2018年11月30日

喘息予防・管理ガイドライン2018における(特に治療の)変更点2

喘息のガイドラインが(も)、2018年に『喘息予防・管理ガイドライン2018』に変わりました。まあご多分に漏れず、変わったところは新製品のところですね。診断のところとかも細々と変わっているところはあるんですが、一般の先生方にとって大事なところといえば治療のところかと思います。


■ LAMA(スピリーバレジスタードマーク)の位置づけ

これも何となく、メーカー臭がしないでもありませんが…。

これまで気管支喘息における気管支拡張薬はβ2刺激薬が中心で、LAMAは重症の時に…という位置づけであったものが、2018からは治療ステップ2という、比較的軽症の段階からLAMAを「使ってもよい」となりました。

ここで治療ステップについて少し触れておきます。

喘息が軽症の時にはあまり薬を使わなくても比較的たやすくコントロールが出来ますが、重症とか慢性になってくると、コントローラーを何種類も併用しなくては症状がコントロールできなくなります。

そこで、大体どのくらいの状況だったら、こういう治療で行きましょう、という目安をガイドラインでは示されています。あまり細かいものを知らなくても、現場では

・コントロール不良だったらコントローラーを加える
・3-6ヶ月間コントロール良好だったら、コントローラーを減らす/止める

という原則でいけそうではありますが、参考までに取り上げておきましょう。

まず喘息の状態ですが、症状の頻度、強度によって分類します。

  • 軽症間欠型|症状が週1回未満・症状は軽度、短時間

  • 軽症持続型|症状が週に数回(毎日ではない)

  • 中等症持続型|症状が毎日・発作治療薬をほぼ毎日使う

  • 重症持続型|症状が毎日ある・しばしば増悪する

喘息予防・管理ガイドライン2018より引用改変


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posted by 長尾大志 at 17:50 | Comment(2) | web喘息講座

2018年11月29日

喘息予防・管理ガイドライン2018における(特に治療の)変更点1

喘息のガイドライン、『喘息予防・管理ガイドライン2018』に変わりました。細々と変わっているところはあるんですが、一般の先生方にとって大事なところといえば治療のところかと思います。治療のトピックは…

  • LAMA(スピリーバレジスタードマーク)の位置づけ

  • 各種抗体薬

  • サーモプラスティー


ですね。しかしながら、今日は今から

プログラム.jpg

に向かいますので、詳しくは明日以降に。

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2018年11月28日

結核の治療法2

昨日はなかなか堪えました。気を取り直して仕切り直し。

優先順位、とさりげなく書きましたが、抗結核薬の使用にあたっては厳密?に優先順位が付けられているのです。つまり、この順番に選びましょうという順番。副作用や耐性で1つの薬剤が使えなくなったら、優先順位が次の薬剤を選択していきます。現時点(2018年11月現在)での順位は以下の通りです。


・First-line drugs (a) |最も強力な抗菌作用を示し,菌の撲滅に必須の薬剤

  • リファンピシン(RFP)

  • リファブチン(RBT):HIV症例で抗ウイルス薬との相互作用があるなど、RFPが使えないときに選択。RFPの代替薬であって、RFPと併用はしません。

  • イソニアジド(INH)

  • ピラジナミド(PZA)


・First-line drugs (b) |First line drugs (a) との併用で効果が期待される薬剤

  • ストレプトマイシン(SM)

  • エタンブトール(EB)


標準治療は、First-line drugs (a)のRFP、INH、PZAにFirst-line drugs (b)のEBまたはSMを併用する4剤で行うというわけです。SMは筋注製剤なので、現場ではEBを選択することが多いです。First-line drugs (a)のいずれかが使えない場合、First-line drugs (b)のどちらか使っていない方(通常SM)を選択することになります。


・Second-line drugs|First line drugsに比して抗菌力は劣るが,多剤併用で効果が期待される薬剤

  • レボフロキサシン(LVFX):それまでも代替薬として使われていましたが、2015年に正式に結核に対する適応が認められました。

  • カナマイシン(KM):SM、EVMと同じアミノグリコシドですのでこれらは併用しません。

  • エチオナミド(TH)

  • エンビオマイシン(EVM):SM、KMと同じアミノグリコシドですのでこれらは併用しません。

  • パラアミノサリチル酸(PAS)

  • サイクロセリン(CS)


この群を使う際には、必ず感受性を確認し、3剤以上の多剤併用で、耐性獲得に気をつけて長期間の投与となります。


・Multi-drug resistant tuberculosis drugs|使用対象は多剤耐性肺結核のみ

  • デラマニド(DLM)

  • ベダキリン(BDQ):この2剤に関しては、まだまだ使用経験、データの少ないこともあり、優先の順位はついていません。


(Kekkaku Vol. 93, No. 1 : 61_68, 2018より引用改変)


治療に関して、特に薬剤が使えない場合にどうするかなどは事細かく決められていますので、詳しくは上記文献を参照してください。

長い長い結核の話

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posted by 長尾大志 at 20:46 | Comment(0) | 長い長い結核の話

2018年11月27日

結核の治療法2

優先順位、とさりげなく書きましたが、抗結核薬の使用にあたっては優先順位があります。
…と続けようと思いましたが、本日先ほどまで外来があり、これからいつ果てるともしれない会議がありますので、更新は難しいかと思います。あしからずご了承ください。

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posted by 長尾大志 at 17:55 | Comment(0) | 日記

2018年11月26日

結核の治療法1

結核の治療法は以前から大きく変わるものではありませんが、それでもちょいちょい微調整されています。ここでは2018年に改訂された「結核医療の基準」による現時点(2018年11月現在)での治療方針を取り上げます。

イソニアジド(INH)とリファンピシン(RFP)が治療の柱であることは以前から全く変わらず、そのままです。で、その2剤を軸として通常はHREZ4剤から始め、2ヶ月継続してその後HR2剤に減らしてさらに4ヶ月、という計6ヶ月での治療が中心です。

そこへ再治療例や重症の結核であったり、患者さんに糖尿病があったり免疫低下状態であったり、排菌がなかなか治まらない、ということがあったりすると治療期間を3ヶ月延ばし、合計9ヶ月の治療を行います。

今は標準治療というのはこれだけで、例えばよっぽど肝機能が悪いとかピラジナミド(PZA)が使えない状況ですと3剤スタートということもありえますが、この場合合計9ヶ月の治療になります。

またINHもしくはRFP、それに他の薬剤に耐性を有するような場合 、あるいは副作用で使えないという場合には、1剤ずつ置き換えてその次の優先順位の薬剤に置き換えて行きます。順番としてはエタンブトール(EB)の次にレボフロキサシン(LVFX)が入り、HREZのいずれかが使えない時の代用として用いられるようになりました。

さらに、INH及びRFP、両方に耐性を有する多剤耐性結核に限定して、デラマニド、およびベダキリンという新しい抗結核薬を使うことができるようになりました 適応は多剤耐性結核だけで、デラマニドやベダキリン以外に3剤以上を併用して使用することが原則となっています。ですからこの薬はかなりハードルの高い薬で、一般の先生方が使われることは多分ないだろうと思います

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posted by 長尾大志 at 17:24 | Comment(0) | 長い長い結核の話

2018年11月25日

3連休、3連京都

この3連休、金、土は東京往復で京都駅を通りましたが、まあ人でごった返しておりました。11月の、天気のよい、連休に京都に来るなんて、なんて物好きな…と思うわけです。しかし何の因果か、私自身、今日も京都へ行くことになりました。

目的はこちら。長女の絵が飾られていると。

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傾向と対策、みたいなものが見え隠れしていて、いろいろと興味深かったです。

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で、絵はそこそこに、京都らしい食を堪能しました。

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お土産のわらび餅も、美味しく頂きました。

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posted by 長尾大志 at 20:51 | Comment(0) | 子育て日記

2018年11月24日

何ともいえない

ということで、今日は何とも申し上げようのない会にて、いろいろと勉強して参りました。…なかなか、ああいう会は苦手ですなあ。

帰りの富士山が、私にしてはとってもきれいに見えていたのが救いでした。

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昨日は三連休初日で、京都駅はどえらい人でしたし、新幹線もヤバかったです。今日も京都駅は人でごった返しておりました。明日も何の因果か、また京都に行く予定です…。

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posted by 長尾大志 at 19:55 | Comment(0) | 日記

2018年11月23日

最後の七五三

今日は、我が家最後の七五三を済ませて参りました。

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一体、今まで何度七五三をしたことか。

ふと疑問になって写真を振り返ってみると、2007年、2009年、2012年、2015年、そして2018年。結構、無理矢理?合わせて(数えでやる人と満年齢でやる人と、1年遅れでやる人とが混在していたり…汗)やってきましたので、計5回ですか。

こうしていろいろな行事が終わっていきます。今回は初めて、長男は「行かへん」と参加せず。徐々に親離れしていっております。

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今日はこれから、東京へ向かいます。秘密の?お勉強兼会合です。

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posted by 長尾大志 at 15:23 | Comment(0) | 子育て日記

2018年11月22日

潜在性結核感染症(latent tuberculosis infection : LTBI)治療2

医療従事者は昨日述べたような例に次ぐリスク、ということになってはいますが、IGRA陽性=LTBI治療、となるのではなく、発病リスクの高い、最近陽性になった例で治療の対象とすることになっています。


潜在性結核感染症というのは発病していないわけですから、体内の菌量はごく少量です。ですから、発病してからの治療とは異なり、抗結核薬は1剤でOKです。

具体的には、対象者に対して、INH 5mg/kg(成人:最大300mg/日)、または8〜15mg/kg (小児:最大300mg/日)の予防内服を6〜9ヶ月間行う、ということになっています。接触した排菌患者がINH耐性であった、とか、INHで副作用が生じた、とかINHが使用できない場合は、RFPを使って治療を行います。

RFPだと治療期間は4〜6ヶ月間、となり、INHよりも短くて済みそうです。副作用でINH⇒RFPに変更した場合、INH内服日数÷180+RFP内服日数÷120が1を超えるまで内服すればよいだろうということになっています。


LTBI治療中は、副作用(肝障害や末梢神経障害など)の出現、ホンモノの結核発病に注意が必要です。また、れっきとした治療扱いですので、保健所への届け出や公費負担申請が必要です。

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posted by 長尾大志 at 18:04 | Comment(0) | 長い長い結核の話

2018年11月21日

潜在性結核感染症(latent tuberculosis infection : LTBI)治療

結核菌に感染していて、今後発病の恐れがある人に、抗結核薬を投与してその発病を防ぐために行われる治療のことです。

以前は「予防内服」とよばれていたものが2007年に結核予防法が廃止され、改正感染症法によって結核対策が行われるようになったときに「潜在性結核感染症(latent tuberculosis infection : LTBI)の治療」と変わりました。かつては発病を防ぐという意味で「予防」となっていたものが、今では感染している菌を殺す治療、という意味で「治療」といわれています。まあ本質的には同じことですね。

予防内服時代には、対象は29歳以下の若者に限られていました。というのも、かつての高齢者はほとんどの方が、もともと結核菌に感染していたということがあります。接触したからといってことさらに予防内服をしなくても、どうせ持ってるじゃん…ということでした。

それと、抗結核薬の副作用、特に肝障害が高齢者では頻度が高い、ということもありました。発病者の治療では副作用がある程度許容されるとしても、発病していない人に対する投薬で肝障害が起こるのはいかがなものか、という問題があったのです。

しかし、現在、潜在性結核感染症治療に年齢制限はありません。今やある程度の年齢でも、もともと結核菌を持っていない人の方が多くなっています。新たに感染したときに将来の発病を予防するということには意味がありますから、年齢制限はなくなったのです。

潜在性結核感染症治療の対象となるのは、今後発症のリスクが高い人です。

まず何といっても2年以内に結核感染を起こした人、つまり、明らかな曝露があって、その後IGRA陽性となった人です。

それ以外には、IGRA陽性(感染している)で、
・HIV/AIDS
・臓器移植
・珪肺
・慢性腎不全による血液透析
・胸部X線画像で陳旧性結核があり未治療の場合
・生物学的製剤の使用など
があれば積極的に治療を考慮します。また、
・経口及び吸入副腎皮質ステロイド剤の使用
・その他の免疫抑制剤の使用
・糖尿病
・低体重
・喫煙
・胃切除
等の発病リスクが複数重複した場合、LTBI治療の検討が必要とされています。

潜在性結核感染症治療指針(Kekkaku Vol. 88, No. 5 : 497_512, 2013)より引用

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posted by 長尾大志 at 19:09 | Comment(0) | 長い長い結核の話

2018年11月20日

IGRAについて

ツベルクリン反応が生体の遅延型過敏性(W型アレルギー)の強さを評価する皮膚反応であるのに対し、IFN-γを直接定量する血液検査がIGRA(interferon gamma release assays:インターフェロンガンマ放出試験)です。

製品としてはQFT(クォンティフェロン)レジスタードマーク、T-スポットレジスタードマーク.TBがあります。方法が少し違いますが、原理としては同じです。

結核菌に存在する抗原蛋白(ESAT-6, CFP-10, TB7.7など)を患者さんの血液やリンパ球に加えると、患者さんのTh1リンパ球が抗原を認識してIFN-γを産生します。その産生されたIFN-γの量(QFTレジスタードマーク)やIFN-γを産生するTリンパ球の数(T-スポットレジスタードマーク.TB)を測定する検査です。

この検査で使用する抗原蛋白は、ヒト結核菌由来のものですから、BCGや非結核性抗酸菌など、結核菌以外の抗原では反応せず陰性になります。ツ反で問題になった「BCGによる陽性」がなく、より特異度が高いということになりますが、例外的にM. kansasii、M. szulgai、M. marinum、M.gordonaeにもESAT-6, CFP-10が存在するため、陽性となる可能性があります。

問題点としてはツ反より価格が高いという点が挙げられますが、ほとんどの国民がBCG接種を受けている(かつ、お金持ちの)日本ではあまり問題にならず、むしろ接触者健診などにおいて便利に使われ、ほとんどツ反に取って代わっていると言えます。


感度、特異度良好なIGRAですが、あくまで結核菌感染の有無を判定するツールであり、発病しているかどうかを判定できるものではありません。肺結核の診断はあくまで痰の中に結核菌を証明することが王道であり、IGRAは補助ツールであるべきだと個人的には思います。

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posted by 長尾大志 at 18:41 | Comment(0) | 長い長い結核の話

2018年11月19日

非結核性抗酸菌症(MAC症)の治療適応・目安

肺MAC症の治療・化学療法をいつ始めるかについては専門医でも迷うことが多々あります。診療マニュアルによれば、

・線維空洞型

・結節気管支拡張型でも、以下のような症例
 病変の範囲が一側肺の1/3を超える症例
 気管支拡張病変が高度な症例
 塗抹排菌量が多い症例
 血痰・喀血のある症例

は、化学療法を開始すべきであろうと。

上記のいずれかに該当しない、特に75歳以上の高齢者では、まずは経過観察とする、となっています。もちろん、経過観察していて、画像所見や症状の悪化があれば、化学療法開始を考慮すること、という書き方になっています。


あと、治療期間については、線維空洞型、もしくは結節気管支拡張型でも空洞があるタイプでは、喀痰培養が陰性化してからおよそ2年間、結節気管支拡張型で空洞のないものは喀痰培養の陰性化から1年間という記載がありますが、そもそも喀痰で培養陰性化を確認出来る例が少なく、しかもこの期間も確たる根拠があるものでもなく、ふわふわした数字になっています。

また、喀痰が陰性にならないとか、治療を中止したら再悪化するとか、そういう例でいつまで続けるのかも明記がありませんが、なかなか治療を終了できない例も経験される、というのが実際のところでしょう。

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2018年11月18日

適々斎塾症候学セミナー・2日目+Y先生結婚式

昨日は半日、みっちり勉強させて頂きましたが、今日はお話をする方です。

症候学セミナーの中で『咳』症状を担当いたしました。
それにつけても、『咳』の鑑別は奥が深くて難しいです…。

や、ある程度まではイケるんですよ。病歴とって、あー喘息ありそう、後鼻漏、GERDだよね、X線写真をみて、あーここおかしい、これぐらいは。問題はその先です。

『私は咳をこう診てきた』著者の亀井三博先生ほどの方であっても咳診療には悩まれることもある。いろいろな要素はありますが、やはりコモンな疾患であるほど、診断の決定打がない、とか、合併例がしばしばある、とか、答え合わせが難しい、とかですね。

ということで、悩んだ結果、講義では上記の「咳診断の基礎」を、症例のところでは病歴とX線写真を使うものに診断困難例を交えて、多くの皆さまに楽しんで頂けるようプログラムいたしました…楽しんで頂けたでしょうか。

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自分の出番が終わりまして、ご挨拶もそこそこに、京都へダッシュ!途中、いくつかの忘れ物騒ぎがありましたが、何とか無事に京都駅着…!?

秋の、好天の、京都…なめたらあっかーーん!

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ともあれ苦労の末、Y先生の披露宴会場に到着しました。なんとかスピーチにも間に合いまして、なんとかスピーチも無事?終わりました。

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本来は今日、私の出番は13時くらいだったのですが、それでは披露宴に出席できない、ということで、上田剛士先生に出番を代わって頂いたエピソードも、上田先生のご著書『ジェネラリストのための内科診断リファレンス』愛読者であるY先生のエピソードとして披露させて頂きました。

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Y先生、Yさん、本当におめでとうございます!末永くお幸せに。

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posted by 長尾大志 at 21:55 | Comment(0) | 日記

2018年11月17日

適々斎塾症候学セミナー・1日目

今日は表記の会で頭痛・腰痛・意識障害の勉強をさせて頂きました。自身の不勉強を実感することしきりでございます。

なんやかんやで遅くなりましたので、レポートは明日…といいたいところですが、明日は明日で朝、適々斎塾からの〜若手のホープの結婚式という、謎の売れっ子(笑)スケジュールにつき、結婚式レポートになるやもしれません…。

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posted by 長尾大志 at 22:55 | Comment(0) | 日記

2018年11月16日

インフルエンザの薬2

・抗インフルエンザ薬の種類と使い分け

2018年11月現在、抗インフルエンザ薬はノイラミニダーゼ阻害薬4剤、ザナミビル(リレンザレジスタードマーク)、オセルタミビル(タミフルレジスタードマーク)、ペラミビル(ラピアクタレジスタードマーク)、ラニラニビル(イナビルレジスタードマーク)、そして RNA ポリメラーゼ阻害薬ファビピラビル(アビガンレジスタードマーク:ただし重篤な副作用が懸念されることから限定的な承認となっていて、普段気楽に使える薬ではありません)、そして2018年春に新たに加わったキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬のバロキサビル マルボキシル(ゾフルーザレジスタードマーク)があります。普通に使えるのは5剤ということになります。

それ以外にM2阻害薬のアマンタジン(シンメトレルレジスタードマーク)もかつてはインフルエンザ治療薬として使われていましたが、もはや他の抗インフルエンザ薬選択肢がこれだけある状況では過去の薬といっていいでしょう。実際今となっては耐性も多く、使用は推奨されていません。

基本的にノイラミニダーゼ阻害薬の4剤、どう使い分けるか。

そもそもこれらの薬剤たちの効果自体、有症状期間を1日程度短縮する、というくらいのものです。4剤で解熱までの時間(期間)もほぼ変わらず、臨床効果的にあまり違いはないと考えていいでしょう。

大きな違いとしては剤形で、タミフルレジスタードマークは内服、イナビルレジスタードマークとリレンザレジスタードマークが吸入薬、ラピアクタレジスタードマークが点滴という違いになります。

イナビルレジスタードマークは一回吸入で投与が完了するという利便性と服薬アドヒアランス向上の点からよく使われているかと思います。またイナビルレジスタードマークとリレンザレジスタードマークは吸入薬で、吸入力が不足しているとうまく吸い込めませんから、高齢者や4歳以下の患者さんでは使うのが難しいところです。

ラピアクタレジスタードマークは点滴製剤であるがゆえに、外来患者さんだと長く(点滴する間)院内に留め置くことになり、感染対策上あまり好ましくありませんから、基本入院を必要とするような重症例や内服も吸入も難しい患者さんに限られるように思います。

ゾフルーザレジスタードマークはインフルエンザウイルスのメッセンジャー RNA 合成を阻害するという、新しい作用機序を持ちます。1回の経口投与でいいとか、より早いウイルス力価の低下が見られるとか、メリットを喧伝されてかなり使われているようですが、症状消失には差がなく、臨床上明らかにメリットがあるというほどではないように思います。

内服薬であるがゆえに副作用として消化器症状があり、血中半減期が長いことから、副作用が出た時に長引く恐れもがあります。また、耐性が生じやすいのではないかという懸念もあり、あまり積極的に勧められるものではないのかもしれません。

これら抗インフルエンザ薬を使わないというケースで、漢方薬である麻黄湯を使われている先生方も多いかと思います。大規模なエビデンスという点では難しい面もありますが、症状の軽減には効果があるという報告が見られています。

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2018年11月15日

インフルエンザの薬

・そもそも、使うの?

今回の記事は、伊東直哉先生によるこちらの記事を参考にさせて頂きました。伊東先生、いつもありがとうございます。

抗インフルエンザウイルス薬…。こんなに抗インフルエンザ薬を使っている国は、日本しかありません。保険制度が行き届いて、さほど負担がないこともありますし、「使わなくて悪化したら患者さんに訴えられるかも」という消極的な理由もあるでしょう。

ですが、あえて抗ウイルス薬を投与せず「布団をかぶって寝ときましょう」、という選択肢もあるのです。なんてったって20年前(タミフル以前)はそうだったのですし、今でも日本以外の国では多くのケースでそのようにされています。

多くの研究の結果から、健康な大人やある程度の年齢の子供が抗インフルエンザ薬を使用しても、症状のある期間が平均1日前後短縮するだけで、重症化する率などは減少しないということが分かっています。そういう人が軽症のインフルエンザになっても、基本的には何もしなくても自然に改善していく(Self-Limited)疾患であると考えられています。

その一方で、重症の患者さんや合併症リスクの高い患者さんでは、抗インフルエンザ薬を服用することで、死亡・重症化・入院などのリスクなどが減少します。

抗インフルエンザ薬を使うデメリット、一つは副作用です。一時有名になった異常行動については、因果関係が明確でないと判断され、処方制限を解除されましたが、それ以外でも吐き気・嘔吐などの消化器症状があります。

それからもう一つは、あまりに広く使われると耐性ウイルスが広がってしまうのではないかという懸念です。すでにタミフルは耐性ウイルスが流行した実績?があり、他の治療薬においても、耐性ウイルスの懸念は常に持っておく必要があります。

これらの諸々を総合して、インフルエンザの患者さんには何でもかんでも抗インフルエンザ薬、ではなく、症例を選んで投与することが、特に心ある先生方を中心に推奨されています。

抗インフルエンザ薬による治療が、医学的に明らかにメリットがある(推奨される)人は、CDCによりますと…

入院症例
重症症例・症状がどんどん悪くなってきている場合
合併症のある、あるいは合併症の恐れのある症例

くらいです。合併症の恐れのある患者さんというのは小児(2歳未満)、高齢者(65歳以上)、妊婦・産後すぐの女性、そして療養施設などに入所中の人、それから慢性疾患/免疫機能低下のあるような人です(詳細はリンク先を参照下さい)。

とはいえ私どもの施設では、慢性呼吸器疾患(喘息、COPD、間質性肺炎など)を有する通院患者さんが多く、そういう患者さんがインフルエンザになった時には抗インフルエンザ薬を処方する機会が多いのが現実ですが。

それと患者さんにはいろいろな事情があります(受験生、医療従事者!?、などなど…)。よくよくメリットとデメリットを勘案されて、処方を検討して頂ければと思います。

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2018年11月14日

COPDの身体所見・診断と治療

■ COPD患者さんの身体所見、頸部のヒミツ

安静換気においては、ほとんどが呼吸を横隔膜が担っています。横隔膜が収縮することで下がり、弛緩することで上がる、この運動を利用して換気をしています。

COPD患者さんでは肺が膨らみます。その肺に横隔膜が押されて下がり、ぺったんこになる(平低化)わけです。COPD患者さんで肺の平低化が起こると、横隔膜が収縮しても(もともと下がってしまっているわけですから)それ以上ほとんど下がらない、動かないということで、横隔膜を利用した換気ができなくなってくるのです。

それではどうするか。ここで呼吸補助筋の出番です。特にその中でも大きな胸鎖乳突筋が頑張って、鎖骨と胸骨を引っ張り上げることによって、胸郭を少しでも挙上させて広げようとするのです。

24時間365日年がら年中、そうやって頑張り続けることによって、胸鎖乳突筋は肥大し、かなり目立つようになってきます。そのため進行したCOPD患者さんの頸部を見ると、胸鎖乳突筋が肥厚し目立つのです。

もう一つ、頸部の所見として気管が短縮して見えます。これは COPD の肺が下の方に膨らんでいくときに、気管〜気管分岐部〜肺門部というところがその肺の膨らみに合わせて下に引っ張り下げられるという現象が起こって、そのために頸部に見えている気管の長さが短くなってくるのです。

それから閉塞性障害がかなり強くなって、気管支の支えがほとんどなくなってくると、吸気でも気道が閉塞し抵抗が増して、胸郭を広げて胸腔内を陰圧にしてもなかなか吸気が入ってこなくて、つまり胸腔内が結構な陰圧になってしまいます。

それでCOPD患者さんでは吸気時に鎖骨上窩がペコンと陥凹します。COPD 患者さんはすごく痩せてきて、肋間もペラペラになってくるので肋間もペコンとへこむのです。

COPDポイントレクチャー

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posted by 長尾大志 at 20:54 | Comment(0) | COPDポイントレクチャー

2018年11月13日

特発性肺線維症/間質性肺炎の治療ガイドライン10・IPAF2

さすがに用語が乱立しすぎ、もうええわ、ええかげんにせえ、ということで、ATSとERSで相談し、統一しましょう、と2015年に決められたのがIPAFです。

まあさすがにATSが言ってますんで、統一の機運が出てきているようです。どちらかというと臨床のための診断基準、というよりは、現状、こういう風に分類しておいて、それが治療や予後予測に役立つかどうかを今後検討していきましょう、みたいな形の分類であります。

どれか膠原病の診断基準を満たすわけではない、でも膠原病の香りがする、間質性肺疾患のある症例をIPAFとするわけですが、その分類基準は、

1.HRCT検査か外科的肺生検で証明された間質性肺炎がある
2.他の原因による間質性肺炎が除外されている
3.明らかな、確立した膠原病の診断基準を満たさない
4.臨床的・血清学的・形態学的、三つのドメインのうち1項目以上を満たすドメインが2個以上ある

(Eur Respir J. 2015 Oct;46(4):976-87. An official European Respiratory Society/American Thoracic Society research statement: interstitial pneumonia with autoimmune features.
Fischer A, et al.)

現段階ではまだ、IPAF群において、確たる予後予測や治療が定まっているわけではなく、あくまで研究/検討段階ではありますが、今後治療なりが定まってくることが期待されています。

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2018年11月12日

特発性肺線維症/間質性肺炎の治療ガイドライン9・IPAF1

■ IPAF(interstitial pneumonia with autoimmune features)*これも日本名?和名?はありません。

間質性肺炎には、特発性と原因のあるものがあります。そして、原因のあるもので数の上でも、診断や治療の上でも重要なものといえば、やはり膠原病です。膠原病に間質性肺炎を合併するということは結構よくあるのですが、膠原病という疾患概念自体が結構曖昧なところがありますね。

診断基準はありますが、診断基準をガッツリ満たさない、でも膠原病臭い病態、というのがあります。それに一つの膠原病がカチッと決まらず、いくつかの疾患の特徴が少しずつ重なり合う、オーバーラップというところもあるので、膠原病自体考え方が難しいですし、それに間質性肺炎が絡んでくるときには、えらい先生の間でも意見が一致しないところがあるのです。ああややこしい。

肺の立場からいうと、間質性肺炎だけがあり、その時点で他の臓器の膠原病らしさははっきりしていないものの、間質性肺炎をずっと観察しているうちにその他の臓器に膠原病らしき病変が出てきて、後から振り返るとこれは膠原病で、肺病変が先行していたんだな…、というものが少なからずあるのです。肺病変先行型膠原病、という概念で呼ばれることが多いです。

それからもう一つ、最初から間質性肺炎があり、膠原病は何かありそうなんだけれども、各々の膠原病の診断基準はしっかり満たさない、というものもあるのです。こういうものたちはカチッとした「膠原病」や「間質性肺炎」とはまた少し異なる臨床や病理像を呈するのではないか、ということで、特別扱いしよう、と提唱されました。

それはいいのですが、提唱者によって名前や概念が少しずつ異なり、非常にややこしくなっていました。UCTD(undifferentiated connective tissue disease:分類不能の結合組織病)、LD-CTD(lung-dominant connective tissue disease:肺病変優位型の結合組織病)、AIF-ILD(autoimmune-featured interstitial lung disease:自己免疫性の間質性肺炎)などなど…。

呼吸器専門でないドクターのための呼吸器実践

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2018年11月11日

久々、質問コーナー3

前回の回答を受けて…
「肺炎に関しては、結核があるからといってややこしく考える必要はない、ということですよね?肺炎は肺炎で、結核は結核で、分けて治療すれば良いわけで両方の相互関係みたいなものを考えるのは、日常診療上あまり必要ではないと。
なんというか、こういった「合併症やリスク因子を持っている有名疾患像」のゲシュタルトとデギュスタシオン(パクりですね)の片鱗を掴めればと思うのですが、中々難しいです。国試は机上のパターン認識になってしまい、実際の感覚が全くついてこないので僕の中では結局知識の羅列にしかなってない感じがします...
実臨床では「なんかおかしい」「これは多分こう」みたいなファジーな感覚が大事なんだと僕は思うのですが...」
と頂きました。

もちろん併存疾患に因果関係があったり相互関係があったりすることもありますが、今回はシンプルに考えて頂いたらよいかと思います。

ご指摘の通り、国試はあくまで「医師をやっていく上での最低限の知識」を問うものなので、国試勉強が実臨床に直結していない感があるのは宜なるかなというところです。実臨床の感覚は、やはり研修で培って頂いている、というのが実際のところです。理想的には臨床実習でそれを補うような指導が出来ればいいのですが…私もそういった指導を取り入れようとは思いますが、まず知識を入れないと話にならないので、なかなかそこまで手が回っておりませんです…。


(質問2ここから)
・ナルコーシスに関して

呼吸化学受容体刺激薬のドキサプラムというのがあると知りました。適応を見てみると、主にNICUや救急・麻酔科領域の薬のようですが、COPDでナルコーシスになった時にも補助的に使えるんじゃないかと思ってしまいました。ポリクリ中には一度もこの薬に遭遇したことはなかったのですが、先生ご自身は使った経験がありましたか?もし使われたことがあったのなら、それはどういう場面においてなのでしょうか?


(回答)
懐かしいですね、ドプラムレジスタードマーク(ドキサプラム)。その名前、久しぶりに聞きました。

呼吸器内科の領域で使わなくなって久しいのですが、私が研修医の頃はU型呼吸不全の方の低換気状態でよく使っていました。当時は換気が落ちてきたら、挿管人工呼吸〜慢性の場合は気管切開しかなかったので、それを回避するにはドプラムとか、あとダイアモックスレジスタードマーク(アセタゾラミド:炭酸脱水酵素抑制作用により肺胞中のHCO3-の尿中排泄を増加させ、H+を増加させることにより呼吸中枢が刺激され、換気量が増大し、低酸素・炭酸ガス換気応答が改善される)なんかもよく使いました。

呼吸刺激薬としての役割を期待して、当時研修医の目から見るとそれなりに効いたような気もしていたのですが、NPPVの普及とともに?いずれの薬剤もCO2ナルコーシスには効果がない、とはっきりしてきて、全く使われなくなりました。

現状ではドプラムレジスタードマークの添付文書にも効能・効果に関する注意として
「呼吸筋・胸郭・胸膜などの異常により換気能力の低下している患者[本剤の効果が期待できず,レスピレータによる補助が必要である。]」
とはっきり記載されています。

ご質問にもあるように、現在は主に麻酔の時やNICU(早産・低出生体重児)に使われています。呼吸器内科でCO2ナルコーシスの時には、問答無用でNPPV→挿管人工呼吸をやります。
(回答ここまで)

Mくん、ご質問ありがとうございました!国家試験勉強、及び研修頑張ってください!

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