2017年12月30日

カンファレンスでは「とりあえず何か言って!」A「わかりません」は何も生まない

無言同様、何も生まないフレーズに「わかりません」があります。


いや、無言よりもたちが悪いかもしれない。もう最初から、「私はこの教育機会に参加しませんよ」と宣言しているわけですから。無言だと、もう少し待てば、何か発言が出てくるかもしれない、という期待があります(が、それ故に時間が浪費される恐れもありますが…)。でも、「わかりません」は試合放棄。


「わからないんだから、しょうがないじゃないか!」と開き直りたくなるお気持ちも、まあわかりますけど。全く何もわからない、手がかりすらない、まあそんな、超専門的なこととか、研究に絡んだこととか、そういうことをわざと訊いてくる教授とかも居るんですかねえ…(遠い目)。


臨床のこととかは、正解が出てこないにしても、「これかな?」程度の発言はできるように思うのですが。繰り返しますが、発言があっての教育的指導ですからね。カンファレンスで直されたことって、忘れないんですよ。「恥ずかしい」という感情とセットで記憶しますから。感情セットは深く記憶するためのコツです。全ては自分のため。「わかりません」と言わない、こう心がけるだけでも、カンファレンスの効果は倍増することでしょう。




ところで昨日は「呼吸器内科クラブハリエの会」でした。


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Best of 2017だけあって、どれもおいしく選ぶのに困りますね…。


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もちろん、お目当ての「焼きたてバウムクーヘン」も頂きました!


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初期〜後期研修医の先生方と、幸せなひとときを過ごしました。早朝から並んでくれたK先生、本当にありがとうございました。


症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 21:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年12月29日

カンファレンスでは「とりあえず何か言って!」@「無言」は最悪

およそ教育病院においての「カンファレンス」つまりプレゼンの機会には、教育的な意味合いを持たされていることがほとんどでしょうし、そうあるべきだと思います。


で、カンファレンスが最も教育効果を現すのは、研修医・学生のプレゼンに対して、修正がなされるときだと思うのですね。ということで、研修医・学生諸君はどんどん間違え、どんどん修正してもらうのがお得なワケなのですよ。そう、お得なのです。一番伸びる。


若いうちは間違える=恥ずかしい=間違えたくない=発言を控えて…みたいな考えになりがちですけど、これはわざわざ、伸びる機会を損失してしまっているのですね。


間違える人、足りないところがある人を「伸びしろ」とか言うじゃないですか。「これから伸びる人」。早い段階で、「間違えキャラ・直されキャラ」になってしまって、伸ばしてもらう方が、自己学習よりも効率よく学習出来ますよ。これは経験談。


そう考えたときに、カンファレンスで何か尋ねられて「無言」になってしまうのは、やはりモッタイナイ。無言って、教える方としても一番困るのです。だって「わかってるのか、わかってないのか、わからない」じゃないですか。間違えたら直しようがあるし、「ここは間違えやすいから、気をつけよう」みたいに教訓として共有出来るし、他の人のためにもなるのですが…。


無言だと、こちらとしても話の膨らませようがないし、責めてるみたいで雰囲気悪くなるし、返答を待ってる時間がモッタイナイし、いいことありません。何でもいいから?発言する勇気を持ってほしいですね。そういう、発言しやすい空気を作るのは上級医の役目か…。


症例検討会BRONCHO


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posted by 長尾大志 at 19:42 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年12月28日

今年の10大・重大ニュース

あちこちで10大ニュースを目にしますので、やはり自分なりに今年のニュースをまとめておきたいですが、本当に今年もたくさんのお仕事を頂きまして、感謝、感謝であります。


まず講演関係ですが…

  • 1月7日 セコメディック病院

  • 1月15日 日臨技近畿支部 臨床一般検査分野研修会

  • 2月7日 志太医師会

  • 2月18日 洛和会音羽病院

  • 3月11日 兵庫県保険医協会

  • 4月7日 奈良県西和医療センター

  • 4月8日 福井県内科医会

  • 6月1日 産業医科大学

  • 6月3日 洛和会音羽病院

  • 6月10日 メディカ出版

  • 6月24日 メディカ出版

  • 6月16日 岡崎市医師会

  • 7月15日,16日 西伊豆健育会病院

  • 7月30日 耳原総合病院

  • 8月19日 福岡大学

  • 8月26日 メディカ出版

  • 9月2日 手稲渓仁会病院

  • 10月6日 市立敦賀病院

  • 10月7日 宿坊合宿

  • 10月21日 メディカ出版

  • 10月24日 音羽呼吸器連携会

  • 10月28日,29日 亀井道場

  • 11月2日 鳥取県東部医師会

  • 12月9日 福知山市民病院




学会のセミナー企画では…

  • 9月29日 呼吸機能イメージング研究会 サマーセミナー

  • 11月11日 日本集中治療医学会 看護教育セミナー

  • 11月26日 日本プライマリ・ケア連合学会近畿地方会

  • 12月16日 日本呼吸器学会・第120回日本結核病学会近畿地方会




書籍のお仕事としては…

  • 週刊日本医事新報 炉辺閑話2017

  • 病気がみえるvol.2 循環器 第4版 画像提供

  • 看護師・看護学生のための レビューブック2018(監修)

  • 内科専門医試験Quick Check 15th edition(監修)

  • 板野郡医師会報(講演サマリー)

  • 看護師・看護学生のためのなぜ?どうして?D免疫/血液/感染症/呼吸器(監修)

  • クエスチョン・バンク 看護師国家試験問題解説 2018(問題解説)

  • 第106回 看護師国家試験問題解説(問題解説)

  • クエスチョン・バンクSelect必修2018看護師国家試験問題集(問題解説監修)

  • 兵庫保険医新聞(講演サマリー)

  • 看護師国家試験のためのメディックメディア模試2017(問題・解答解説作成)

  • Hospitalist呼吸器疾患2(共著)

  • クエスチョン・バンク 総合内科専門医試験 予想問題集 vol.2(問題作成・監修)

  • 急変ABCD+呼吸・循環ケア(特集記事)

  • 週刊日本医事新報 私の一曲

  • 岡崎医報(講演サマリー)

  • 感染症内科 ただいま診断中!<帯コメント>

  • 看護師国家試験のためのメディックメディア模試2017 第2回(問題・解答解説作成)




とても10個に絞れません…。もちろん印象に残っているのは、遠方(北海道、九州、鳥取など)から呼んで頂いたものや、著名な先生にお声がけ頂いたもの、それと2回目、3回目のお仕事を頂いたもの、旧知の先生からお招き頂いたものなどですが、それのみならず各々のお仕事で多くのご縁を頂いたことが本当に嬉しいことであります。ですから直接の面識がなくても、どうぞお気軽にお声がけ下さい!


去年はプライベートでもなんやかんや活動しており、10大ニュースにも含もうか、というところでしたが、今年は子どもの受験もあり、活動も控えておりました。今年の普段の活動、で申しますと、闘魂外来が軌道に乗り、教育回診も開始して、臨床実習が学び多きものとなった…これも仕事ですけど。まあどっぷり仕事していた1年、ということですかね。(〃艸〃)


来年は書きためた?著作もいよいよ続けて?発売となりそうですし、また新たな出会いも頂けそうで、告知させて頂くのが楽しみです。引き続き頑張りますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 16:47 | Comment(0) | 日記

2017年12月27日

緊急特集・肺癌診療ガイドライン2017版解説2

それでは、たびたび話題に出ていた「変異陰性+PD-L1<50%」群の1次治療はいかがでしょうか。基本的には細胞障害性抗癌剤を選択しますが、75歳以上やPS2だと制約が、という感じです。
  • PS0-1で75歳未満⇒プラチナ併用療法

  • PS0-1で75歳以上⇒細胞障害性抗癌剤単剤またはカルボプラチン併用療法

  • PS2⇒プラチナ併用療法または細胞障害性抗癌剤単剤

  • PS3-4 なら薬物療法は勧められない



1次治療のプラチナ併用療法において、75歳未満、PS0-1であればベバシズマブを併用できます。ただしベバシズマブは扁平上皮癌には使えず、出血のリスクがあっても使えません。


なお、ベバシズマブ併用のエビデンスがあるのはカルボプラチン+パクリタキセル、またはシスプラチン+ペメトレキセドです。


1次治療のプラチナ併用療法レジメンが何であっても、終了時に病勢の進行がなくて副作用も許容範囲であれば、ペメトレキセド維持療法を継続してもよいとされています。



2次治療は、PD-L1の割合によって、PD-1阻害剤を使うか、エビデンスのあるニボルマブを使うか、というところの選択になります。
  • PS0-2でPD-L1≧1%⇒PD-1阻害剤

  • PS0-2でPD-L1<1%⇒ニボルマブ、非扁平上皮癌なら細胞障害性抗癌剤でもよい

  • PS0-2でPD-L1不明⇒ニボルマブ

  • PS3-4 なら薬物療法は勧められない



2次治療の細胞障害性抗癌剤で勧められるのはペメトレキセド、ドセタキセル(+ラムシルマブ)、S-1が挙げられます。ドセタキセルにラムシルマブ併用のエビデンスがあるのは75歳未満、PS0-1症例です。


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2017年12月26日

緊急特集・肺癌診療ガイドライン2017版解説1

それと、最近発表になりました、肺癌診療ガイドライン2017版についてもしっかり理解しておく必要があります。まあ、Webで公開されていますのでその都度ご覧いただければいいのですが。


大幅な改訂点として、推奨システムの変更が挙げられていますが、まあこれは推奨したい薬剤を…ゴニョゴニョ。


これまでのガイドラインでは樹形図が入り乱れていて?いささかわかりにくかったのを整理しわかりやすくした、とされています。確かにシンプルになった印象ですね。で、ちょいちょいと優先順が変更されています。


小細胞肺癌はほとんど変わっていないようですので、非小細胞肺癌を見てみます。


まずは非扁平上皮癌か扁平上皮癌か。


  • 非扁平上皮癌であれば遺伝子検査(EGFR・ALK・ROS1・BRAF)、PD-L1染色を行う。

  • 扁平上皮癌であればPD-L1染色を行う。



遺伝子変異陽性なら、1次治療は各々に対するキナーゼ阻害剤を使う。
  • EGFR遺伝子変異陽性⇒EGFR-TKI
    ただしエクソン19欠失・L858R変異陽性例では、PS2ならゲフィチニブ/エルロチニブ、PS3-4 ならゲフィチニブを選択
    エクソン18-21の変異例では、PSによらずEGFR-TKI

  • ALK遺伝子転座陽性⇒PS0-1ならALK-TKI
    PS2-4ならアレクチニブを選択

  • ROS1遺伝子転座陽性⇒クリゾチニブ

  • BRAF遺伝子変異陽性⇒ダブラフェニブ+トラメチニブ(2017年12月現在、肺癌に対する保険適応なし)



2次治療は、
  • EGFR遺伝子変異陽性⇒EGFR T790M変異陽性ならオシメルチニブ、陰性なら「変異陰性+PD-L1<50%」群へ

  • ALK遺伝子転座陽性⇒PS0-2ならALK-TKIまたは「変異陰性+PD-L1<50%」群へ
    PS3-4なら薬物療法は勧められない

  • ROS1遺伝子転座陽性⇒「変異陰性+PD-L1<50%」群へ

  • BRAF遺伝子変異陽性⇒「変異陰性+PD-L1<50%」群へ



PD-L1≧50%なら、非扁平上皮癌、扁平上皮癌いずれにおいても、1次治療は
  • PS0-2ならペムブロリズマブ、ただしPS2なら「変異陰性+PD-L1<50%」群でもよい

  • PS3-4 なら薬物療法は勧められない



2次治療は「変異陰性+PD-L1<50%」群と同じ。


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2017年12月25日

緊急特集・喘息とCOPDのオーバーラップ(Asthma and COPD Overlap :ACO)診断と治療の手引き2018解説2

ということで、ACOを診断するには、今一度、COPDの特徴と喘息の特徴について知っておいて頂く必要があるわけです。


COPDの「定義」では、『COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第4版』で「呼吸機能検査で正常に復すことのない気流閉塞を示す」という文言があったのですが、『同 第5版』ではその部分が削除されていて、ACOという、可逆性のある病態を含む概念となったことがうかがわれます。


喘息の「定義」では、『喘息予防・管理ガイドライン2015』から変更はありません。



診断基準として挙がっている項目は、これまでに言われていたものと少し変わっているのですが、そのスピリットは同じで、非専門医でも診断しやすいように項目を工夫(多くの施設で出来る検査を含めるなど)されています。


COPDの特徴

  • 喫煙歴(10pack-years以上)または大気汚染曝露

  • 胸部CTで気腫性変化(低吸収域)を認める

  • 拡散障害
    3項目のうちいずれか1項目あればCOPDありと考える




喘息の特徴

  • 変動性・発作性

  • 40歳以前に喘息

  • FeNO>35ppb
    3項目のうち2項目あれば喘息と考える、1項目しか満たさない場合、以下のうち2項目以上を満たせば喘息と考える

  • アレルギー性鼻炎

  • 気道可逆性

  • 末梢血好酸球高値

  • IgE高値



COPDの特徴、かつ喘息の特徴を満たすものをACOとします。


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2017年12月24日

来し方行く末を

今年もあっという間に1年が過ぎ去り、年末になりました。毎年年末には来し方を振り返り、行く末を展望してみるのですが、今年を振り返るに、とにもかくにも全国から講演依頼を頂き、本当に多くのご縁を頂いたことが思い出されます。


文字通り北は北海道から、南(西)は九州、福岡まで、多くの方とお話をしていると、やはり悩みどころといいますか、困っておられるところに共通点が見えて参ります。そういうところを、少しでも解決に近づくようなお手伝いができれば、ということをこれからも試行錯誤していく所存です。


今年は書籍関係では余り目立った出版ごとこそありませんでしたが、雑誌の1ページを頂いたり、メディックメディアさんのお仕事を多数やらせて頂いたり、働くのは働いておりました。来年はもう少し、働いていることがわかるような?活動ができそうですので、またいろいろとお知らせできるのを楽しみにしております。


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来年はそれと、滋賀医大呼吸器内科を取り巻く状況がどうなるか、かなり不透明で、自分の立ち位置もどうなりますやら、ちょっと見通せないところもありますが、まずは自分のやるべきことをコツコツと積み重ねていきたいと思います。

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posted by 長尾大志 at 23:28 | Comment(0) | 日記

2017年12月23日

VR(Virtual Respirology)『チーム医療』

先日の日本呼吸器学会近畿地方会で、秘密の打ち合わせがありまして、2月に行われる「VR(Virtual Respirology)『チーム医療』」の詳細が決まりました。これは面白くなりそうです。


2018(平成30)年2月3日に洛和会京都呼吸器センター 所長の長坂行雄先生はじめ、スタッフの先生方と開催させて頂く勉強会「Virtual Respirology『チーム医療』」。研修医の先生方、看護師さん、メディカルスタッフの皆さんによるチーム対抗クイズ大会です。チーム対抗ですが、チーム単位でなくても参加出来ます。多数の皆さまのご参加をお待ちしております。

http://otomarukun.seesaa.net/article/455096858.html

◆Virtual Respirology『チーム医療』とは
ERに搬送された救急患者を診察、診断し治療していくストーリー仕立てのチームバトルです。

◆対象
ジュニアレジデント、看護師、医学生
※個人での参加も受け付けます。その場合は、当日いずれかのチームに配属されます。

◆日時
2018(平成30)年2月3日(土) 午後4時30分〜午後6時

◆場所
洛和会音羽病院 C棟 1階 講義室
(〒607-8062 京都府京都市山科区音羽珍事町2)

◆講師
洛和会京都呼吸器センター 所長 長坂行雄先生
滋賀医科大学附属病院 呼吸器内科 長尾大志

◆参加費
無料

◆申し込み方法
チーム名、チームメンバーの名前と所属を下記までご連絡ください。
洛和会音羽病院 医療経営戦略部 松原様
Mail:matsubara_t@rakuwa.or.jp
FAX:075(501)5747
※申し込みの際にはチーム代表者の連絡先(メールアドレス)を明記してください。
折り返し確認のご連絡をいたします。

個人参加の場合、長尾に直接連絡ください。
滋賀医大の研修医の皆さんには26日に長尾より改めて参加希望を確認しますね。

◆申し込み締め切り
2018(平成30)年1月31日(水)

◆主催
洛和会音羽病院 呼吸器内科

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posted by 長尾大志 at 21:52 | Comment(0) | 活動報告

2017年12月22日

緊急特集・喘息とCOPDのオーバーラップ(Asthma and COPD Overlap :ACO)診断と治療の手引き2018解説1・診断の基準

抗癌剤のお話も中途なのですが、ここで『喘息とCOPDのオーバーラップ(Asthma and COPD Overlap :ACO)診断と治療の手引き2018』について、緊急に解説しなくてはならない事情が生じました。つい先日呼吸器学会会員のところに冊子が送られてきたわけですが、このタイミングで一度まとめておかなくてはならないな…と思っていたので、ちょうど渡りに船であります。


そもそもACOって、「ACOS(Asthma-COPD Overlap Syndrome)じゃなかったの?」と思われる方も多いでしょう。そうなのです。名前が変わりました。要はSyndromeが取れただけ。


『喘息とCOPDのオーバーラップ(Asthma and COPD Overlap :ACO)診断と治療の手引き2018』の第1章に言い訳がましくその経緯が書いてありますのでかいつまんで説明すると、“症候群”という言葉は、そもそも原因不明で共通の病態を呈する様々な疾患を一絡げにする場合に使用される言葉でありまして、喘息とCOPDという、臨床的特徴が多様である疾患をくくるのに相応しい言葉ではない、なんてことが書いてあります。


んなことは最初からわかっていたわけで、唐突な名称の変更は、大人の事情が垣間見えるものでありますが…まあここには書けません。



まあともかく、異なる原因、異なる機序で発症している喘息とCOPDですが、しばしば両者の特徴を併せもつ場合があり、その状態を特別扱いしよう、ということでオーバーラップしている症例に名前を付けた、それがACOSでありACOとなった、ということです。


単にオーバーラップしている以上に、わざわざ名称を付ける意味はあるのか?という気がしないでもありませんが、概念に名前を付ける、というのは多くの、特に研究者、論文を書く人々にとってはメリットが大きいものです(ここにも大人の事情が…)。そういう面もあるのでしょう。


わざわざ名称を付けるからには、ACO独特の予後であったり治療であったりがあるのか?というと、今のところそういうわけでもなく…まあ今後、各メーカーが懸命に何らかのエビデンスを出そうとしているので、何か出てくるかもしれませんけど。


じゃあここで取り上げる必要だってないんじゃないの?とも思われるかもしれません。確かにACOという概念自体には大した意味はない(言っちゃった…)んですが、実はこれまでにも書いてきたとおり、「喘息かCOPDか、あるいは両方か」を非専門医の先生方に判断、診断して頂く、という問題については、大変重要な課題であると思っています。


喘息を正しく診断する、COPDを正しく診断する、オーバーラップしてるんだったら、それも正しく診断する、ということです。これまで私が書いてきたことがこの『手引き』にまとめて書かれている、なのでここで今一度解説しておこうというわけです。




・ACOの定義(『喘息とCOPDのオーバーラップ(Asthma and COPD Overlap :ACO)診断と治療の手引き2018』より)


慢性の気流閉塞を示し、喘息とCOPDのそれぞれの特徴を併せもつ疾患である。



・ACO診断の基準(『喘息とCOPDのオーバーラップ(Asthma and COPD Overlap :ACO)診断と治療の手引き2018』より)


40歳以上で、呼吸機能検査で気管支拡張薬吸入後の1病率が70%未満であり、COPDの特徴と喘息の特徴を有する。ACOを診断する際に喘息の特徴を確定出来ない場合、喘息の特徴の有無について経過を追って観察することが重要である。


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2017年12月21日

薬剤の名称、作用、使い方、副作用(抗癌剤)2

”新規”抗癌剤

20世紀末頃に新たに開発された抗癌剤で、それまで「抗癌剤を使っても予後が改善しない」ものであった肺癌治療を「抗癌剤を使えば余命が延長する」ものに変えました。今となっては”新規”という言葉はそぐわないと思いますが、唯一ペメトレキセドは2007年の発売開始なので、まだ”新規”扱いでもいいかもしれません。


いずれにしても、このカテゴリーのものは「細胞障害性抗癌剤」とも呼ばれており、癌細胞の細胞分裂を止めることで細胞死を招く機序の薬剤です。似たようなコンセプトの薬ですので、似たような効果ですし、似たような副作用がみられます。


なお、略称はドクターによって、施設によって微妙に(ずいぶん?)異なることがあります。一般名ベースと商品名バースもありますし。私の周りで使われているものを掲載しますが、先頭には『EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2017年版』に記載されているものを書いておきます。おそらく今後は統一されていくであろうと思いますが…。


  • ペメトレキセド(PEM、ALM

  • パクリタキセル(PTX、PAC、TXL、TAX)

  • ナブパクリタキセル(nab-PTX 、nab-PAC)

  • ドセタキセル(DTX、DOC、TXT)

  • ゲムシタビン(GEM)

  • ビノレルビン(VNR)

  • テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(S-1)

  • イリノテカン(CPT-11、IRT)

  • エトポシド(ETP、VP-16)

  • アムルビシン(AMR)

  • ノギテカン(NGT)



臨床試験の結果、有効である、投与するに値する、というエビデンスが出た薬剤とその組み合わせ、標準的な投与量のセットを『レジメン』といいます。これは臨床試験に基づきますので、元々決まっているものです。


実際の投与量は、レジメンごとに基準となる用量(○○mg/m2)があり、それに体表面積をかけて算出します。


例外として、ベバシズマブは基準用量が○○mg/kgとなっています。また、カルボプラチン(CBDCA)だけは腎機能に血中濃度が依存する度合いが高く、AUC(Area Under the Curve)という数字を使います。


投与量(mg)=(Ccr+25)×AUC
例:AUC=5、Ccr=75mg/dLなら投与量は500mg


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posted by 長尾大志 at 17:39 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年12月20日

薬剤の名称、作用、使い方、副作用(抗癌剤)1

肺癌治療に使用される抗癌剤

古参のもの


  • シスプラチン(CDDP)

  • カルボプラチン(CBDCA)

  • ネダプラチン(CDGP)



白金製剤・プラチナ製剤、と呼ばれるもので、単独で用いられることはなく、異なる機序の殺細胞性抗癌剤と組み合わせて使われます。通常はプラチナ製剤+もう1つ、あわせて2種類の抗癌剤を組み合わせて投与し、「プラチナダブレット」といいます。


CDDPの副作用としてよく知られているのが腎障害、それに悪心・嘔吐、骨髄抑制です。それ以外に、聴覚障害や末梢神経障害もみられます。腎障害は大量の輸液や利尿薬を使うことで腎臓に滞留するシスプラチンの濃度を下げる、という工夫をして予防しますが最近では外来化学療法の普及に対応して、輸液量を減らす試みもされています。また、悪心・嘔吐は優れた制吐薬が開発されてずいぶん軽減されるようになっています。骨髄抑制もG-CSFを使うことで、大きな問題になることは減ってきています。


CBDCAの副作用では血小板減少が有名ですが、他の骨髄抑制ももちろんみられます。悪心・嘔吐もCDDPより少なく、患者さんが感じる「きつさ」はCDDPよりも軽い印象です。腎障害も少ないので大量輸液は必要ありません。


CDGPもプラチナですから同じような副作用がありますが、そもそもCDGP自体、CDDPの副作用を軽減する目的で開発されていますから、大量輸液は必要ありません。ただ、レジメンとして確立しているものが少なく、使う機会はあまりないと思います。


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posted by 長尾大志 at 19:17 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年12月19日

薬剤の名称、作用、使い方、副作用(抗菌薬)8

D. キノロン系

副作用としては中枢神経症状が有名です。NSAIDsとの併用で痙攣、ということも言われておりましたが、そこまでは実際多くないようです。それでも頭痛やめまいなど、いろいろあります。飲み合わせという意味では、マグネシウムやアルミニウム製剤(マグミット、カマグ、アルサルミン…)とキレートを形成して吸収されなくなり、効果が著しく低下します。


それから知られているものとして、腱断裂があります。これも多いものではありませんが、覚えておく必要があります。あと、マクロライド同様にQT延長を起こします。



E. カルバペネム系

副作用は少ないですが、アレルギーはご多分に漏れずありますし、痙攣もIPM/CSの頃から言われています。



F. アミノグリコシド系/モノバクタム系

アミノグリコシド系では腎毒性や第8脳神経障害などが有名です。いずれも不可逆性とされているので、使用中はモニタリングが大切でしょう。



I 抗MRSA薬

バンコマイシンやテイコプラニンではレッドマン症候群、腎障害などの副作用があります。そのため血中濃度測定、TDMをしっかり行うことが大事です。


リネゾリドは血小板減少などの骨髄抑制が有名です。

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posted by 長尾大志 at 19:37 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年12月18日

第90回日本呼吸器学会・第120回日本結核病学会近畿地方会ランチョンセミナー『石綿関連疾患の画像診断』

土曜日の第90回日本呼吸器学会・第120回日本結核病学会近畿地方会、もちろんお勉強もして参りました。表記の『石綿関連疾患の画像診断』、埼玉医科大学国際医療センター画像診断科の酒井文和先生によるご講演でした。


最近では胸膜プラーク(胸膜斑)を見ることがめっきり減ってしまい、なかなか勉強する機会がなかったのですが、ここしばらく数例続けてそういう症例があり、タイムリーに講演を拝聴することで、ちょうど理解を深めることが出来ました。


備忘のため講演メモを残しておきます。


(メモここから)
  • 胸膜プラークは石綿曝露の指標となる

  • 日本においては、胸膜プラークがあれば99%以上の確度で石綿曝露ありと言える

  • 外国のある鉱山では、石綿曝露なしでプラークを認めることがある

  • プラークだけでは症状や障害は出ない

  • プラークを母地として中皮腫が発生するわけではない

  • プラークがなくても中皮腫が発生することがある

  • プラークは通常多発する

  • プラークはCP角をスペアする

  • 認定には単純写真で見えるプラークが必要

  • 石灰化のないプラークでも、肺を押すことから、肋間動静脈や胸骨筋などの正常構造と鑑別出来る

  • プラークは造影されない

  • 良性石綿胸水の器質化でびまん性胸膜肥厚が起こることが多い

  • 「びまん性」胸膜肥厚、とするには両側で1/4以上、片側で1/2以上必要

  • 石綿肺(asbestosis)は、肺実質の線維化病変を表し、他のプラークなどの病変は石綿肺とは言わない

  • 石綿肺はUIPとは異なる、気道中心の線維化で、石綿吸引量に依存する

  • 石綿肺では蜂巣肺は少ない

  • 石綿肺に特徴的な所見として、小葉中心性小結節、curved linear shadow、があり、traction bronchiectasisは少ない

  • Radiology. 1986 Mar;158(3):653-8. Pulmonary asbestosis: CT study of subpleural curvilinear shadow. Yoshimura H, et al.

  • AJR Am J Roentgenol. 2003 Jul;181(1):163-9. High-resolution CT of asbestosis and idiopathic pulmonary fibrosis. Akira M, et al.

  • 石綿吸入歴があってもUIP型の線維化を来すことも多く、その場合、石綿吸入量に依存せず、他の吸入物質も関与しているものと考えられる

  • 都会生活者であれば、ほぼ100%、低用量の石綿を吸入している

  • プラークの範囲で石綿曝露量を推定出来る

  • Am J Ind Med. 2015 Apr;58(4):444-55. Significant relationship between the extent of pleural plaques and pulmonary asbestos body concentration in lung cancer patients with occupational asbestos exposure. Yusa T, et al.

(メモここまで)

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posted by 長尾大志 at 17:27 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録

2017年12月17日

第90回日本呼吸器学会・第120回日本結核病学会近畿地方会

昨日は第90回日本呼吸器学会・第120回日本結核病学会近畿地方会でした。


裏でびまん性肺疾患の会があったりして、そちらが魅力的だったのですが、今回はThematic oral sessionのショートレクチャーを仰せつかり、こちらに詰めることとなりました。それだけでなく、2月3日に洛和会音羽病院さんでやる勉強会『VR(Virtual Respirology)チーム医療』の打ち合わせを長坂先生、土谷先生、森川先生らとさせて頂いたり、そこに南京都病院の坪井先生がお見えになったり、神戸西市民の西尾先生経由で大阪赤十字の先生方とお近づきになれて、ありがたいことに講演のお話を頂いたり、ウチの卒業生(呼吸器志望!)と会えて話ができたりと、なかなか盛りだくさんで終わりました。やはり行って良かった。\(^o^)/


本学会のThematic oral sessionは今回初の試みで、最初にショートレクチャーがあり、その後数例の発表が続く、という構成になっています。やらせて頂いた肝心のショートレクチャーですが、頂いたお題が「呼吸不全・ARDS」。sessionにどんな演題が集まるか未知の状態で、しかも私自身、呼吸不全の研究をしているわけでもないので、内容選定にはにはいささか迷いもありましたが、やはり自分の得意な分野でやろう、ということで、『呼吸不全を研修医の先生に教えるときに気をつけることは』みたいな話をしました。


まだまだ試行中の話で、もう少しエビデンスが集積してからお話ししたかったところなのですが、こういう機会もなかなかなさそうですので、思い切って話をしました。果たして聴講された皆さんの、行動変容につながるでしょうか…。

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posted by 長尾大志 at 17:15 | Comment(0) | 活動報告

2017年12月16日

「授業評価」に対する「自己評価」

「授業評価」に対する「自己評価」。今年もやって参りました。学生さんによる「授業評価」は呼吸器系最後の授業のときに紙を配って、そこに記入してもらって、集めたものを教員にフィードバックされます。で、それを受けて「自己評価」をする、というもの。それを集めたものが毎年報告書となって配布される…という寸法です。


ただ、今年は昨年までと比べて授業評価の自由回答数がめちゃくちゃ少ないので、なんだかな〜という感じです。まあでも自己評価は必要ですので作成しました。以下に引用します。


(引用ここから)
Q:今回の授業評価から、この授業について気づいた点は何ですか。

A:昨年よりも壊滅的に自由記述数が減った(42名⇒18名)ため、もはやこの授業評価はアンケートの体をなしていない。他の授業でどの程度自由記述が返ってきているかが全く公開されていないため、自分の授業がどのように学生に受け取られているかを俯瞰することができないので、「気づいた点は何ですか」といわれても、一部のエキセントリックな意見に振り回される可能性が高いと思われる。

そんな中で敢えて書かれている感想を見ると、授業のねらい、当方の意図をくみ取ってくれているようである。

「勉強したい気持ちがあっても、どこから手を付けたらいいのかわからない学生の気持ちをよく理解し、誠実に寄り添ってくれていると思う。臨床の授業で少しがっかりしていたところで、救われた気持ちになりました。」
「大学で受けた授業の中で一番わかりやすかったですし、一番授業に来た意味があったと思いました。正直、授業から全く熱意が感じられない先生方もいて、それでは大学という教育機関の責務を果たされていないと思います。そんな中、勉強していくのにわかりにくい事項を教えてくださり、それがあると自分自身でも勉強しようかというモチベーションになりました。本当にわかりやすくて、わかる喜びを思い出しました。」
「時間をかけて見やすい、わかりやすい、楽しい講義をありがとうございました。先生の熱意が学生に伝わり、学習意欲にも熱が入るものです。呼吸器内科に興味ゼロだったのですが、2%ぐらいに上がりました。0⇒1の変化は大きいです。」
「講義で得た知識を定着させると共に学生の理解度を確認する取り組みをされており、極めて学生目線に立った素晴らしいものであったと考えます。」
「授業に対しての準備がしっかりされていて、学生の理解を第一に考えた授業で嬉しかったです。こちらも気合いが入り、またとてもよく理解出来、苦手意識も下がりました。ユーモアもたくさんあって、呼吸器内科の領域にも興味を持たせて頂き、また受けたい授業です。」等の意見は、まさにそのようなものであった。

しかしながら、繰り返しになるが、果たしてこれが大多数の学生の意見であるかどうかはわからない。結論として、授業について気づいた点としては、「授業評価をしっかりと書くような一部の学生にとっては、わかりやすくよく理解出来た点などが好評であった」ということになる。


Q:反論があれば記入してください。

A:「改善してほしい事項」欄への記入が極めて少なく、反論すべき内容かどうか判断に苦しむ。

「最終回でもクリッカーを使ってほしかった」
⇒最終回はじっくり考えてほしい内容を含み、あえて考える時間を設けるためにクリッカー時間を削ったが、もう少し時間配分を改善させることは出来ると思う。

「ノウハウを他の先生方へ横の(水平)展開をお願いします」
「他全員が先生のような授業をしてくれればよい」
「あらゆる授業が先生の授業のようになれば…と思います」
⇒ノウハウを出し惜しみしているわけではないので、そういう機会を設けたい。

「教育に力を入れている先生も評価されるようなしくみがあればいいなと思います」
⇒全面的に同意する。

「Youtubeのブロンコ体操は、静止画より動画がよかった」
⇒反論はない。同意する。


Q:改善策があれば記入してください。

A:「最終回でもクリッカーを使ってほしかった」
⇒最終回の時間配分を見直し、クリッカーを使う余地を検討する。

「ノウハウを他の先生方へ横の(水平)展開をお願いします」
「他全員が先生のような授業をしてくれればよい」
「あらゆる授業が先生の授業のようになれば…と思います」
⇒さらなる情報発信が必要。執筆中の書籍が片付いたらそちらにも力を入れていきたい。

「教育に力を入れている先生も評価されるようなしくみがあればいいなと思います」
⇒教育面でもっと圧倒的な結果を出さなければならない。

「Youtubeのブロンコ体操は、静止画より動画がよかった」
⇒動画編集のノウハウを勉強したい。


Q:前年度の評価結果に基づき、改善した事例があれば記入してください。

A:前年度の評価結果で改善を求められたのは以下の項目である。

「すべて長尾先生の講義でもいい」「長尾先生の講義をもっと多くしてほしい」
⇒改善出来ていない。私が改善する立場でもないように思われる。

「もっとグループワーク、対話の時間がほしかった」
⇒時間配分を見直し、かなり対話に時間を割けたように思う。

「レジュメに記載されていない画像があったが、それも載せてほしい」
⇒可能な限り引用元ホームページなどを明記し、参照出来るようにした。

「私語をしている人をつまみだしてほしい」
⇒今年はかなり私語が減った印象であり、このような意見はなかった。

「もっと長尾先生の本を安くしてほしい」
⇒改善出来ていない。こちらも私がどうこうできる問題ではない。

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2017年12月15日

薬剤の名称、作用、使い方、副作用(抗菌薬)7

A ペニシリン系

副作用はアレルギー(アナフィラキシー)が有名ですが、頻度はそれほど多くありません。とはいえ病歴の確認は大切です。また、EBウイルスなどによる伝染性単核球症にアモキシシリンを使うと、重度の皮疹が起こってしまいますので要注意。


それからペニシリン系に限ったことではありませんが、抗菌薬による薬剤熱もしばしば経験されます。肺炎で治療開始して、当初は症状、症候の軽快傾向が見られたのに、数日後熱だけ出てきて…みたいな経過、経験されるかもしれません。


あとはやはり下痢ですかね。起こす人はミヤBMとかビオフェルミンRとか飲んでいてもドカンと起こす印象で、起こってしまうと(程度にもよりますが)中止せざるを得ないかもしれません。



B セフェム系

副作用は比較的少なく、使いやすいものですが、ペニシリン系同様、薬剤熱や下痢には注意したいものです。特に下痢は、偽膜性腸炎を起こしていることがありますので、そのチェックも必要です。



C. マクロライド系

副作用はそれほど多くなくて、使いやすいのですが、有名なものではまず消化器の問題があります。蠕動運動亢進によるもので、これを逆手にとって?蠕動が不良な症例に使われたりもしています。


それから飲み合わせ、相互作用が多いということがあります。肝臓のチトクロームP450で代謝されるので、同じ経路で代謝される薬剤の濃度を上げてしまったりします。


また、命に関わることもある重要な副作用に、QT延長とそれによるtorsade de pointesがあります。マクロライド以外にキノロン系薬でも起こりますし、抗うつ薬や抗精神病薬、抗ヒスタミン薬に抗不整脈薬など、他のQT延長を起こしうる薬剤との併用には注意が必要ですね。


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posted by 長尾大志 at 15:30 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年12月14日

薬剤の名称、作用、使い方、副作用(抗菌薬)6

I 抗MRSA薬

これまでに書いた抗菌薬はいずれも、MRSAには効果がありません。それだけMRSAの耐性はキツイのだということです。MRSAが原因であると考えられる感染症に対しては、専用の薬剤がありますから、それを使います。


薬剤紹介

  • バンコマイシン(VCM)|1回1g 1日2回

  • テイコプラニン(TEIC)|1回200-400mg 1日2回(初日)、200-400mg 1日1回(2日目以降)

  • リネゾリド(LZD)|1回600mg 1日2回



これ以外にハベカシン(ABK)も含まれますが、抗菌作用は劣り、よほど他の薬剤が使えない、という場面でしか使われていないと思います。


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posted by 長尾大志 at 17:38 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年12月13日

薬剤の名称、作用、使い方、副作用(抗菌薬)5

G リンコマイシン系

スペクトラムはグラム陽性球菌と嫌気性菌です。ペニシリンに似ていますが構造が簡単で、アレルギーが少ないのが特徴です。副作用としては偽膜性腸炎が有名です。



薬剤紹介

クリンダマイシン(CLDM)注射薬|1回600mg 1日2−4回



H テトラサイクリン系

歯牙着色など骨や歯牙形成への有害作用が示唆されているので、妊婦・授乳中の母親、そして歯牙形成期にある8歳未満の小児への投与は避けるよう注意喚起されています。そういうこともあって、何となく?避けられることが多い印象です。


薬剤紹介

ミノサイクリン(MINO)注射薬|1回100mg 1日2回
ミノサイクリン(MINO)経口薬|1錠100mg 1回1錠 1日2回


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posted by 長尾大志 at 20:42 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年12月12日

薬剤の名称、作用、使い方、副作用(抗菌薬)4

E. カルバペネム系

肺炎球菌やH.influenzae(インフルエンザ菌)のみならず、嫌気性菌、緑膿菌、ESBL産生菌にまで広く効果がありますが、細胞壁を持たない病原体(非定型病原体)には効果がありません。特に緑膿菌、ESBL産生菌など、カルバペネムでないと困る、という場面がしばしばありますので、心ある臨床医はできるだけ耐性菌を作らないよう大切に使おう、出し惜しみしようと心がけています。



薬剤紹介

  • イミペネム・シラスタチン(IPM/CS)

  • メロペネム(MEPM)

  • ドリペネム(DRPM)

  • ビアペネム(BIPM)

  • パニペネム・ベタミプロン(PAPM/BP)



*パニペネム・ベタミプロン(PAPM/BP:カルベニン)は、グラム陽性球菌、嫌気性菌に対しては強いのですが、緑膿菌については他のペネムよりも明らかに弱いとされているので、注意が必要です。



F. アミノグリコシド系/モノバクタム系

こちらはグラム陰性桿菌専用といっていいでしょう。腎毒性や第8脳神経障害などの副作用があったり、筋注、静注があったり、血中濃度を見たり、米国などで使われている「理想的な」投与量と日本の保険で認められている投与量がずいぶん異なったり、というややこしさゆえに敬遠されることが多く、特に緑膿菌に対しての感受性が保たれていたりします。



薬剤紹介

  • アミカシン(AMK)

  • ゲンタマイシン(GM)

  • トブラマイシン(TOB)

  • イセパマイシン(ISP)

  • アルベカシン(ABK)




モノバクタム系はアミノグリコシド系とよく似た、グラム陰性桿菌(緑膿菌を含む)専用スペクトラムです。今となってはマイナーすぎて、採用しているところは少ないのではないかと思います。



薬剤紹介

アズトレオナム(AZT)


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posted by 長尾大志 at 18:29 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2017年12月11日

薬剤の名称、作用、使い方、副作用(抗菌薬)3

C. マクロライド系

市中肺炎のうち、マイコプラズマ、クラミジアといった非定型病原体をターゲットとして使われます。非結核性抗酸菌症の治療でも中心的な役割を担います。


その一方で、肺炎球菌やH.influenzae(インフルエンザ菌)に対しては、これまでに濫用された結果耐性化が進んでいて、効かなくなってきています。そのため一般細菌感染症には使いにくい。



薬剤紹介

  • クラリスロマイシン(CAM)

  • アジスロマイシン(AZM)




D. キノロン系

広域スペクトラムをもち、かつ深刻な副作用が少ないということで頻用されている抗菌薬ですが、広く使われすぎて耐性化が懸念されています。

また、結核菌や非結核性抗酸菌に対しても中途半端に有効であり、肺結核に対して、キノロンを投与すると一時的に何となく良くるのですね。もちろん治りきらず、そのうち悪化してきて、そこではじめて喀痰検査→肺結核と判明、ということになる、doctor’s delay(医師のところで結核の診断が遅れる)のため周囲に感染が広がってしまいます。



薬剤紹介

経口薬
  • ガレノキサシン(GRNX)

  • モキシフロキサシン(MFLX)

  • レボフロキサシン(LVFX)


キノロン系経口薬には他にもたくさんの種類がありますが、肺炎球菌にちゃんと効く(つまり呼吸器感染症に効く)のは上記の3種類です。これらはレスピラトリーキノロンと呼ばれています。


注射薬
  • シプロフロキサシン(CPFX)

  • パズフロキサシン(PZFX)

  • レボフロキサシン(LVFX)



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posted by 長尾大志 at 15:05 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート