2018年06月30日

第32回上本町呼吸器セミナーでX線のお話

今日は、大阪まで伺い、表記の会でお話をさせて頂きました。懐かしい再会や懐かしい話もあり、印象深く終えることができました。こんな時間ですので、レポートは明日にさせて頂きます。

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posted by 長尾大志 at 23:40 | Comment(0) | 日記

2018年06月29日

成人肺炎診療ガイドライン2017解説2・市中肺炎1・成人肺炎診療ガイドライン2017における市中肺炎の定義

ちなみに院内肺炎(HAP)は入院後48時間以上経過してから新しく発症した肺炎であり、入院時既に感染していたものは除かれます。

そして医療・介護関連肺炎(NHCAP)は以下の定義のような肺炎です。

医療・介護関連肺炎の定義

  • 長期療養型病床群もしくは介護施設に入所している

  • 90日以内に病院を退院した

  • 介護(PS3以上)を必要とする高齢者、身体障害者

  • 通院にて継続的に血管内治療(透析・抗菌薬・化学療法・免疫抑制薬などによる治療)を受けている



ガイドライン自体に市中肺炎(CAP)とはこういうものだという定義、そのものズバリは書いてないんですけれども、一応記載としては、基礎疾患のないまたは基礎疾患が軽微な人に起こる肺炎、と書いてあります。また一般的な概念は、通常の日常生活を営む健常人に起こる肺炎である、とも書いています。

市中、という言葉は普通の街中に住んでいる、ということですが、HAP、NHCAPを除いたものがCAPですから、NAPやNHCAPの定義とすり合わせると、医療機関にそれほどかかっていない、医療や介護の対象となっていない、ほぼ健常な人に起こる肺炎だと考えられます。

肺炎ガイドライン解説

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posted by 長尾大志 at 18:32 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説

2018年06月28日

成人肺炎診療ガイドライン2017解説1・ガイドラインの変遷

昨年(2017年)成人肺炎の診療ガイドラインが新しくなり、『成人肺炎診療ガイドライン2017』として発行されました。少しそれについて改めて振り返っておきましょう。

『成人肺炎診療ガイドライン2017』は、これまでにあった「市中肺炎(2005)」「院内肺炎(2008)」「医療・介護関連肺炎(2011)」という、発症の場ごとのガイドラインを1冊にまとめ、そして各々の場における新しいエビデンスを取り入れたものですが、それだけでは、あまり目新しいものではありません。

今回新しいこととして、終末期の肺炎に踏み込んで、治療方針などに言及された点が挙げられます。医療・介護関連肺炎診療ガイドラインで初めて取り上げられた「患者がいかなる治療区分に該当するかの判断は、患者個々の病態、背景、家族関係などをよく知る主治医の判断に委ねる」「長期的には改善が得られない症例に対する医療の継続に関しては、現在も議論の決着がついていない」という記載から、「終末期医療における肺炎では、個人の意思によっては必ずしも科学的なエビデンスに基づいた強力な治療を行わないという選択肢もある」という記載になってきました。

これまで臨床の現場では、何となく?行われてきたことにガイドラインがはっきりと道筋を付けた、ということで、現場の先生方は歓迎されているかと思います。

それに関連して、なのですが、そういう疾患の末期や老衰といった、終末期の症例が含まれる「院内肺炎」と「医療・介護関連肺炎」は1つの診療群とし、「市中肺炎」と分けて診療のプロセスを示すようになりました。折角分けたものがまた1つになったわけで、なんだかな〜という感じです。

まあ、医療・介護関連肺炎を分けてみたものの海外の医療施設との定義というか分類の地域差、文化差を合わせられずに、論文を出すにしても統計を出すにしても海外から見て「なんやねんそれ」状態であったのかもしれません。むしろこのシンプル化は、現場の人間としては歓迎すべきですね。

で、「院内肺炎」と「医療・介護関連肺炎」の症例では、最初に終末期であるかどうかを判断し、濃厚な治療をするべきかどうかを決めましょう、ということになっているのです。

肺炎ガイドライン解説

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2018年06月27日

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2018[第5版]解説6・ACO問題

日本のガイドラインにおけるICSの位置づけは、第5版で「喘息病態の合併が考えられる場合(つまりACO)」と明記されてしまいました。それで、ACOをしっかり診断する目的で『ACO診断と治療の手引き』が出来たようなものです。

COPD症例のうち、

変動性・発作性がある
40歳以前に喘息を発症している
FeNO>35ppb
上記3項目のうち2項目あればACOと考え、1項目しか満たさない場合、以下のうち2項目以上を満たせば喘息と考えるのです。
アレルギー性鼻炎
気道可逆性
末梢血好酸球高値
IgE高値


第4版までは、喘息合併例に加えて増悪頻度が頻回であるケースにおいて、ICSが増悪頻度を減らす、という研究があり、ICSを併用されることがしばしばありました。しかしその後いくつかの研究で、ICSを併用すると増悪頻度は抑制されるものの、特に重症度の高い患者群において肺炎のリスクが高まる、という結果が新たに得られました。

これらから、ICSを闇雲にCOPDの重症例に対して使うというのは少し難しいところがある、ということになりまして、非専門医の先生が参照されるガイドラインのアルゴリズムには記載しないということになったようです。

ただこれまでも ICS/LABA などは重症の COPDに対して多く用いられており、今使用しているすべてのCOPD症例のICSを直ちに止めなければならない、ということはないと考えます。GOLDを見ても、増悪頻度が高ければICSを使うよう書かれていますし。

これまでの研究では、どのような症例では肺炎が起きやすい、とかはイマイチはっきりと示されていませんので何とも言えないところですが、肺炎を繰り返すようなケースでは、中止することも必要になってくるかもしれません。

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posted by 長尾大志 at 19:36 | Comment(0) | COPDポイントレクチャー

2018年06月26日

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2018[第5版]解説5・日本のガイドラインによる薬剤の選択

GOLDではこんなふうになっていますけれども、結局はLAMAか、LAMA/LABAか、LAMA/LABA/ICSか、っていうことですよね。分類、もう少しシンプルになりませんか?ということで日本のガイドライン第5版を見ると、シンプルなアルゴリズムにしてくださっています。

まず必要に応じてSABAかSAMA

⇒日常労作時の息切れがあればLAMAまたはLABA

⇒そしてしばしば増悪を認めるようであればLAMA/LABA
⇒そこにテオフィリンや喀痰調整薬を追加していく

…という、割とシンプルなアルゴリズムになっています。日常臨床であればそれで十分だと思います。


今日の午後は近江八幡市蒲生郡医師会講演会でのお話です。ちょうど今やっているようなお話を、症例ベースでやらせて頂きます。これから近江八幡市立総合医療センターに伺います。で、夕方大学に戻ったら会議2連続です。というわけで短めに。

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posted by 長尾大志 at 12:29 | Comment(0) | COPDポイントレクチャー

2018年06月25日

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2018[第5版]解説4・GOLD の分類による薬剤の選択

ですからその「増悪頻度」がガイドラインに載ることで、「増悪を減らす」薬のプロモーションになるにでは…とは、穿った見方でしょうか。

閑話休題、この GOLD の分類は、その分類に沿って薬を足していく、というロジックで進んでいきますが、治療薬の選択はこんな感じになります。

  • Group A|気管支拡張薬1剤(LAMA or LABA or SABA)

  • Group B|気管支拡張薬1剤(LAMA or LABA)、これで症状が改善しないならLAMA/LABAの合剤

  • Group C|まずLAMA、それでも増悪が持続するならLAMA/LABA合剤、それでダメならICS/LABA合剤 に変更

  • Group D|第一選択にLAMA/LABA、喘息のオーバーラップがあればICS/LABA、第一選択薬で増悪が継続すればLAMA/LABA /ICS3剤を併用、さらに増悪が持続すればロフルミラスト(現在日本未承認)とかマクロライドを追加せよとなっています


Group CやDでは、ICS を加えて増悪が持続するのであれば ICS を中止することも考慮せよ、となっています。

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posted by 長尾大志 at 21:29 | Comment(0) | COPDポイントレクチャー

2018年06月24日

岡山協立病院さんで「胸部X線レクチャー」とオタ話

昨日はそういうわけで、岡山協立病院さんで「胸部X線レクチャー」をさせて頂きました。

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「スーパー研修医」の呼び声も高い、岡山協立病院のY先生に、とある会で出会った縁でお招き頂いて実現したものですが、Y先生の企画力、実行力は本当に見習わねばなりません。我が身を顧みるに恥ずべきことだらけです。

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参加された方は学生さん4割、初期研修医4割、コメディカルスタッフ2割、という割合でしたので、基礎の話を多めで進めましたが、終わってみると結構拙著の読者の方が多かったみたいでした。それでも、「本を読むのと話を聞くのはまた全然違いました!」というご感想を頂きました。

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終了後の食事では、まさかのあの話題で一部の方々と大盛り上がりしてしまい、他の方がポカーン(゜Д゜)となりまして失礼いたしました。やはり自己紹介スライドは大切ですね!笑

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Y先生はじめ岡山協立病院の先生方、事務の皆様、参加して頂いた研修医の先生方や学生さん(特にオタ話につきあってくれたM先生とFさん)、本当にありがとうございました。岡山はこれまでもいい思い出ばかりで、再訪できるのを楽しみにしています!

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posted by 長尾大志 at 20:20 | Comment(0) | COPDポイントレクチャー

2018年06月23日

岡山協立病院で胸部X線のお話

今日は夕方から岡山協立病院さんで、胸部X線のお話をさせて頂きました。聴衆の皆さん熱心で、ブログや書籍の読者の方も多く、質問を振ってもなにがしかの答えを返してくださって、スゴくやりやすかったです。

もう今日は暮れてしまいますので、写真など詳しくは明日にまたご報告します。

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posted by 長尾大志 at 23:33 | Comment(0) | 日記

2018年06月22日

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2018[第5版]解説3・mMRCスコア

具体的には、

  • Group A|増悪が少なく(年間1回以下)、症状が軽い(mMRCが0〜1/CAT<10)

  • Group B|増悪が少なく(年間1回以下)、症状が強い(mMRCが2以上/CAT10以上)

  • Group C|増悪があり(年間2回以上または増悪による入院あり)、症状が軽い(mMRCが0〜1/CAT<10)

  • Group D|増悪があり(年間2回以上または増悪による入院あり)、症状が強い(mMRCが2以上/CAT10以上)


あ、mMRC(modified Medical Research Council:修正MRC)息切れスケールについて、これまで書いていませんでしたね。これは息切れの度合いを数字で表すもので、5段階評価になります。

  • グレード0|激しい運動をしたときだけ息切れがある

  • グレード1|平坦な道を早足で歩く、あるいは緩やかな上り坂を歩くときに息切れがある

  • グレード2|息切れがあるので、同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いている時、息切れのために立ち止まることがある

  • グレード3|平坦な道を約100メートル、あるいは数分歩くと息切れのために立ち止まる

  • グレード4|息切れがひどく家から出られない、あるいは衣服の着替えをする時にも息切れがある

(COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2018[第5版]より引用)

CAT(COPD assessment test)質問票、これも似たような項目ですし、ここでは引用しないでおきます。すぐに検索できると思います。


ともかく、治療薬の選択に、単純な?肺機能よりも増悪の頻度と息切れが重要視されるようになった、というところなのですが、これもまあ、欧米の大人の事情が見えたり見えなかったり。

LAMAやLABAなどの気管支拡張薬によって、差が出てくるのが、「増悪の頻度を下げる」というところなのですが、「薬の御利益」としては、ちょっとわかりにくいですよね。

例えば年に1.5回増悪するという人が1.2回になっても、実感として「よかった」とはなりにくい。「増悪の頻度を下げる」って、そういう、処方行動に結びつきにくいところがあるような気がしますねぇ。


明日は岡山協立病院さんで、胸部X線読影レクチャーです。参加される皆様方、よろしくお願い申し上げます。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe6ugTvEcFFESbf46DgtToywMcl3cyrseqPKxWZ3H2OkzH-Ug/viewform

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2018年06月21日

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2018[第5版]解説2・GOLD分類

ガイドライン第5版に「安定期 COPD の管理(治療)指針」の表が載っていますが、基本的にそんなに第4版と変わったわけではありません。管理・治療のための方策として特に目新しい項目が加わったわけではありませんし、使用する薬物も同じです。

大きな出来事としてはLAMA/LABAの合剤が発売されて、それを使ったエビデンスが出てきたということ。やはり売れて欲しい薬ですから、各社競ってエビデンス構築に勤しんでおられます。

第4版と第5版で変わったところとしては、重症度による薬剤の選択が挙げられるでしょう。第4版まではT期U期V期W期っていう「病期分類」、要は予測値に対する1秒量の度合いが薬剤選択の主な根拠でした。

  • T期|軽度の気流閉塞:%1秒量≧80%

  • U期|中等度の気流閉塞:50%≦%1秒量<80%

  • V期|高度の気流閉塞:30%≦%1秒量<50%

  • W期|きわめて高度の気流閉塞:%1秒量<30%


病期の進行を目安に治療を乗せていきましょう、ということでしたが、最近は「症状」と「増悪の頻度」を目安に治療を考えるという考え方が、海外のCOPDガイドラインであるGOLDでのメインになっています。

GOLDの分類は、もはや閉塞性障害の度合いは評価に組入れずに、増悪歴があるかないかあるいはその回数と、息切れ症状(mMRC/CATスコア)によって四分割された ABCD のどこに入るかによって治療を考えていきましょうというものです。

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posted by 長尾大志 at 18:54 | Comment(0) | COPDポイントレクチャー

2018年06月20日

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2018[第5版]解説1

先頃 COPD 診断と治療のためのガイドライン2018が改訂され、第5版になりました。それだけではなく昨年から今年にかけて、呼吸器領域の重要なガイドラインが立て続けに改訂され、今後も予定があるようです(成人肺炎、IPF、ACO、肺癌(これは毎年…汗)、そして近々喘息)。

ガイドラインというのは新しいエビデンスが出るとちょいちょい変わっていきます。その都度新しい知識を学ぶということも必要ですけれども、病態の本質についてはそんなにコロコロ変わるわけではないので、まず病態の本質をしっかり理解されておけば、ガイドラインが変わってもそうジタバタしなくてもいいのではないかと思います。

特に今回のCOPDガイドライン、第5版の改訂は、本質というよりは病態の解釈の部分が変わったりしていますね(例えば第4版では炎症といっていたのをやめてみたり…)。

あるいはトピック的なところではLAMAとLABA、あるいは合剤の問題、どちらが良く効くとか、ある患者さんに対してどの薬剤を使うべきかとか、そういうところは新しいエビデンスが改訂に反映されやすいわけですが、そういうところって、病態の本質が変わっているわけではないんですよね。

そこで、ここではガイドライン第5版 を参考に、多少新しいエビデンスが出たりガイドラインが変わったりしてもあまり変わらないであろう、COPD治療に関しての私見、私見といいますか、今のガイドラインの考え方をもう少し平たくしたものをご紹介したいと思います。

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posted by 長尾大志 at 19:35 | Comment(0) | COPDポイントレクチャー

2018年06月19日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー10・ハイフロー6・高流量鼻カニュラ(ネーザルハイフローレジスタードマーク

ベンチュリーマスクもインスピロン(ネブライザー式酸素吸入器)も、成人の場合には、FIO2を50%以下で使うのが原則です。それ以上にFIO2を上げたいのであれば、高流量鼻カニュラ(ネーザルハイフローレジスタードマーク)を使います。

高流量鼻カニュラ(ネーザルハイフローレジスタードマーク)は、太い蛇腹を使って高流量酸素を鼻から吸入させる器具ですが、加温加湿していることで、高流量を流しても鼻粘膜が傷まず、30l/分以上の混合気を流せるので、高いFIO2をしっかり定めることが出来るわけです。

高流量鼻カニュラ(ネーザルハイフローレジスタードマーク)のしくみはシンプルで、流量、FIO2をそれぞれ決めるだけ。器械によって微妙に設定方法が異なりますが、一般的には流量30L〜60L/分、FIO2は21〜100%の間で設定可能です。

主な特徴・利点としては以下のようなものが挙げられています。

  • FIO2を高濃度にできる

  • 解剖学的死腔を洗い出し

  • 気道抵抗を減少させる

  • PEEP効果がある

  • 気道粘膜乾燥の防止


なにより装着が簡単で、口が使えるために飲食や会話が可能、というメリットが大きいですね。

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posted by 長尾大志 at 18:41 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月18日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー9・ハイフロー5・いわゆる「インスピロン(ネブライザー式酸素吸入器)」4・なぜ70%とか100%とか書いてあるのか

なぜダイヤルのところに70%とか100%とか書いてあるのか。この理由は、フローが30L/分(500mL/秒)以上でない、つまり1回換気量が500mLよりも少ない場合には、FIO2が70%とか100%に出来る可能性があるからです。

例えば小児で1回換気量が成人の半分(250mL)くらいであれば、250mL/秒、つまり15L/分でまかなえるわけですよね。

そうすると、FIO2が70%とか100%とか、出来るわけです。早見表に当てはめてみると…。

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70%だと10L/分、100%だと15L/分で流せばいいことになりますね。

なので、70%とか100%とか書いてあるわけですが、成人の場合には、50%以下で使うのが原則です。それ以上にFIO2を上げたいのであれば…。

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posted by 長尾大志 at 17:53 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月17日

「急性期・術後の呼吸器ケア」から「呼吸苦のみかた」へ

昨日は東京で「急性期・術後の呼吸器ケア」セミナーを行いました。双方向性に進めると、皆さんの理解度も把握できて、かつ、参加されている皆さんの集中度も上がり、いいことばかりのように思います。あ、双方向性、といっても当てるわけではありませんから、皆さん安心してご参加ください。

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最近ようやく、こちらがしゃべるのと、聞いている人に考えてもらう(またはoutputしてもらう)割合のいい配合ができつつあるような気がしております。もちろんまだまだ、理想にはほど遠い現状ですが、少しずつカイゼンを進めております。医学生、若手医師、ベテラン医師、看護学生、看護師、ベテラン看護師、理学療法士、薬剤師、などなど、属性によっても少しずつ違っていそうです。

今回東京でのセミナーでしたが、意外に、というか、大阪よりも、ネタで笑って頂けたり、考えるコーナーで周りの方と相談されていたり、双方向な感じがありました。グループ参加の方が多かったこともあるかもしれません。これからも是非グループでのご参加をお勧めします(笑)。

そういえば、次の企画「呼吸苦のみかた」詳細が決定しました!(笑)是非正しい「みかた」とその理由を身につけましょう。
https://www.medica.co.jp/seminar/detail/171
大阪 2018年11月03日(土) クリスタルタワー 20階A会議室
東京 2018年12月15日(土) 家の光会館 7階コンベンションホール


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今回の会場は、昨今話題のとある大学(群)の近所でありまして、とある大学を横目で見ましたが、その立地の良さと規模に圧倒されました。やはり東京はすごいなあ、と田舎者の感想を持ちました。東京出身の学生さんが、滋賀に居着くことはなくて東京に戻っていくのも、無理もないことですね。

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posted by 長尾大志 at 15:45 | Comment(0) | 活動報告

2018年06月16日

第7回滋賀肺高血圧症フォーラムを聴講

14日は第7回滋賀肺高血圧症フォーラムに参加して参りました。

これまでも興味は惹かれながら、都合が合わなかったり、呼吸器内科医にあまり案内がなかったりでなかなか参加できていなかったのですが、昨日は国立循環器病研究センター肺循環科医長の大郷剛先生がお見え、ということを聞きつけ、参加して参りました。

大郷先生には数年来お世話になっている患者さんがおられ、一度ご挨拶を…と思っておりましたものですから、多少の都合は繰り合わせて参加したというわけです。無事にご挨拶も出来て、情報交換(拝聴するばかり?)も出来て、行った甲斐がありました。

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いつも申し上げていることですが、卓越した結果を出されている方の講演・お話は、興味深く飽きることがありません。今回のご講演本編も、大変興味深く拝聴しました。大郷先生、本当にありがとうございました。今後ともなにとぞよろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 23:06 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2018年06月15日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー8・ハイフロー4・いわゆる「インスピロン(ネブライザー式酸素吸入器)」3・ネブライザー式酸素吸入器における流量設定の仕方

ネブライザー式酸素吸入器(いわゆるインスピロン)で多い誤解は、「FIO2を100%で設定できる」というものです。

……何が誤解なの?100%で設定してますよ…と思われた方、ヤバいです。

ハイフローの最初の説明でも書きましたが、ネブライザー式酸素吸入器(いわゆるインスピロン)のような旧来からあるハイフローシステムは、15L/分までしか酸素が流れない流量計を使って、デバイスの工夫によって、酸素と空気の混合気を30L/分の流量で流すことが出来るようにしたものです。

もう、こう書いている時点で、酸素の割合は半分ですよね。30L/分の混合気のうち、酸素は15L/分ですから。FIO2が100%なんて、なるわけない。

「でも、100%って、ダイヤルに書いてあるもん!」という反論もあるかもしれませんが、今一度、よーくダイヤルをご覧ください。そして、説明書もしくは、お手元にある「ネブライザー設定早見表」をご覧ください。

まず現物、ダイヤルを確認します。

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て改変転載)

ダイヤルを拡大してみましょう。

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て改変転載)

35、40、50、70、100と書いてありますね。「ほら100%!いつもここに合わしてるから!」…落ち着いて、よーく字の大きさを見てください…70と100、字が小さくないですか?

これは、70と100にあわせても、期待する流量、流れませんよ、という意味です。

それでは、ネブライザー設定早見表をご覧ください。「ウチにはそんなものありません。見てません!」という方は、下の表ですので、こちらをご覧ください。

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

この表は、「酸素流量」(横軸)とダイヤルの酸素%(縦軸)を決めると、その時に流れるトータルの流量(フロー)がわかる、という表です。

この表の使い方は、FIO2を設定するときに、O2を何L/分流せば、トータルが30L/分以上になるかを見るわけです。わかりやすく、30L/分以上になるところは黄色になっています。

例えば、FIO2を35%に合わせるときは…

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て改変転載)

O2を6L/分以上流せば、30L/分を超えます。なので6L/分流します。

同様に、FIO2を40%に合わせるならば

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

O2は8L/分。

FIO2が50%なら、

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て改変転載)

O2を12L/分流すといいことがわかります。

では、FIO2を70%に合わすと、どうなるか…。表をいくら見ても、70%に合わせたときに30L/分以上のフローになるところ(黄色欄)はありませんね。

ですからこのシステム、FIO2が70%では使えない、ということなのです。じゃあ、なんでこんな数字をつけてるの?疑問ですね。



…盛り上がって参りましたが、これからまもなく東京に出発します。明日の「急性期・術後の呼吸器ケア」セミナーにご参加の皆さん、よろしくお願いいたします。

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posted by 長尾大志 at 15:49 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月14日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー7・ハイフロー3・いわゆる「インスピロン(ネブライザー式酸素吸入器)」2・名称のごちゃごちゃを整理する

今でも本によっては「インスピロンネブライザーレジスタードマーク」「インスピロンレジスタードマークタイプ」と記載されているのを見かけますし、まだまだその名称が一般的ではあるようです。それにしても紛らわしい…。

おそらく以前の一時期はインスピロンネブライザーレジスタードマークという商品名であったものが、会社の統合やら事業の変遷やらで製品名が変わってしまって今に至る、というようなことらしいです。で、昔からある、皆さん見慣れておられる(と思われる)「インスピロンネブライザーレジスタードマーク」が、下のタイプで…。

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

ご丁寧?に、ビンの横には「Inspiron」の文字が…しかしこれはあくまでブランド名。ちなみに写真の製品の名称は「ネブライザーセット」!です。「ネブライザー」とも書いてありますね。正しくいえば、「インスピロンブランドのネブライザーセット」ということになります。

ある意味、「インスピロン」という名前を酸素療法のブランドにしよう、という会社の意図は達成されているようにも思われますが、「インスピロン」=「ネブライザー式酸素吸入器」、という、大きな誤解を生んでいるのも事実。いっそここらで、製品名を入れ替えてもらえませんか??と会社の方に強くお願いをしておきました。\(^o^)/

ちなみに同様のシステム、つまり「ネブライザー式酸素吸入器」には、インスピロンブランド以外にもテレフレックスメディカルジャパン株式会社の、アクアパックネブライザーレジスタードマークという製品があります。

あーややこしい。整理しますと…


ネブライザー式酸素吸入器には、

  • 日本メディカルネクスト株式会社
    (インスピロンブランド)
     EZ-Water(イージーウォーター)ネブライザーシステムレジスタードマーク(新しい方)
     ネブライザーレジスタードマーク(旧い方)

  • テレフレックスメディカルジャパン株式会社
    アクアパックネブライザーレジスタードマーク


があります。ということです。厳密に言うと、インスピロンブランドには、経鼻カニューレやシンプルマスクの製品もあるので、ネブライザー式酸素吸入器のことを「インスピロン」と呼ぶのは間違い、ということになりますが、これだけ定着している呼び名を変えるのはなかなか大変です、という話です。


上にさんざん書いていることでおわかりの通り、このシステムの本質は「ネブライザー」です。あくまでこのシステムは、加温加湿のためのシステム、これを誤解されている方もものすごく多い。

酸素療法マニュアルにも、メーカーさんのHPにも、「ベンチュリーマスクにネブライザー機能を備えたもの」と紹介されています。決して「FIO2を上げる器械」「FIO2を100%にする器械」ではありません。

ナースのための呼吸器道場

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2018年06月13日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー6・ハイフロー2・いわゆる「インスピロン」1

いわゆる「インスピロン」。皆さまご存じなのはこんなやつでしょうか。

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

私、不勉強にて、この形の商品が「インスピロンという商品」だと思っておりました…。

ちなみにこちらは、正式な一般名「ネブライザー式酸素吸入器」(酸素療法マニュアルより)で、どこにも「インスピロン」の名前はございません。

じゃあ「インスピロン」の名前はどこ由来…??と探すと、日本メディカルネクスト株式会社の製品カタログに、「インスピロン酸素療法製品総合カタログ」の文字が。

…そう、インスピロン、というのは今や、酸素療法に関わる製品のブランド名となっておりました…。上の製品の名称としては、「EZ-Water(イージーウォーター)ネブライザーシステムレジスタードマーク」ということになるそうです。

皆さんいかがでしょうか…「インスピロン」て思われてませんでしたか…?全国的に(おそらく)浸透している、と思っていたんですが…。

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2018年06月12日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー5・ハイフロー1・ベンチュリーマスク

ローフローに対してハイフローシステムは、30L/分以上の流量が流れるシステム、ということになりますが、旧来あるハイフローシステムは、15L/分までしか酸素が流れない流量計を使って、デバイスの工夫によって、酸素と空気の混合気を30L/分の流量で流すことが出来るようにしたものです。ベンチュリーマスクとインスピロンがあります。

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

幸か不幸か、「ベンチュリーマスク」は商品名ではなく、一般名というか、こういう形式の、ダイリューターと呼ばれるカラフルな接続具を付け替えてFIO2を変える形式のマスクを指します。

名前の由来はベンチュリー効果、から来ています。ベンチュリー効果は、流れているものが細いところを通ると速度が上がり、圧力が低下して周りのものを引っ張り込む現象です。

スライド18.JPG
(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

件のダイリューターはこんな構造になっていて、流れてきた酸素が狭いところを通って速度が上がり、周囲の空気を引っ張り込むのです。酸素の流速と外気流入口の孔の大きさとで、混合される割合=FIO2が決まります。

ですのでダイリューターごとに、流すべき酸素流量が決まっていて、その流量でFIO2がいくらになるかも決まっているのです。普通は上の写真のように、ダイリューターに書いてあります。微妙にメーカーによって異なるらしいですが、一例を挙げると、日本メディカルネクスト株式会社のオキシジェンマスク アキュロックス型ですと、下の表の通りになっています。

スライド19.JPG
(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

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2018年06月11日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー4・ローフロー2・シンプルマスクとリザーバーマスク

シンプルマスクは、酸素チューブの先に(何の変哲もない)マスクを取り付けたもので、その名の通りシンプルなマスクです。酸素流量は15L/分以下ですから、ローフローシステムです。

オキシジェンマスクフレア1422.jpg
(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

流れてくる酸素の流量が少ないと、吐いた息がマスクの中に溜まったままになり、次の吸気でそれをまた吸入してしまう(呼気の再吸入)が起こってしまいますので、酸素流量は5L/分以上とします。

流量とFIO2対応の目安は以下の通りですが、この対応表もあくまで目安です。

スライド17.JPG

シンプルマスクでは最大でも15L/分しか流れませんので、1秒あたりにすると250mL、つまり1回換気量(500mL)の半分ぐらいにしかなりません。それで息をする時にマスク周囲の空気を一緒に吸い込んでしまい、最大でも吸入気の酸素割合(FIO2)は50%ぐらいにしかならない、ということになります。ローフローシステムです。

流れてきた酸素+周りの空気の割合でFIO2が決まりますから、FIO2はきっちり設定することができませんし、それほど高くはなりません。


そこでシンプルマスクよりももっとFIO2をあげようという目的で作られたのが、根元に酸素が溜まる袋(リザーバー)がついたリザーバーマスクです。

3in1マスクフレア1424.jpg
(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

リザーバーマスクでは、一旦袋に溜まった酸素が、息を吸うときにチューブを流れてきた酸素と共に入ってきます。それでシンプルマスクよりもFIO2が上がりますが、それでも一回換気量全てをまかなうほどの流量にはなりませんから、これもローフローシステムの仲間、ということになります。

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posted by 長尾大志 at 14:49 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場