2018年10月31日

週末のイベント

ふと気がつけば、今週末は企画が続きます。

11月2日(金)には産業医科大学の矢寺教授にお招き頂きまして、北九州呼吸器フェローシップセミナーでお話し致します。今回は、低酸素について、若手の皆さんのあやふやなところをぐりぐり突いて、理解を深めて楽しく学べるよう症例を集めてみました。

11月3日(土)はメディカ出版セミナー「呼吸苦のみかた」@大阪・クリスタルタワーです。
https://www.medica.co.jp/seminar/detail/171
こちらは学んだことをすぐに症例をみながらおさらいし、「実際の現場で実践できる」ような知識の定着を図ります!

最近はとにかく、「いい問題、いい症例との出会い」を意識して講演を作っています。ご参加なさる皆さまのお役に立てれば幸いです。

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posted by 長尾大志 at 20:29 | Comment(0) | 活動報告

特発性肺線維症/間質性肺炎の治療ガイドライン4

■ Alternative Diagnosis

alternative|二者択一の、代わりとなる、代わりの、慣習的方法をとらない、新しい(weblio英和辞典より引用)

オルタナティブ・ロックといえば、その時の主流とは違ったスタイルのロックを指すわけですが、この場合のAlternative Diagnosisは、UIPと違う・別の診断になる、という意味合いです。

所見としては

・CTの特徴

嚢胞
明らかなモザイクパターン
優位なGGO
多数の小粒状影
小葉中心性粒状影
結節影
コンソリデーション


・分布の特徴

気管支血管束周囲
リンパ系周囲
上肺野〜中肺野優位


・その他

胸膜プラーク(アスベスト肺を考慮)
拡張した食道(膠原病を考慮)
鎖骨遠位びらん(RAを考慮)
著しいリンパ節腫大(他疾患を考慮)
胸水・胸膜肥厚(膠原病/薬剤性を考慮)

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2018年10月30日

特発性肺線維症/間質性肺炎の治療ガイドライン3

問題はここからですが、以前の分類とどう変わった、ということを書いてもややこしいだけなので、変わったあとのことだけを書きます。


■ Probable UIP

probable|(確実ではないが)ありそうな、起こりそうな、まず確実な、たぶん…だろう(weblio英和辞典より引用)

その昔、「Maybe Maybe 好きなのかもしれない Probablyに近い もっと確かなもの」
なんて歌があって、それでMaybeとProbablyの違いを何となく感じ取っていました。

じゃあpossibleとの違いは…

possible|可能な、考えられる、受け入れられる、可能で、できる限りの、ありそうな、起こりうる、(…は)ありそうで、起こりえて、見込みのある
定かではないことについて「可能な」という意味を表す/実行できる可能性が低いが,ないわけではないことを表す.またある事柄が事実である[実現する]可能性も表す(weblio英和辞典より引用)

てことで、Probable UIP はPossible UIPよりUIPっぽい、ということでよさそうです。
で肝腎の所見ですが、

胸膜直下、肺底部優位;分布はしばしば不均一
末梢の牽引性気管支拡張/細気管支拡張を伴う網状影
GGOはあってもよい


■ Indeterminate for UIP

indeterminate|不確定の、不定の、明確でない、漠然とした、あいまいな、未解決の、未定の(weblio英和辞典より引用)

UIPとは決めかねる、ということです。所見としては、

胸膜直下、肺底部優位
微細な網状影 軽微なGGOや構造偏位(早期のUIPパターン)があってもよい
特定の病因を示唆しない肺線維化病変の特徴や分布

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2018年10月29日

特発性肺線維症/間質性肺炎の治療ガイドライン3

で、その「HRCTで特発性肺線維症(IPF)に典型的な画像所見」ですけれども、いわゆるUIPパターン、と呼ばれるものがそれにあたります。

HRCTで両側びまん性の陰影をみたときに、UIPらしいか、そうでないか、ということで、以前のATS/ERS/…ガイドラインではUIP、possible UIP、inconsistent with UIPの3パターンに分けていたのですが、新たなガイドラインではまた増えまして、4つのパターンになりました。

UIP
Probable UIP
Indeterminate for UIP
Alternative Diagnosis


もうこうなったら言葉遊びというか英単語のテストみたいなもので、possibleとprobableとどっちが確実か、みたいな話になってきますね。しかもどうせまた何年かしたら変えるんだろうし。偉い人の論文量産に付き合わされているだけのような気もするんですよね…。

まあそう言っていても仕方がないので、読んでみますと…。

■ UIP

胸膜直下、肺底部優位;分布はしばしば不均一
蜂巣肺(末梢の牽引性気管支拡張/細気管支拡張は伴っても伴わなくてもよい)

ここは、まあそんなに議論のないところですね。

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2018年10月28日

膿兄による膿胸+アルファのお話

昨日某SNS内で「膿兄」と呼ばれることになった百武先生のお話、ホンのさわりのところをご紹介します。

(以下、私による解釈込みの講演内容)
「肺炎随伴性胸水」とはなにか。

「胸水も少量で、肺炎随伴性胸水だと思うので、抗生剤で押しま〜す」
←この言葉に違和感を覚える。

肺炎随伴性胸水には単純性と複雑性があり、単純性は穿刺したら全部抜ける。
複雑性(膿胸に発展する可能性が高いもの)は、穿刺しても全部抜けない。

「胸水が少ないから、穿刺は危険だと思いまーす」
→2日後片肺真っ白、という経過は決してまれではない。

単純性の肺炎随伴性胸水で、抗生剤で押してもイイ、と判断できるのは、穿刺して水が全部抜けたときだけである。

穿刺して 全部抜けたら 肺炎随伴性胸水

膿胸の治療が4週間も6週間もかかるのは、ひとえに抗菌薬の移行が悪い場所に菌がいるから。

抗菌薬 当たってないより 届いてない

膿胸は手術(掻爬+大量ドレナージ)によって「肺炎化」すれば、抗菌薬投与も14日で済む。早期離床、早期退院可能。

外ドレナージのみならず、内ドレナージも有効。もちろんBFで。BFやれば、溢水かどうかもわかる。

ドレーンチューブは、穴を増やしてナンボ。

ドレーンチューブを入れる場所、ベストな場所(スイートスポット)は意外に狭い範囲。

ドレーン挿入は垂直でよい。
(もっと書きたいけど、以下自粛)

膿兄こと百武先生、本当にありがとうございました。ただ、「本当に聞いてほしい方々への移行が不良であった」件もあり、またリベンジを果たしたいものです。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 21:52 | Comment(0) | 活動報告

2018年10月27日

呼吸器内科クラブハリエの会@守山+百武先生膿胸の会

今日は、午前中クラブハリエの会@守山+午後百武先生膿胸の会という豪華2本立ての会を主催させて頂きました。

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先週の「肺炎ただいま診断中!」セミナーに続いて、滋賀でこのようなdeepな膿胸の会が出来たのは大変うれしいことでした。1つ心残りは膿胸の会に外科の先生がご参加頂けなかったこと。残念!!またリベンジをしたいものです。

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でも、どちらも参加してくれた若い先生には刺激的な会だったのではないでしょうか。膿胸の会、後夜祭が今からありますので、振り返りはまた明日。

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posted by 長尾大志 at 16:54 | Comment(0) | 日記

2018年10月26日

特発性肺線維症/間質性肺炎の治療ガイドライン2

間質性肺炎の存在が疑われた時に行うべき検査としては、一般的な採血、肺機能、動脈血ガス分析などがあります。

採血ではKL-6、SP-D、SP-Aが間質性肺炎に特異的といわれ、保険適用もありますが、残念ながら(2018年10月現在)診療報酬上、『「KL-6」,「SP-A」及び「SP-D」のうちいずれか複数を実施した場合は,主たるもののみ算定する。』ということなので、注意が必要です。

個人的にはまずKL-6が特異度の点などで有用かと考えていますので、まず1つ採るならKL-6としています。採血ではそれ以外に活動性のマーカーとしてLDHなど一般的生化学検査と血算などを採ります。ここで問診や診察所見などから、特発性でない間質性肺炎の可能性が考えられたら、感染症のマーカー(β-D-グルカン、C7-HRPなど)や、膠原病や血管炎に特異的な抗体検査をある程度初診時に測定します。

初診時に施行する血液検査としては、まず抗核抗体(ANA)、RF。ANA陽性の場合、疾患特異的な抗体として、以下のようなものを測定します。

抗ds-DNA抗体・抗Sm抗体−全身性エリテマトーデス
抗RNP抗体−混合性結合組織病
抗SS-A抗体−Sjoegren症候群他多くの膠原病で陽性となる
抗SS-B抗体−Sjoegren症候群
抗トポイソメラーゼT抗体(抗Scl-70抗体)・抗セントロメア抗体・抗RNAポリメラーゼ抗体−強皮症
抗Jo-1抗体などの抗ARS抗体−多発性筋炎、皮膚筋炎
さらに
抗CCP抗体−慢性関節リウマチ
抗リン脂質抗体−抗リン脂質抗体症候群
MPO-ANCA−顕微鏡的多発血管炎
PR3-ANCA−多発血管炎性肉芽腫症
抗GBM抗体−Goodpasture症候群

初診時からそのような抗体を絨毯爆撃的に測定することは、一時期賛否両論ありましたが、最近は後述するIPAFや肺病変先行型膠原病の存在が知られてきて、早期スクリーニング目的で抗体検査をされることが多いようです。

検査などから、原因がはっきりしたものがあればその原因に関してさらに精査を進め、治療を行います。

・感染症であればなるべく検体を採取して、それに対する薬剤を投与
・膠原病であればきちんと診断基準に則って診断をして、疾患に対する免疫抑制治療(主にステロイドや免疫抑制薬)
・過敏性肺炎であれば抗原からの隔離、薬剤性肺炎であれば薬剤の中止+ステロイド
・放射線肺炎であれば(通常はもう放射線治療はもう終わっているタイミングであることが多いのでその原因を取り除くというわけにはいきませんが)、呼吸状態の悪化症状があったりすればステロイド治療

間質性肺炎かな、となったら、原因のあるものの精査加療とほぼ平行して胸部HRCTを撮影されるでしょう。で、HRCTで特発性肺線維症(IPF)に典型的な画像所見がある場合、臨床診断としてIPFと診断して良いということになっています。

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2018年10月25日

10月27日土曜日、滋賀医大に衝撃が!

この土曜日10月27日は、滋賀医大の学祭「若鮎祭」ですが、若鮎祭とは関係なく、でも滋賀医大で、呼吸器内科主催のイベントを行います。

とき  10月27日(土)、13時〜
ところ 滋賀医科大学講義室A

百武 威(ひゃくたけ たける)先生による、炎の膿胸+Generalセミナーです!!
(対象は医学生、医師、看護師、コメディカルスタッフです。学祭企画ではなく、一般の方はご入場頂けませんのであしからずご了承ください)

なお、当日は学祭ですので駐車場は開放されています。

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思えば2年前、「大阪どまんなか7.0」での衝撃的な講演+その後の衝撃エピソードに、すっかり魅せられ、是が非でも滋賀医大で講演を!と思ってから、幾多の苦難を乗り越え、ようやく開催にこぎ着けました。

正直、百武先生はそうそうたやすく講演をなさいませんし、滋賀医大での講演開催は苦難の連続でしたし、もう二度とない機会です。予定が空いている人もいない人も、皆さん集いましょう!

あ、その前には呼吸器内科クラブハリエの会@守山、もありまっす。若手の先生方にとって、印象深い1日となるでしょう。

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posted by 長尾大志 at 19:38 | Comment(0) | 活動報告

2018年10月24日

特発性肺線維症/間質性肺炎の治療ガイドライン1

というわけで、現存する日本の最新ガイドライン
『特発性肺線維症の治療ガイドライン2017』
『特発性間質性肺炎診断と治療の手引き第3版』

に、最新の米国胸部学会(ATS)/欧州呼吸器学会議(ERS)/日本呼吸器学会(JRS)/南米胸部学会(ALAT)合同の、IPF(特発性肺線維症)の診断に関するclinical practice guideline(2018年)をからめた形で、診断と治療の手順をお届けしようと思います。

なお、今の、特に肺線維症のガイドラインは、どうやって抗線維化薬を使う(使わせる?)か、それと専門医による議論(MDD::multidisciplinary discussion)というところに力点が置かれていますが、正直初学者の皆さんや非専門医の先生方にとってはかなりどうでもいい話なのでそこは端折っていきたいと思います。あくまで現在の診断と治療における、エキスパート以外の方がアクセスできる最新の状況を知っていただくということを目的にしています(2018年10月現在)。


診断への道筋、まずは空咳や労作時の息切れといった症状受診時、あるいは健診でのスクリーニングにおける胸部 X 線写真で、両側下肺野にすりガラス影や網状影が見られるということや、胸部の聴診でファインクラックルが下肺野に聴取されるとか、そういったことで間質性肺炎の存在に気づかれることが多いでしょう。

ウチのような大学病院では、他疾患のために偶然撮影されたCTによって、最初から「間質性肺炎疑い」とされて紹介になることも結構あります。

間質性肺炎の分類としては、とにもかくにも「原因がある」のか、「原因がない」のか、が重要です。原因があるかどうかが治療にもガッツリ関わってきますから。

ということで、こうした所見から間質性肺炎の可能性が疑われた場合、まずは明らかな原因のある間質性肺炎や間質性肺疾患を、除外(あるいは診断)していきたいところですので、さらに問診や身体診察をしっかりと行います。

それらは感染症、膠原病、過敏性肺炎、薬剤性肺炎、放射線肺炎、じん肺などです。問診では、過敏性肺炎を起こすようなカビなどとの接触が生活環境にあるかどうか、鳥との接触があるかどうか(羽毛製品を使用しているか)、加湿器を使用しているか、それから間質性肺炎を起こすことが知られている薬剤の摂取・曝露があるかどうかを確認します。1年以内の放射線照射があれば放射線肺炎は分かりやすいですね。

そして膠原病は特徴的な症状や身体所見(皮疹(皮膚の着色・硬化など)、関節症状や関節炎、筋痛、Raynaud症状、目や口の乾燥、腎障害や血尿などの症状)を聴き取り観察します。

じん肺は職業上、粉じんへのばく露があるかどうか、アスベストなどを取り扱っていないかどうかをよく確認します。

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2018年10月23日

特発性肺線維症の治療ガイドライン

続いては、間質性肺炎・特発性肺線維症について、ガイドラインが最近立て続けに出ましたので、取り上げておかねばなりますまい。

『特発性肺線維症の治療ガイドライン2017』というものが2017年に出ました。これは特発性肺線維症に特化した日本のガイドラインです。

一方、『特発性間質性肺炎診断と治療の手引き第3版』というものが2016年に出ています。こちらは特発性肺線維症を含む、特発性間質性肺炎に関するものです。これらが今の日本の最新のガイドラインになります。

で、いわゆる国際的なガイドラインというものがありまして、これは主に米国胸部学会(ATS)欧州呼吸器学会議(ERS)から日本呼吸器学会、はたまた南米胸部学会(ALAT)の4学会が合同で出していて、それの最新版がついこの前(2018年)出ました。これはIPF(特発性肺線維症)の診断に関するclinical practice guidelineで、診断に関して最新のガイドラインということになります。

特に非専門医の先生方にとって、いや実は我々も一応専門医ということになっていますが、我々専門医にとってすら、ガイドラインが変わるたびに、用語の定義が、あるいは用語そのものがコロコロ変わるという現状は、非常に鬱陶しい、やりにくいものであります。

古くはHammanとRichによる急性症例の報告に始まる「間質性肺炎」という病態に関しては、その後多くの症例の蓄積を経て、疾患概念そのものの変遷、紆余曲折がありました。

急性型のAIPと慢性型のIPFに加えて、NCIPだNSIPだBOOPだOPだCOPだと新しい疾患概念と名前が提唱され、混乱の後に2000年になって、ようやく「特発性間質性肺炎の7つの病理型を元に臨床診断を定める」となって、一旦ガイドラインがきちっと決まったかと思わせておいて、それからも数年に一回用語が変わり、追加され、傍から見ていてかなりうんざりされている先生方が多いのではないかと思います。私もそうです。

最近ではCPFEだPPFEだPPAPだ?IPAFだ、と、またぞろ新しい用語が生まれていますが、すでにCPFEという言葉は下火になってきているようです。一度提唱された先生は、安易に取り下げないで頂きたい。世に出すのであれば、学会での十分な議論の後に、出して頂きたいものです。

それで話は戻りますけれども、ガイドラインの最新版が出たということで、またその最新版に関する色々な話題があるわけなんですけれども、まあどうせこれをまとめてもまたすぐひっくり返されるんだろうなあ、みたいなことを思ったりもしないわけでもありません。

しかしながら現時点ではこれが最新版なわけでして、最新版について触れないわけにも参りませんので、とにもかくにもまず細かいことはさておき、とっても大事なところだけ取り上げて考えていきたいと思います。

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2018年10月22日

急性・慢性心不全診療ガイドライン2017年改訂版解説8

急性心不全の診断を含めた初期対応が、ガイドラインではフローチャートになっています。トリアージのところで収縮期血圧によって病態を(CSをふまえて)分類します。もちろん血圧が絶対ではありませんので、病態を考えながら対処することになります。

収縮期血圧が140mmHg以上であれば、CS1(肺水腫)を考えます。SpO2が低下したり呼吸数25回以上の頻呼吸であれば、NPPV導入が症状軽減に効果的です。

また、硝酸薬の舌下やスプレーにより速やかな血管拡張を図ることも有用です。体液貯留もあるようなら、利尿薬を併用します。これら急速な血管拡張や利尿で、血圧を下げすぎないようモニターが必要です。

LVEFが低く低心拍出徴候があれば、ドブタミンを使用し、それでも循環動態が維持できない症例ではIABPなどの補助循環管理を行います。


収縮期血圧が100〜140mmHgで、全身的な体液貯留がみられる(CS2)場合には、利尿薬を中心に加療を行います。腎機能障害や低アルブミン血症など、コントロールに難渋する場合もあり、利尿薬の追加やカルペリチド(ハンプレジスタードマーク)の併用などが使われます。


収縮期血圧が100mmHg未満で、倦怠感や食欲低下、活動性の低下など低心拍出・低灌流症状を呈する(CS3)場合、体液貯留がなければ容量負荷、低血圧・低灌流が持続する場合は血管収縮薬を投与しますが、強心薬で改善がない場合は血行動態評価が必要です。

収縮期血圧が90mmHg未満、または平均動脈圧65mmHg未満で乳酸値上昇がみられる場合、心原性ショックと考えられ、薬物(ドブタミン+ノルアドレナリンなど)治療+補助循環を考えます。

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2018年10月21日

国立病院機構京都医療センターの会、近江八幡市立総合医療センターにて「肺炎ただいま診断中!」

金曜日は、国立病院機構京都医療センターにて、京都の呼吸器専門医の先生方が集う会に参加して参りました。

いつもながら興味深い、勉強になる症例が目白押しで、
DLBCLに合併した○○病
多発空洞結節は果たして…?
○○菌症のCT画像の特徴は、MACに似てるなあ
安定の(不安定の)septic emboli
という感じでした。滋賀の若手も参加すればいいのに。


そして昨日は、近江八幡市立総合医療センターにて、『ただいま診断中!by中外医学社』ファミリーによります「ただいま肺炎診断中!」セミナーが開催されました。

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あの場ではいろいろと余計なことを申しましたがこの場では余計なことは書きませんが、元々竹内君はじめとする学生さんから滋賀でこのような会を、といわれて当初は滋賀医大でできれば、と当然思うワケですが、まあ諸事情で無理で、近江八幡市立総合医療センターの徳田先生が中心に企画を進めてくださり、立川先生、池田先生というご理解のある先生方のご助力を頂きまして、今回の開催にこぎ着けたわけです。

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このたび無事に開催できて、たくさんの若い人が参加してくれて、本当にうれしく思っています。本当にありがとうございます。そして、遠方よりはるばる滋賀までお越し頂いた坂本先生、伊東先生、森川先生、本当にいつも仲良くしてくださり、ありがとうございます。さらに、今回『ただいま診断中!』シリーズの生みの親である、中外医学社の宮崎さんもご参加くださいました。そしてもちろん、ご参加のすべての皆さまに感謝しております!本当に、ありがとうございました!またやりたいですね!

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posted by 長尾大志 at 21:04 | Comment(0) | 活動報告

2018年10月20日

国立病院機構京都医療センターから近江八幡市立総合医療センターへ

先ほど近江八幡から帰って参りました〜。

昨日は京都医療センターの会で勉強して参りました〜。

詳しくは明日レポートいたします〜。

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posted by 長尾大志 at 23:47 | Comment(0) | 日記

2018年10月19日

急性・慢性心不全診療ガイドライン2017年改訂版解説7

CSをふまえて急性心不全の診断を含めた初期対応が、ガイドラインではフローチャートになっています。具体的には、到着から10分以内に行うトリアージ、次の60分の間に行う迅速評価、そしてその次の60分以内に行う再評価という時間軸を設定しています。

トリアージは四肢冷感、バイタルサインなどの臨床所見と、血液ガス分析による乳酸値を参考に、血行動態が安定か、不安定かを手早く評価します。乳酸値は>2mmol/Lあたりで末梢の低灌流を考えます。

血行動態が不安定であれば、補液、強心薬投与、IABP/ECMOなどの処置を追加します。

次の60分で迅速評価を行います。具体的には呼吸不全の有無を評価することと、急性症候群かどうかをこの間に確認します。

検査としては血液検査(BNP/NT-proBNPなど)、心電図、心エコー、肺エコー、胸部X線写真、必要に応じて胸部CTを行います。

呼吸不全があれば、低酸素血症(SpO2<90%またはPaO2<60 mmHg)の患者に対しては酸素を投与し、それでも改善が認められない(呼吸回数>25回/分,SpO2<90%)場合はすみやかに陽圧呼吸を導入します。それでも改善を認めない場合は気管内挿管による人工呼吸管理が推奨されます。

呼吸不全がなければ、まずは心不全の治療として血管拡張薬・利尿剤の投与を行いつつ、急性冠症候群の診断を急ぎます。急性冠症候群の場合、緊急CAG/PCIにうつりますが、そうでない場合、基礎にある心疾患の診断や病態を把握し、治療方針を固めていきます。

呼吸不全や急性冠症候群など、取り急ぎ対処が必要なものを迅速評価で対応した後、続いての60分は病態把握や治療反応性の再評価の時間です。

その時間で特殊な病態の鑑別を行って、各々の急性期医療につなげていくフローチャートになっています。

特殊な病態、つまり疾患特異的な介入を必要とする病態を取り上げて評価するわけで、MR. CHAMPHという語呂合わせがあります。

Myocarditis:心筋炎
Right-sided heart failure:右心不全
acute Coronary syndrome:急性冠症候群
Hypertensive emergency:高血圧緊急症
Arrhythmia:不整脈
acute Mechanical cause:機械的合併症
acute Pulmonary thromboembolism:急性肺血栓塞栓症
High output heart failure:高拍出性心不全

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2018年10月18日

急性・慢性心不全診療ガイドライン2017年改訂版解説6

急性心不全の診療フローチャート

今回のガイドラインは急性・慢性を合わせたガイドラインになっていますが、急性心不全はそのまま急速に心原性ショックになったり、心肺停止になったりする可能性が高い、緊急性の高い状態です。

ですからこのガイドラインの中でも、やはり急性の心不全状態に関しては、特別扱いをして急性期対応のフローチャートというものが作られています。

まず定義ですが、急性心不全とは、「心臓の構造的および/あるいは機能的異常が生じることで、心ポンプ機能が低下し、心室の血液充満や心室から末梢への血液の駆出が障害されることで、種々の症状・徴候が複合された症候群が急性に出現あるいは悪化した病態」であるとされています。これには新規の心不全発症例も含めて考えます。

急性心不全を考えるときにいくつかの分類に当てはめるという作業が必要になってきますこの分類が色々とあってややこしいんですけれども、どうしても必要なものを少し紹介します。

まずクリニカルシナリオ分類(CS)分類です。これは急性心不全症例を救急隊到着時や病院搬送時に素早く治療を開始するための分類で、血圧と病態によって層別化し、各々に対して異なる初期対応を行うというものです。

CS1〜CS5までの5群あるのですが、まずはCS1〜3の病態を把握しましょう。CS1が急性肺水腫で、収縮期血圧が140mmHg以上、病態生理としては急性発症で、充満圧上昇による血管性の要因が関与しています。左室の収縮は保たれていることが多く、全身性の浮腫は軽度で、体液量が正常または低下している場合もあります。

CS2が全身的な体液貯留ないしは溢水です。収縮期血圧は100から140mmHgと正常で、通常は緩徐な発症です。病態生理としては慢性の充満圧/静脈圧/肺動脈圧の上昇によるさまざまな臓器障害(腎障害/肝障害/貧血/低アルブミン血症など)があります。肺水腫は軽度です。

CS3は低灌流です。収縮期血圧100mmHg未満と低値で、急性な発症、緩徐な発症、どちらもみられます。低心拍出・低灌流と心原性ショックを含む病態です。肺水腫も全身浮腫も少なく、進行、終末期心不全の様相がみられることも多いです。

当然これらはひとつの病態だけに限ったものではなく複合することもしばしばありますが、どの病体が主体であるかを評価して治療を考えていきます。


CS4は急性冠症候群に伴う急性心不全です。これは当然特別扱いですね。急性冠症候群にはエビデンスが豊富な治療がありますからそれでしっかり治療します。

CS5は右心機能不全です。肺高血圧や右室梗塞で発症します。急性あるいは緩徐に発症して、通常肺水腫はなく、右室の機能が障害されているということで左心系は低灌流となり、全身の静脈うっ血徴候があるというのが特徴とされています。

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2018年10月17日

急性・慢性心不全診療ガイドライン2017年改訂版解説5

心エコーで測定できるLVEFを左室収縮能の指標として用います。これは必ずしも左室収縮能を正確に表すというものではありませんが、まあ広く使われていますし、簡単におおよその収縮能がわかるということで、ガイドラインに採用されています。

先に述べましたとおり、LVEFを用いて心不全の病態分類をしています。LVEFの保たれたHFpEFヘフペフと、LVEFが低下したHFrEFヘフレフとに分類します。

LVEFが収縮能を表すというのはいいのですが、拡張能の評価が若干難しい。左室拡張能の評価には拡張早期の左室流入血流速波形Eを心房収縮期の流入血流速波形Aで割った比E/A、それから総合弁輪部拡張早期波(e’)、それからE/e’、左房容積係数(left atrial volume index:LAVI)、三尖弁逆流速度(tricuspid regurgitation velocity:TRV)などを用いて総合的に評価をします。

HFpEFとHFrEFでは治療が若干異なります。

具体的には心不全としての治療対象はステージCとDになりますが、ステージCのHFrEF治療薬はエビデンスのある薬剤がいくつかあります。

ACE阻害薬/ARB+β遮断薬+ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)
利尿薬
必要に応じてジギタリス
血管拡張薬
ICD(植込み型除細動器:implantable cardioverter defibrillator)/CRT(心臓再同期
療法:cardiac resynchronization therapy)
運動療法

ステージCのHFpEFは概念自体が新しく、まだまだ治療薬のエビデンスは少ないのが現実です。

利尿剤
併存症に対する治療

ステージCのHFmrEFは個々の病態に応じて判断することとなっています。

ステージDは上記の治療にもかかわらず悪化したものですから、もはやそれ以上の画期的な薬剤はありません。

治療薬の見直し
補助人工心臓
心臓移植
緩和ケア
などを考慮する、となっています。

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2018年10月16日

急性・慢性心不全診療ガイドライン2017年改訂版解説4

1971の発表後、長らく心不全診断基準として使われてきたフラミンガム研究における心不全の症状・所見はよく出来てはいるのですが、左心不全や右心不全、それに低心拍出量の症状や所見が混在していて混乱が見られます。

そこで、これらを分けて考えることで病態の把握をきちんと行うことが勧められています。

・うっ血による自覚症状と身体所見

左心不全の自覚症状|呼吸困難、息切れ、頻呼吸、起坐呼吸

左心不全の身体所見|水泡音(湿性ラ音、coarse crackles)、喘鳴、ピンク色の泡沫状痰、V音(やW音)の聴取

右心不全の自覚症状|右季肋部痛、食欲不振、腹満感、心窩部不快感

右心不全の身体所見|肝腫大、肝胆道系酵素の上昇、頚静脈怒張、(高度になると)肺うっ血所見が乏しい


・低心拍出量による自覚症状と身体所見

自覚症状|意識障害、不穏、記銘力低下

身体所見|冷汗、四肢冷感、チアノーゼ、低血圧、乏尿、身の置き場がない様相

両心不全の患者においては、左心不全の症状・所見、それに右心不全の症状・所見の両者を呈します。


このような症状や既往症、身体所見などに一つでも該当する場合、血中のBNPもしくは NT-Pro BNP値を測定します。BNP で35〜40 pg/mLあるいはNT-Pro BNPで125 pg/mL以上の値を認めて、心不全の可能性が考えられる場合、心エコー図検査を行う、という手順になっています。

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2018年10月15日

急性・慢性心不全診療ガイドライン2017年改訂版解説3

心不全の診断では、自覚症状、既往歴、家族歴、身体所見、それに心電図や胸部X線をまず検討することになっています。

自覚症状では
・労作時の息切れ
・起坐呼吸
・発作性の夜間呼吸困難
などが有名ですね。

既往歴は
・高血圧
・糖尿病
・冠動脈疾患の既往
・心毒性のある薬剤による化学療法歴
・放射線治療歴
・利尿薬の使用歴
など、心不全の発症するリスク因子として一般的に知られているものを指します。

家族歴では遺伝性疾患の有無、特に心疾患の家族歴などを確認します。

それから身体所見を確認しますが、有名なのはフラミンガム研究ですが、これにも問題があると…

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2018年10月14日

あべの感染症セミナー 病歴と診察で診断する感染症

昨日は、大阪に出向く用事がありまして、ふと気づけば、近くで大変魅力的なセミナーをやっている、ということで、「あべの感染症セミナー 病歴と診察で診断する感染症」に参加させて頂きました。

で、気づけば、更新が抜けているという始末…((((;゚Д゚)))))))

これは適々斎塾とのジョイント企画ということで、本当は今日適々斎塾もあったのですが…そちらには出られず…昨日だけの参加。

しかし、天理よろづ相談所病院の佐田先生、大阪急性期・総合医療センターの大場先生という素晴らしい講師陣のお話を拝聴できまして、内容ももちろんですが、プレゼンのやり方も大いに参考になりました。

ごくごく簡単に振り返りますと…


佐田先生のお話

「風邪」の概念について、Think-Pair-Share法を使われて、場を温め、議論しやすい雰囲気作りをされていました。

そもそも「風邪」の定義が曖昧で、医療者側の定義が曖昧なので、患者の概念もかなり曖昧になっている点が問題であるというお話でした。

それから理想的な問診というところで、アコースティックギターの例えを出されましたけれども、これなるほどと思いました。出た音事をそのまま受け取る、ディストーションとかそういうのをかけない問診ですね。患者さんの認識自体が、実は患者さん自身の感じている症状を変えてしまっている場合があるというお話でした。

特に高齢者は急性気道感染に罹患しにくい(20歳と80歳を比較した研究を示されていました)、高齢者の風邪を引いたという訴えはかなり危険であるというところです。日本の施設入所中の高齢者における発熱のうち、風邪は3.1%しかなかったというデータもありました。高齢者のピットフォールで、急性心筋梗塞を胃腸炎と診断した(初期症状が胃の辺りの症状で…)とか、一般的な疾患の症状も若い時に比べて非特異的になると言うところなどなど、これら以外にも大変参考になりました。

後半は関節痛の話でした。関節が痛いという訴えをとってみても、滑液包炎なのか、関節周囲の蜂窩織炎なのか、Rotator cuff syndromeなのかはたまた…途中で肩関節の見方、実演も交えて大変参考になりました。

急性単関節炎の診療でまず大事なことは、外傷の有無をしっかり確認するということ、その次に化膿性関節炎、これはしばしば致命的になることと機能的障害が残るということから診断が非常に重要です。

そして結晶性関節炎。偽痛風は50歳以上、高齢がリスクになりますし、痛風は男女比が9対1ととにかく男性に多いなど、病歴も重要で、しかししばしば鑑別は困難であったりする、と難しいところも教えて頂きました。


大場先生のお話

まず皮疹のお話。System 1と System 2の間のSystem 1.5というべき概念を、特に一人の患者さんにかける時間が少ない外来で考えていくことが大事かと言われていました。

ある程度直感だけではなく、ファーストタッチの段階で、Illness scriptを把握するということが重要ではないかというお話でした。

たくさん皮疹の写真、事例を見せていただき、後半では皮膚軟部感染症SSTIの考え方と豊富な事例を拝見できましたが、皮疹の見た目だけで診断するのではなく、病歴など一連のIllness scriptが診断には重要であった、というお話で、皮疹が苦手な私も大変勇気づけられる内容でした。


佐田先生、大場先生、そして板金先生、松村先生はじめ適々斎塾の先生方、どうもありがとうございました。

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posted by 長尾大志 at 17:02 | Comment(0) | 日記

2018年10月12日

急性・慢性心不全診療ガイドライン2017年改訂版解説2

もう一つ、新しいガイドラインで決められたのがステージという考え方です。

そもそも心不全は、心疾患によって心臓機能障害が生じて、その結果血液のうっ滞や循環不全が起こるものです。その流れはあくまでも一連の、段階を追って悪化してくるものであり、これまでのように急性とか慢性とかいうくくりで分けられるものではない、ということです。

ですから、そもそも心疾患のリスクがある状態、例えば高血圧、高脂血症、あるいは糖尿病といった状態も、すでに心不全の一連の流れの、最初の状態であるというふうに考えて、心不全を予防するというのは心不全になる前の状態、すなわち心疾患の予防であると考えるのです。

まだ心不全になっていない、心疾患の予防段階から心不全治療は始まっているので、そういうものも一連のステージの中に含めようというコンセプトでできたのがステージA(器質的心疾患のないリスクステージ)です。

高血圧や糖尿病の治療から心不全の予防は始まっている、ということを、一般医家の先生方や一般の方々に周知する、という意味合いもあるのだと思います。

そして心疾患が発症した段階、ステージB(器質的心疾患のあるリスクステージ)は、その発症した心疾患の進展を抑制するということ、それから今後心不全が発症してくることを予防するといったことを目標にします。

そして心不全になってしまった段階、ステージC(心不全ステージ)では文字通り、心不全自体の予後の改善、それから症状の軽減を目標にするわけです。

そして一番進行した状態、ステージD(治療抵抗性心不全ステージ)、これは有効性が確立している薬物治療、非薬物治療を試みられたにもかかわらず、NYHA(New York Heart Association:ニューヨーク心臓協会)心機能分類III度より改善しない、治療に抵抗性の心不全の段階ということになります。

この段階の治療は基本的にはステージCと同様なのですが、このステージを今回のガイドラインであえて分けた理由というのが、(肺炎でもそうでしたが)いわゆる終末期の心不全を取り上げて、症状緩和・終末期ケア、つまりなにが何でも治していくという方向性とは少し違う考え方が新たに盛り込まれるようになった、これがニュースであります。

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