又はこれに準ずる全身管理可能な病室で入院管理となります。敗血症がないと考えられる場合、A-DROP(日本呼吸器学会による)やCURB-65(英国ガイドラインによる)などのシステムを用いて重症度評価をします。


A-DROPでの5項目を何も満たさないものは軽症、5項目のうち1つまたは2つを有するものを中等症、そして5項目のうち3つを有するものを重症、4つ以上を有するものを超重症とします。ただしショック状態であれば、4項目満たさなくても超重症とします。

A-DROPで軽症の場合外来治療を行い、中等症の場合は外来でも治療可能ですが状況によって入院を考慮します。重症であれば入院加療が必要ですし、超重症となりますと敗血症同様、ICUまたはそれに準じる全身管理可能な病室での管理ということになります。


治療の場が決定したら、非定型肺炎か細菌性肺炎かの目星をつけます。

6項目のうち、4項目以上合致すれば非定型肺炎、特にマイコプラズマ肺炎が考えられます。3項目以下の合致であれば細菌性肺炎を疑うものとします。この項目を用いた臨床診断によって、エンピリック治療が可能となるのです。

呼吸器研修ノート

トップページへ

posted by 長尾大志 at 19:06 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年02月26日

「グラム染色道場〈肺炎診療に生かす喀痰グラム染色の見方・考え方〉 」を拝読して

少し前に日本医事新報社さんから、神戸市立医療センター中央市民病院 山本剛先生によります「グラム染色道場〈肺炎診療に生かす喀痰グラム染色の見方・考え方〉 」を献本頂きました。二度通読しまして、大変感銘を受けましたので、少し感想を書かせて頂きます。


これは『道場』です。

道場というものはそれなりのものでないと入ることすら憚られるものであって、初心者が入ると火傷をする恐れがあるものです。しかしながらある程度腕に覚えのある者にとっては、自らをさらに高めてくれる道標となるものです。私自身初心者に毛が生えたようなものであり、危うく大火傷をしそうでしたが…。

本書のスゴいところは、痰の中の「グラム染色で染まった菌」だけを見るのではなく、痰の全体像から病態に踏み込んで評価しているところです。

臨床検査技師の方がここまで患者さんの臨床経過や背景にまで思いを持ってくださっているのか、と改めて敬意を表すると同時に、自らの診療態度をも顧みるものであります。

痰を見ることでここまでわかる、となると、臨床情報を医師がどれだけ蒐集しているのか、そしてそこで生まれるディスカッションが、患者さんの病態を把握し、より良い治療につながることとなるでしょう。

この道場で研鑽を積まれることで、医師が臨床検査技師の方と同じ目線でディスカッションができるようになれば、大変価値のあることではないかと考えます。

私自身本書を拝読してから、検体の見方が変わり、細菌検査室の技師さんと少し?話が弾むようになってきて、感染症診療がより楽しくなって参りました。大変うれしく思っております。

トップページへ

2019年02月25日

市中肺炎の初期診断と評価1

肺炎とは肺実質に生じた炎症のことですが、市中肺炎という場合、通常は感染によって起こった炎症を指します。

症状としては、咳嗽・喀痰・呼吸困難・胸痛といった呼吸器/肺にまつわる症状と、発熱・倦怠感・意識障害・食事不振といった全身症状が認められます。通常急性に発症し、数日間の経過で悪化して受診に至ることが多いです。

診察上、発熱・頻脈・頻呼吸があり、胸部聴診ではcoarse cracklesを聴取します。重症例では意識障害や血圧低下ショックをきたすこともあります。

血液検査では白血球増多(左方移動を伴う)やCRPなど炎症反応の上昇が見られ、胸部X線写真でコンソリデーションや斑状の高吸収域を認めます。

通常これらの典型的な症状・所見があれば肺炎の診断に至りますが、診断に苦慮する場合、喀痰が採れればグラム染色で好中球や菌体を確認することも有効です。


市中肺炎(CAP)とは市中にいる健康な人、すなわち病院や医療介護関連施設に縁のない人に発症した肺炎のことです。

それに対して院内肺炎(HAP)というのは、病院に入院中に発症した肺炎です。入院中ということは何らかの基礎疾患を有しているわけで、加えて院内には耐性菌がうじゃうじゃいますので耐性菌が原因菌となるリスクが高いことになります。

そして医療介護関連肺炎(NHCAP)ですけれども、以前HAPとNHCAPをわざわざ分けたのですが、やはりそれほど分ける意味がなかったということで、日本の最新ガイドライン(成人肺炎診療ガイドライン2017)では院内肺炎とあわせてHAP/NHCAPというような扱いとなっています。

一応NHCAPの定義を挙げておきます。

長期療養型病床群もしくは介護施設に入所している
90日以内に病院を退院した
介護を必要とする*高齢者・身障者
通院にて継続的に血管内治療**を受けている
*Performance Status 3以上
**透析・抗菌薬・抗癌化学療法・免疫抑制薬などによる治療

呼吸器研修ノート

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:16 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年02月24日

2019年3月以降の予定(講演など)

3月以降の予定、ちょびっと増えて参りましたので、また並べてみることにします。

3月2日(土) 16時〜17時 山形県医師会 「ドクターX線〜私、読影失敗しないので〜」@大手門パルズ

5月12日(日) 8:20〜9:50 適々斎塾・研修医ことはじめセミナー 「胸部X線写真の読み方(仮)」

5月17日(金)〜日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 ようこそ私たちの診察室へAレントゲン写真のない呼吸器科診察室

6月1日(土) 9:30〜16:30 メディカ出版セミナー 「急性期・術後の呼吸器ケア」@大阪・クリスタルタワー
https://www.medica.co.jp/seminar/detail/131

6月14日(金) 音羽病院呼吸器勉強会「京都RIMカンファレンス」あの京都GIMカンファレンスの聖地、音羽病院で、Respiratory Internal Medicineをテーマとするカンファレンスを企画いたします。

6月15日(土) 関西膠原病研究会にて、胸部X線漬けの勉強会やらせて頂きます。

6月22日(土) 9:30〜16:30 メディカ出版セミナー 「急性期・術後の呼吸器ケア」@東京・建築会館
https://www.medica.co.jp/seminar/detail/131

7月12日(金) 某大学にて出張講義 大学名を告知していいのか確認していませんので一応伏せておきます。

10月27日(日) 京都府理学療法士会生涯学習部

11月11日(月)〜日本呼吸ケア・リハビリテーション学会にて教育講演

11月24日(日) 13時〜 日本医療教育プログラム推進機構(JAMEP)スキルアップセミナー「やさしイイ呼吸器」

先の予定は詳細が未定の部分も多いのですが、ご参加ご希望の皆様、講演ご依頼のご参考になれば幸いです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 21:05 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年02月23日

ピアノ発表会

以前にも同じようなことを書いていたような気もしますが…。

今日は娘たちのピアノ発表会で、見に行っておりました。やはり練習で出来ていなかったところがつまずいていたようです。

見ていて、少し前の「OSCE前実習前講義」のことを思い出しておりました。

OSCEの評価者をやらせて頂いて、特に印象的であったのが、明らかな「練習不足」でした。もちろん実技試験で緊張するのはわかるのですが、それにしてもひどすぎる、というのも、明らかに「やったことがない、もしくは、1-2回しか練習していないので、緊張で飛んでしまった」という例が見受けられたのです。

型どおりのことをやるだけなので、何回か練習さえしていれば、大きく外れたことはしないはずなのですが…練習するのが面倒なのか、練習しなくてもいけるわと思っているのか、なんなのかわかりませんが、ともかく練習不足なのです。

ですから、以前から練習の重要性を説かなくては…と思っていたところに、今年初めて「OSCE前実習前講義」を担当させて頂くことになり、兎にも角にも「練習して!」と強調し、さらに2回担当した「OSCE前実習」でも「とにかく練習して!」と繰り返しました。

おかげで今年のOSCEは、胸部のところは無難に済んだようですし、学生さんからもかなりpositiveな評判であったようで、安堵いたしました。

練習は裏切らない。いついかなるときにも真理ですね。


トップページへ

posted by 長尾大志 at 23:24 | Comment(0) | 子育て日記

2019年02月22日

FD 研修会で『学修の評価』

少し前から、色々な研究会勉強会に参加する機会が多く、色々な講演を拝聴するのですが、なかなか自分の中で消化しきれずスルーしてしまいそうになるので、ちょっと振り返っておきたいと思います。

少し前ですが、学内のFD研修会で、京都大学医学教育・国際化推進センターの小西靖彦先生によります『学修の評価』というタイトルの講演を賜りました。

講演の内容と、拝聴しながら考えたことが少しごっちゃになりますけれども、備忘のために記しておきたいと思います。

最近とかく学生の臨床実習でも研修医でも、『評価』ということがかなり重視されてきており、どのご施設の先生方も大変に事務作業が増え、ご苦労されているのではないかと思います。

評価はなぜ、何のためにやるのか。この目的は「フィードバック」であり、形成的評価、すなわち個人の成長のために用いるということです。誰が評価するのか。これは基本、指導医なのですが、最近では360度評価として、同僚やコメディカルスタッフ、それに患者さんやそのご家族などなど、多くの人々に評価していただく、フィードバックをいただく、ということが重要だと言われています。もちろん理想的にはそうですが、一様にその労をお執り頂く、というのは困難が予想されます。

何を評価するのか。アウトカムであります。アウトカムは各施設で作っていて、まぁ大体同じような「ちゃんとしたお医者さん像」になっているわけですが、アウトカムを作ったからには、それに沿うような結果になっているのかどうかを評価する必要があるということです。

海外の多くの国において、そのようなアウトカム・ゴール・目標が定められていて、そこから逆算して研修なり実習が組まれているというところです。アウトカムをもう少し具体的にし、細かく項目に分けたものをコンピテンシーといって、医師の(評価できる・観察できる)能力のことを表し、それが段階的に達成されていくのを評価者が観察して評価する。それが卒前から卒後にかけてシームレスに段々と達成されていく様子をフィードバックしていく、というのがアウトカム基盤型教育のカタチだと思うのですが、まあ、絵に描いた餅と申しますか、なかなか難しいところがあるかと思います。

アウトカム基盤型教育の目的というのはいくつかあるのですが、学生や研修医に正しい方向性を示すということ、それから重要なトピックを確実に評価するというところ、そしてカリキュラムの欠陥を見つけること、というようなこともあげられています。

到達状況のモニタリングには、プログラム化された評価、つまり誰が評価しても同じような結果になるようなものが近年の考え方で、十分Nを増やす(多面的に山ほど評価する)ことによって、総合的にその医師の能力を評価する、という方向になっています。なので山ほど評価する項目があって、山ほど作業があるわけです。

異なった複数の評価者による評価が10回以上あると、信頼性が80%以上となると言われています。そういう評価を細かくたくさんつけていこうとすると、例えば学生の間のカリキュラムであれば山ほど試験問題を作成する必要があるということになります。臨床実習においてもOSCEにおいても、山ほど問題があって山ほど評価する方が妥当な評価が出てくる。まああそりゃそうですね。

それで果たして労力に見合う「アウトカム(=「いい」医師)が得られるのか。ポートフォリオ(そういう評価を記録し残すもの)についても、きちんとやればおそらく学びは多く、学習者に対するフィードバックは甚大であるのではないかと思いますが、評価者の負担もこれまた甚大であるように思われます。評価することに関するモチベーションがどれだけ保たれるのでしょうか。

コアカリキュラムが改訂され卒前の臨床実習で経験すべき症候病態がものすごく増えました。これを果たしてウチで出来るのかどうか甚だ疑問であります。

他にも知らないことが盛りだくさんの内容をお話し頂き、大いに参考にすべきかと思いましたが、色々と疑問点もわいてきました。

最後に質問をさせていただいたのですが、そもそも指導医の質の担保が可能なのかということです。これに関しては N を増やすことで対処可能と考えておられるということでした。

もう少しそもそも論の話をしますと、指導医自体がその医師としてのあるべき姿に達していない場合、その施設での医学教育というのが端から矛盾してしまうというか、破綻してしまうというか、そういったことにならないかなという疑問がありました。

あと、この評価のために指導医の手間暇、作業がかなり増えることになりますが、それだけの手間をかけてアウトカムが良くなるというエビデンスがあるのか、今後それを検証される予定があるのか、そこが一番知りたかったところでありますが、直接ご質問するのはなんとなく憚られました…。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 18:30 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年02月21日

胸部CTの適応と基本的読影5

・網状影、蜂巣肺

細かな網の目状の陰影を網状影といいますが、特に分布が胸膜直下で、網の目の一つ一つが、小さな嚢胞(丸い形をしている)が何層にも重なっているものを蜂巣肺といいます。胸部X線写真では区別が難しいところですが、CTではこのように、嚢胞の集合している像が確認出来ます。

スライド48.JPG


・リンパ路の肥厚像

血管や末梢の気管支壁が肥厚している像です。胸部X線写真ではしばしば網状影や、蜂巣肺との区別が難しいものですが、CTではわかりやすいものです。

スライド49.JPG

呼吸器研修ノート

トップページへ

posted by 長尾大志 at 18:25 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年02月20日

胸部CTの適応と基本的読影4

孤立性・限局性の陰影

・粒状影

米粒大の大きさで、粒のように、パラパラと限局する白い陰影です。

スライド44.JPG


・結節影

粒よりは大きく、カタマリ感(腫瘤)ほどまで大きくはない限局性の陰影です。およそ直径5mm〜3cm程度のものをいいます。

スライド45.JPG


・腫瘤影

カタマリ感のある(直径3cm以上)限局性の陰影です。

スライド46.JPG


結節影・腫瘤影の随伴所見

胸膜陥入像

腫瘤影から胸膜に到達する線状の陰影です。胸膜を腫瘤が引っ張り込んだものと考えられています。

スライド47.JPG

呼吸器研修ノート

トップページへ

posted by 長尾大志 at 17:30 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年02月19日

志太呼吸器特別講演会

と、いうわけで、今日は表記の、志太呼吸器特別講演会、静岡県にお邪魔して参りました。

ACOの架け橋.jpg

実はJRが事故の影響で、予定の新幹線に間に合わず…JRの遅延で乗り遅れたのに払い戻しが不可という、なかなか凹む出来事があったり、会場到着が本当にギリギリになったり、などあったのですが、何とか滑り込み、お話をさせて頂きました。

今日はタイトル通り、昨年一気に出たガイドライン(喘息、COPD)と手引き(ACO)について、ザーッと大事なところをまとめてのお話をさせて頂きました。ACOという概念を如何にうまく使って喘息を理解するか、COPDにICSを使う場面…などなど、何とか1時間で話しきりました。

振り返ってみますと、志太医師会の先生方には、2013年に初めてお声がけ頂いて以来、10回近くお招き頂いております。いつももちろん精一杯やらせて頂くのですが、本当に喜んで頂き、ありがたい感想をいつも頂いて、こちらが元気になります。

今回も、終了後少しお話をさせて頂いたのですが、何とかご期待には応えられたようで安堵しました。また、昨年出版された『検査ができない!?専門医がいない!?現場で役立つ呼吸器診療レシピ』を医師会でまとめて購入頂き、会員様に配布され、大層喜んで頂いた、というお話を伺いました。本当にありがたいことです。多くの先生方にお役立て頂いたのが何よりうれしいです。

このような活用法、各地の医師会の皆さまのご参考になれば幸いです(笑)。
志太医師会の先生方、そして座長の労をお執り頂いた藤枝市立総合病院の小清水先生、本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 23:30 | Comment(0) | 活動報告

2019年02月18日

胸部CTの適応と基本的読影3

縦隔条件ではさらに、造影剤を注射した後に撮影する造影CTが、特に肺癌診療や肺血栓塞栓症の診断などに有用です。造影剤は縦隔条件で白っぽく写るので、造影剤を使わない単純CTよりも白っぽく写る部分は血管、ないし血管が豊富な箇所(新生血管の豊富な腫瘍性病変など)と考えられるのです。

単純CTでは、縦隔のリンパ節と血管の区別がつきにくいのですが、造影剤を使うと一目瞭然。

スライド40.JPG

造影CTにてまだらに白っぽく染まる、「造影効果」がある結節、腫瘤は悪性の可能性が高く、感度の高い検査です。逆に、造影効果がほとんど見られない場合は良性が示唆されます。

スライド41.JPG

このような質的診断以外にも、病変の存在部位、大きさ、広がり、正常構造との関係、リンパ節転移、隣接臓器への浸潤などが把握可能ですので、造影CTは肺癌の病期診断にグレードAで推奨されています。



■ 用語集

CT所見を述べるときに知っておきたい、専門用語とその実例を挙げておきましょう。


・気腫肺

スライド42.JPG

COPDや重喫煙者でみられる、正常肺野よりも黒いエリアです。


・すりガラス影

スライド43.JPG

正常肺野より白い、ある程度の拡がりを持つ陰影ですが、真っ白ではなく霧がかかった程度で、元々存在する血管影が見えるものをいいます。


・コンソリデーション

スライド16.JPG

連続性に拡がる、すりガラス影より白い(真っ白)陰影です。しばしば内部に気管支透亮像(エア・ブロンコグラム)が認められます。


さて今日はこれから、院内で行われます【在宅呼吸不全患者に関する講演会】。

国立病院機構南京都病院 呼吸器センター内科医長の 角 謙介 先生に、「NPPVのすべらない話」と題したお話を頂く予定です。めっちゃ楽しみです。

明日はいつものスパルタンな外来から、静岡県志太医師会さんにお邪魔します。更新は出来なさそうな予感がプンプン致しますので、予めお詫び申し上げます。

呼吸器研修ノート

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:44 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年02月17日

滋賀医科大学呼吸循環器内科湖筍会第33回定期総会・懇親会

昨日は滋賀医科大学呼吸循環器内科の同門会「湖筍会」、第33回定期総会・懇親会でした。

循環器内科の新教授、中川先生と呼吸器の中野先生そろって初めての湖筍会総会ということで、多くの同門の先生方にご参加頂きました。

IMG_20190216_171100.jpg

懇親会では昴会湖東記念病院の馬渕先生、武田先生はじめ多くの先生と懇親出来ました。皆さんありがとうございます!
途中無茶ぶりでご挨拶も…。

52344211_2.jpg

トップページへ

posted by 長尾大志 at 14:20 | Comment(0) | 日記

2019年02月16日

京都医療センターの会に参加して参りました

昨日は京都医療センターまで足を伸ばしまして、京都医療センターの会に参加して参りました。

……あの会、正式名称は一体何というのか、よく知らないのですが。医療センターを中心に、あの辺?の病院の呼吸器内科の先生方が集う、マニア向け(?)のカンファレンスです。

昨日も面白かったです〜。具体的には書けませんが、やはりああいう会はいいですね。滋賀でもやりたいなあ。

070104CT004.jpg

トップページへ

posted by 長尾大志 at 23:40 | Comment(0) | 日記

2019年02月15日

第113回医師国家試験問題速報解説3

あともう少しだけおつきあい下さい。


D72
50歳の男性.胸痛を主訴に来院した.4ヵ月前から胸痛を自覚し,次第に増強するため受診した.18歳から現在まで造船業に従事している.胸水から悪性細胞が認められたが,組織型は不明である.胸部X線写真(胸水),胸部造影CT(胸水と胸膜肥厚)及びPET/CT(胸膜面に集積あり)を別に示す.


組織型を決定するために適切なのはどれか.2つ選べ.
a 胸腔鏡下生検
b 縦隔鏡下生検
c CTガイド下生検
d 気管支内視鏡下生検
e 上部消化管内視鏡下生検


この問題は、画像があった方がいいかもしれないですね(画像については他所でご確認ください…)。この問題のミソは、そういうわけで画像なんですが、画像上胸水も溜まってるんですが、胸膜の肥厚がしっかりあって、PETでも胸膜面だけに集積があるという所見です。

造船業というキーワードからは中皮腫が出てくるかもしれません。まあ中皮腫が出てこなくても、この問題に関しては画像からきちんと考えると正解に至ることは難しくないでしょう。

胸膜面というのは気管支内腔からアプローチする気管支内視鏡ではアプローチがなかなか難しい。特に中皮腫とかの場合には、やはり胸膜側からのアプローチ、すなわち外からCT ガイド下で針生検をするとか、胸腔鏡で生検をするとかでないと難しいということになります。

正解:a,c



E8
聴診所見と呼吸器疾患の組合せで誤っているのはどれか.
a stridor・・・・・・肺サルコイドーシス
b wheezes・・・・・・喘息
c friction rub・・・・・・結核性胸膜炎
d fine crackles・・・・・・間質性肺炎
e coarse crackles・・・・・・細菌性肺炎


聴診所見に関する基本的な知識を問う問題です。難しいのはfriction rub(胸膜摩擦音)ぐらいですかね。

friction rubは、胸膜炎の時に聞かれる胸膜がギュッギュッと擦れる音です。stridorというのは上気道の狭窄で起こる、吸気時の大きな連続性の雑音になります。

サルコイドーシスでも縦隔リンパ節がもりもりもりもり腫れていて、気管が狭窄するような場合には聞こえたりするのかもしれませんが、ここでは肺サルコイドーシスと書いてあるので、中枢気道の狭窄はないと考えていいでしょう。逆に言うと、肺という文字がなければ、この問題はややこしい問題になった可能性があります。

正解:a



E50〜51
次の文を読み,50,51の問いに答えよ.
79歳の男性.咳嗽と呼吸困難を主訴に来院した.
現病歴:半年前から咳嗽と労作時の息切れを自覚するようになった.市販の鎮咳薬を服用して様子をみていたが,症状は持続していた.3日前から咳嗽の増加と呼吸困難の悪化とを自覚したため受診した.
既往歴:高血圧症.
生活歴:喫煙は15本/日を35年間.55歳で禁煙.飲酒は機会飲酒.
家族歴:特記すべきことはない.
現症:身長162cm,体重59kg.体温36.5℃.脈拍68/分,整.血圧140/90mmHg.呼吸数22/分.SpO2 91%(room air).眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない.心音に異常を認めない.呼吸音は背側下胸部中心にfine cracklesを聴取する.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.
検査所見:血液所見:赤血球403万,Hb 12.8g/dL,Ht 31%,白血球7,700,血小板18万.血液生化学所見:AST 24U/L,ALT 11U/L,LD 442U/L(基準176〜353),γ-GTP 16U/L(基準8〜50),尿素窒素14mg/dL,クレアチニン0.5mg/dL,尿酸8.8mg/dL,Na 141mEq/L,K 3.9mEq/L,Cl 105mEq/L,KL-6 1,300U/mL(基準500未満).CRP 0.3mg/dL.胸部CT(網状影・蜂巣肺)を別に示す.


E50
診断に有用でないのはどれか.
a 肺生検
b 高分解能CT
c スパイロメトリ
d 気管支肺胞洗浄
e 気道過敏性試験


この問題も画像がある方がいい問題かと思いますが、まあfine cracklesを聴取して、KL-6が高い、蜂巣肺を認識するということから、肺線維症の存在を考えるわけですが、やたらと気道過敏性を推してくるのはどういうわけでしょうか。

気道過敏性試験は喘息の時に行う試験です。ある刺激に対して気道が過敏に反応するかどうかを見る試験ですので、肺線維症の時には関係ありません。

肺生検というのは微妙な選択肢になるかもしれません。特発性肺線維症の診断に用いることはあまりないかと思いますが、本来ガイドライン上、原理主義的には肺生検をしろということになっていますので、この問題を作った先生はひょっとするとそっち系の先生かもしれないですね…。

正解:e



E51
認められる可能性が高いのはどれか.
a 高CO2血症
b 一秒率の低下
c 肺拡散能低下
d A-aDO2値の低下
e 気道過敏性の亢進


肺線維症で認められるのは肺拡散能低下とAaDO2の開大になります。

正解:c



F38
COPDでみられるのはどれか.2つ選べ.
a 残気量増加
b 拡散能上昇
c A-aDO2開大
d 血清KL-6上昇
e fine crackles聴取


これはもうご挨拶ですね。ご挨拶は簡単に済ませましょう。笑

正解:a, c

医師国家試験過去問(呼吸器系)つまずきポイント徹底解説を全部読む

トップページへ

2019年02月14日

第113回医師国家試験問題速報解説2

続いてもう少し。


C26
70歳の男性.労作時の呼吸困難を主訴に来院した.10年前から労作時の呼吸困難を自覚していたが,徐々に増強したため受診した.喘鳴の自覚はない.喫煙は40本/日を50年間.脈拍72/分,整.血圧128/74mmHg.呼吸数16/分.心音と呼吸音とに異常を認めない.呼吸機能検査では1秒率の低下を認め,β2刺激薬の吸入で1秒率低下の改善を認めなかった.胸部X線写真及び胸部CT(過膨張・気腫所見)を別に示す.

対応として適切でないのはどれか.
a 禁煙指導
b 23価肺炎球菌ワクチン接種
c インフルエンザワクチン接種
d 長時間作用性抗コリン薬投与
e ロイコトリエン受容体拮抗薬投与


典型的な経過と典型的な画像でCOPDの診断は容易だったと思います。挨拶代わりの問題ですね。必ず正解しなくてはなりません。

安定期COPDの管理で必要なことが挙げられていますが、ロイコトリエン受容体拮抗薬だけは喘息の治療薬です。

正解:e



C49
70歳の男性.肺癌の治療で入院中である.肺癌にて右肺下葉切除術,縦隔リンパ節郭清術が施行された.術後1日目に食事を開始し,術後2日目に約1,000mLの白色混濁した胸水が胸腔ドレーンから排出された.胸水中トリグリセリド150mg/dL.
対応として適切なのはどれか.2つ選べ.
a 高脂肪食
b 胃管挿入
c 胸管結紮術
d 完全静脈栄養
e 胸腔ドレーン追加挿入


時々出ますね、乳び胸。本例では術後、白色胸水、胸水中トリグリセリド高値とキーワードをこれでもかと出されていて、今後の布石が打たれています。今後診断は難しくなっていくカモカモ。

正解:c,d



D6
成人で喘息の増悪をきたす可能性が最も高い薬剤はどれか.
a 利尿薬
b β遮断薬
c ヒスタミンH1受容体拮抗薬
d 塩基性非ステロイド性抗炎症薬
e アンジオテンシンU受容体拮抗薬


これもご挨拶問題です。喘息の治療薬がβ2刺激薬なので、β遮断薬は喘息を悪化させるはず…ですね。

正解:b



D15
右肺尖に発生した肺癌の患者に,右側のみ眼瞼下垂を認める.
他にみられる可能性が高い徴候はどれか.2つ選べ.
a 嗄声
b 右縮瞳
c 顔面浮腫
d 右眼球突出
e 右半顔発汗低下


Horner症候群もちょいちょい出題されていますね。やはり典型的症状が数個ある、という病態はマルチョイ問題にしやすいのでしょう。

正解:b,e



D19
65歳の男性.胸部X線写真で右中肺野に異常陰影を指摘されて受診した.5年前から間質性肺炎を指摘されている.1年前に急性増悪で入院し,その後,外来で副腎皮質ステロイドの内服治療を受けていたが,ここ1年は症状が安定していたため,自己判断で内服を中断し受診していなかった.喫煙は20本/日を40年間.5年前から禁煙していたが,6ヵ月前から喫煙を再開していた.胸部単純CTで右肺上葉に腫瘤影を認め,経気管支肺生検で肺扁平上皮癌と診断された.全身検索の結果,右肺門部リンパ節転移を認めたが,それ以外には転移を認めなかった.体温36.6℃.脈拍76/分,整.血圧132/76mmHg.呼吸数12/分.SpO2 95%(room air).両側胸部でfine cracklesを聴取する.呼吸機能検査:VC 3.5L,FEV1 2.2L.心電図,心エコー検査で異常を認めない.胸部X線写真(結節影)及び胸部単純CT(結節影と網状影)を別に示す.患者に手術の選択肢もあることを説明したところ手術を希望した.

この患者の周術期について適切でないのはどれか.
a 術後早期離床を行う.
b 術前に禁煙指導を行う.
c 術前から酸素療法を行う.
d 術後間質性肺炎急性増悪のリスクがある.
e 術後在宅酸素療法が必要になるリスクがある.


こういう、臨床の現場的な問題が増えてきていますね。現状ではちゃんと考えれば、そんなに無理難題ではないと思います。本例ではSpO2が95%と十分保たれているので、術前から酸素療法を行う必然性はないってことですね。

正解:c



D31
50歳の女性.発熱と呼吸困難を主訴に受診した.半年前に血痰を認め,胸部X線で左下肺野に空洞を形成する肺アスペルギルス症と診断された.抗真菌薬で加療されていたが,血痰が軽快しないために,2週間前に左肺下葉切除術が施行され,1週間前に退院した.昨日から発熱,呼吸困難を自覚したため,救急外来を受診した.20歳時に肺結核の治療歴がある.体温38.7℃.脈拍120/分,整.血圧102/60mmHg.呼吸数24/分.SpO2 94%(room air).胸部X線写真(ニボーを伴う胸水)を別に示す.

行うべき処置はどれか.
a 心囊穿刺
b 陽圧呼吸管理
c 胸腔鏡下手術
d 胸腔ドレナージ
e 副腎皮質ステロイド投与


術後高熱、低酸素ありニボー+胸水、術後の膿胸とかいう話です。とするとドレナージしかありません。

正解:d

医師国家試験過去問(呼吸器系)つまずきポイント徹底解説を全部読む

トップページへ

2019年02月13日

第113回医師国家試験問題速報解説1

今年も医師国家試験が終了しました。インフルエンザの大流行や極寒など、ハードルがいくつかありましたが、受験生の皆さんはご無事で終了されたでしょうか。とにもかくにもお疲れさまです。


さて例年通り、試験問題の解答解説作りのお仕事がございますので、早速「呼吸器」のところをみて参りましょう。


A4
EGFR遺伝子変異陽性,遠隔転移を有する進行肺腺癌に対する初回治療で,分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)の副作用として頻度が高いのはどれか.
a 貧血
b 皮膚障害
c 1型糖尿病
d 好中球減少
e 血小板減少


EGFR遺伝子変異陽性例に対する、分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)に関する出題はすっかりおなじみとなりました。毎年改定される、肺癌診療ガイドラインに踏み込んだような内容はなかなか出題できませんが、この問題のように基本的な副作用などを問う出題はこれからも基本事項として出てくると思われますので、是非押さえておきましょう。

覚え方としては、EGFRというのは上皮成長因子受容体ですので、これを阻害するということは上皮の細胞分裂も阻害する、つまり上皮に関与する副作用が出やすいと理解しておくといいと思います。

正解:b



C46
71歳の女性.労作時呼吸困難の増悪を主訴に来院した.約10年前にCOPDと診断された.1年前からU型呼吸不全をきたしたため在宅酸素療法(1L/分)を行っている.前回外来診察時には呼吸数 20/分,SpO2 94%(鼻カニューラ1L/分 酸素投与下)であった.数日前より労作時呼吸困難が悪化したため,家族に付き添われて受診した.外来待合室で30分くらい前から居眠りをしていた.付き添いの家族が呼びかけに応答しないことに気付いて,看護師に声をかけた.脈拍104/分,整.血圧144/92mmHg.呼吸数8/分.SpO2 91%.吸入酸素量を確認したところ,5L/分であった.家族によると,タクシーを降りてから待合室まで歩行したところ,呼吸が苦しくなったので本人が酸素量を増やしたとのことであった.
現時点で必要ないのはどれか.
a 静脈路確保
b 気管挿管の準備
c 動脈血ガス分析
d 心電図モニター装着
e リザーバー付マスクによる酸素投与


こちらも毎度おなじみ、COPDに関する出題です。COPDに関しては…

@安定期の肺機能や診断に関する出題
A急性期・増悪期の治療、いわゆるABCアプローチに関するもの
BU型呼吸不全を伴う症例の増悪時、CO2ナルコーシスに関する質問が多いと思います。

この問題でもCO2ナルコーシスに関する基本事項が問われていますので、必ず正解しておきたいところです。CO2ナルコーシスには酸素の過量投与は禁忌ですから、この問題を解くこと自体は特に問題ないと思いますが、こういう症例問題に、臨床の現場感を出す選択肢が少しずつ含まれつつあることには(来年以降)注意が必要ですね。

正解:e



F77〜79
次の文を読み,77〜79の問いに答えよ.
58歳の女性.血痰を主訴に来院した.
現病歴:数年前から咳嗽,喀痰および労作時呼吸困難を自覚していたが,喫煙習慣が原因と自己判断し受診はしていなかった.数日前から喀痰に鮮血が混じるようになったため受診した.
既往歴:20歳時に交通事故による右膝蓋骨骨折の手術を受けた.
生活歴:喫煙は20歳から55歳まで40本/日.飲酒は機会飲酒.
家族歴:特記すべきことはない.
現症:身長153cm,体重52kg.体温36.2℃.脈拍80/分,整.血圧132/74mmHg.呼吸数16/分.SpO2 97%(room air).眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない.右背部にcoarse cracklesを聴取する.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.表在リンパ節を触知しない.
検査所見:血液所見:赤血球350万,Hb 9.8g/dL,Ht 30%,白血球10,300,血小板30万.血液生化学所見:AST 19U/L,ALT 15U/L,LD 158U/L(基準176〜353),γ-GTP 16U/L(基準8〜50),総ビリルビン0.4mg/dL,総蛋白7.2g/dL,アルブミン3.8g/dL,尿酸2.9mg/dL,尿素窒素11mg/dL,クレアチニン0.5mg/dL,Na 140mEq/L,K 4.0mEq/L,Cl 105mEq/L,Ca 8.9mg/dL,Fe 20μg/dL,TIBC 231μg/dL(基準290〜390),フェリチン643ng/mL(基準20〜120),CEA 4.5ng/mL(基準5以下).CRP 1.4mg/dL.画像所見:上肺野(肺野条件),中肺野(縦隔条件),下肺野(肺野条件)及び上腹部の造影CT(上肺野には気腫性変化、中肺野ではリンパ節腫脹、下肺野では空洞を伴う腫瘤影、上腹部にも腫瘤影)を別に示す.呼吸機能所見:現在と20歳時の膝蓋骨骨折手術前のフローボリューム曲線(現在は下に凸、20歳時は正常)を別に示す.


F77
20歳時と比べた現在のフローボリューム曲線の所見として正しいのはどれか.
a V25の増加
b 残気量の低下
c 肺拡散能の上昇
d 努力性肺活量の低下
e ピークフローの上昇


フローボリューム曲線の解釈は毎年のように出題されていますので、これは必須でしょう。ただこの問題では、「閉塞性障害」を言い換えた表現が選択肢に上がっています。つまり今後は一口に「閉塞性障害」ではなく、このように項目を細分化した解釈を問われるようになるということで、今後の出題傾向には注意が必要です。

正解:d


F78
実施した生検の結果では,いずれも肺腺癌の所見であった.
患者に説明する内容として誤っているのはどれか.
a 治癒は困難である.
b 腫瘍の遺伝子検査が必要である.
c 薬物による抗癌治療が適応となる.
d セカンドオピニオンを受けることができる.
e 緩和ケアは抗癌治療が終了してから始める.


一般的な肺癌および癌全体の知識を問う問題です。なんか選択肢のジャンルがまちまちで、あまりいい?問題ではないように思います。a〜cは肺癌の話で、d,eは癌一般の話ですから。セカンドオピニオンの自由を保障することと、緩和ケアは治療早期から、症状があれば開始する、ということは知っておきましょう。

正解:e



F79
説明を聞いた患者は家族と相談してからの意思決定を希望し,1週間後の再受診を予定した.その再受診の前日に咳嗽の増加に伴い1回30〜50mL程度の喀血を連続して3回認めた.翌日の受診時,咳嗽を頻繁に認めるが喀血は認めず,喀痰には赤褐色の血液が付着している.脈拍104/分,整.血圧140/88mmHg.呼吸数12/分.SpO2 96%(room air).血液所見:赤血球339万,Hb 9.5g/dL,Ht 29%,白血球8,900,血小板29万.

対応としてまず行うのはどれか.
a 赤血球液-LR輸血
b 鎮咳薬投与
c 鉄剤投与
d 酸素投与
e 補液


これもちょっと凝りすぎかなあと思いました。臨床の現場では、こういうことがしばしばありますが、卒業時点で知っておかないといけないものか…?まあ知らなくても考えろってことなんでしょうけど。

結局のところ、前日咳嗽の増加に伴って喀血していて、受診当日には止血している。というところで、止血のポイントは「安静」ってことで、気道の安静を鎮咳薬で図るわけですが、結構議論がありそうです。

正解:b

医師国家試験過去問(呼吸器系)つまずきポイント徹底解説を全部読む

トップページへ

2019年02月12日

胸部CTの適応と基本的読影2

CT の読影の基本事項として、まず条件について知っておきましょう。大きく分けて肺野条件と縦隔条件の二つがあります。

肺野条件というのは全体的に白っぽく、その名の通り肺野(肺の中身)を見るための条件です。逆に肺野の外の、軟部組織や縦隔は全体的に真っ白く見え、評価には適しません。

肺野条件の正常像を見てみましょう。肺の中に見られるのは分岐している血管影です。

スライド37.JPG

縦隔条件というのは逆に、その縦隔や軟部組織、骨などを評価するのに使います。こちらの条件では、肺野は真っ黒にしか見えず、ほとんど評価に値しませんが、肺野に存在する腫瘤影に、石灰化が含まれているかどうかとか、そういう評価には使えます。

スライド38.JPG

縦隔条件では、空気に近い密度の肺は真っ黒に見え、水の密度である筋肉やリンパ節などは灰色に見えます。水より密度の小さい脂肪はかなり黒っぽいグレーに写ります。そして水よりも密度の大きな骨や石灰化病変は、ほぼ真っ白に写ってきます。

スライド39.JPG

呼吸器研修ノート

トップページへ

posted by 長尾大志 at 18:02 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年02月11日

帰ってきました。

ということで、へとへとになって帰って参りました。

今回とあるパーク的なところに行っておりましたが、そこでの気づきとしては、

「目線の高さを合わせることはホンマに大事」
「『できた』経験はめちゃくちゃモチベーションアップになる」

という2点でした。

IMG_20190211_120146.jpg

トップページへ

posted by 長尾大志 at 23:09 | Comment(0) | 子育て日記

2019年02月09日

3連休

今日、明日と、第113回医師国家試験です。受験生の皆さんがこれまでやってきた事をしっかりアウトプットされることを祈りつつ、私は珍しく?家庭にてサービス中。明日はたぶん更新できませんのであしからずご容赦ください。

IMG_20190209_145012.jpg

Royaloak1.jpg

トップページへ

posted by 長尾大志 at 22:14 | Comment(0) | 日記

2019年02月08日

SEM(Scientific Exchange Meeting)in North Kawasaki

昨日はそういうわけで、SEM(Scientific Exchange Meeting)in North Kawasaki(神奈川県川崎エリア講演会)@二子玉川エクセルホテル東急にて、「咳・息切れ診療における胸部X線の使い方ーCOPDを念頭にー」と題してお話をさせて頂きました。

IMG_20190207_210748.jpg

IMG_20190207_210753.jpg

東京にはよく伺いますが、ラッシュ時の品川駅の人並みにはビビりましたし、会場の建物に楽天が入ってましたし、いつまで経っても東京には慣れませんね…。

今回は帝京大学医学部附属溝口病院第四内科教授の幸山先生にお声がけ頂きました。医局員の先生方(藤岡先生、大谷津先生)もフレンドリーに声を掛けて下さって、うれしかったです。

IMG_20190207_212013.jpg

何を指してるのか全く見えませんが、サインを書いてあるはず…。

何より同級生の原先生とは十何年ぶりの再開でした。

IMG_20190207_210843.jpg

昔から優秀な先生でしたが、同級生のエピソードがたくさん出てきて、自分の記憶が如何にあやふやか、再確認しました。最近ホントに物忘れが激しくて。

IMG_20190207_211100.jpg

並んでもとても同級生には見えないな…。

山梨大学免疫学講座教授の中尾篤人先生によります講演「アレルギーと体内時計」のお話も大変興味深く拝聴しました。今すぐにでも研究を始めたくなる気分になりました。

他にも聖マリアンナ医科大学呼吸器内科教授の峯下先生、川崎市立多摩病院講師の佐治先生にもお声がけ頂きました。原先生、幸山先生はじめ、お世話になりました先生方、本当にありがとうございました。そしてこんな、Scienceに関係のない、ましてや自社製品に何の関わりもない講演のスポンサーをして下さったアストラゼネカさん、ありがとうございました。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 14:44 | Comment(0) | 活動報告